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2007年6月20日 第166回国会 本会議
学校教育法等の一部を改正する法律案等
文教科学委員長狩野安君解任決議案趣旨説明

教育関連3法案は、安倍総理の独断的思い込みを優先させたもの
国際的な動向に逆行する、21世紀の教育目標として誇れない

参議院議員 水岡 俊一 

民主党の水岡俊一でございます。
 ただいま発言の時間を制限する動議が出されましたが、これは一体何の意味があるのでしょうか。言論を封殺する、良識の府としては全く恥ずかしい行為であり、これはまさしく参議院の自殺行為ではありませんか。与党の行為には強く抗議をするものであります。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、狩野文教科学委員長に対する解任決議案について、まず案文を読み上げて提案をし、その後、提案の趣旨を説明いたします。

  文教科学委員長狩野安君解任決議案
  本院は、文教科学委員長狩野安君を委員長の職より解任する。
   右決議する。

 戦後レジームからの転換を標榜する安倍総理が、昨年、教育の憲法と言われる教育基本法案の強行採決に続き、多くの国民の慎重審議を求める声を無視して、衆議院に続いて参議院の文教科学委員会でも強引に採決したことは、教育の再生を第1の優先課題とする政権にあるまじき行為であります。
 また、委員会において、本来、中立公正であるべき狩野委員長は、政府・与党の意見のみを聞き、委員会で強行に審議を終結し、採決を決行してしまいました。このことは、これからの日本の未来を背負う子どもたちに顔向けできない蛮行と言わざるを得ません。
 与党の議員にお聞きしたい。
 昨日の強行採決の様子をニュースで見た子どもたちに、あなた方は何と教えるんですか。いま、学校現場で民主主義とはどういうものかについて、子どもたちと向き合い、教えている教員たちに、一体、何と教えろというんですか。数は力なりですか。しょせん民主主義は多数決だというのですか。日頃は一人ひとりの意見は尊重されなければならないと教え、力の弱い者や少数の者たちの意見を無視するのはいじめだと諭しておきながら、いざとなれば、話合いは切りがないんだよ、多数決さえやれば民主主義だと叫ぶ、この大人の行動パターンを、子どもたちは必ず見抜いてきますよ。
 大人の欺瞞、強き者の傲慢を彼らは教訓として身につけてしまいます。それでいいのですか、与党の皆さん。それが教育ですか、狩野委員長。
 美しい国をつくる国民に必要なのは、こんなご都合主義ですか。

 安倍総理は、昨年の強行採決の上、成立した改正教育基本法、教育再生会議第1次報告及び中央教育審議会の答申等を踏まえ、極めて短時間のうちに教育再生のための教育関連3法案を3月30日、国会に提出しました。これは、憲法改正とともに安倍総理が執念を燃やす戦後レジームの転換という独断的思い込みを優先させたものであり、到底容認できるものではありません。
 教育は国家百年の計であります。いま、与党から国会に提案された法案は、第1に、国家、社会への寄与を教育の目的とする学校教育法等の一部を改正する法律案であります。この法案は、2006年12月22日に公布、施行された教育基本法に定められた教育目標を学校段階ごとに示すとともに、新たな職制を学校組織に導入することを目的としたものであり、問題に満ちているものであります。
 この法案は、まず、国会審議等を通じて多くの批判を受けた愛国心教育など、改正教育基本法の教育目標規定がそのまま盛り込まれていること自体に大きな問題があります。
 さらに、改正教育基本法はその第1条で、教育は、人格の完成を目指し……(発言する者あり)よく聞いてください。平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を目的として示しています。しかしながら、人格の完成や平和で民主的な国家及び社会の形成者という観点が教育目標としては極めて弱くなった反面、第21条、23条で規範意識が盛り込まれており、これでは既存の体制に無批判的に従う人間の形成を主とする教育でしかなくなってしまいます。
 現在、教育の先進国とされているフィンランド政府の持続可能な開発のための教育の10年計画で、個人が未来の世代の需要を満たす余地を残しながら現代の需要を満たすこと、持続可能な開発を支えることができるようにすること、その目的とは、持続可能なライフスタイルを実践する人びとを育成し、生涯学習の一環として個々人の持続可能な開発に必要な知識と技能を向上させ促進することであるとしています。
 つまり、小中学校や高校における持続可能な開発の普通教育では、そのための環境づくりと生徒たちを持続可能なライフスタイルに取り組む市民として育成することを重点に置いているのです。また、批判的かつ革新的な考えを育てることで、責任を持つこと、参加すること、意見を提示することといった経験を積むことを目的としています。
 ところが、幼稚園を含む学校の教育目標は、その達成に努めなければならないという現行法の努力規定を、改正案では第23条、30条、46条などで、達成するよう行われるものとすると、学校による目標達成への縛りが強くなっているのです。これでは学校での教育活動が強く制約される危険性があります。さらに、義務教育、高校、中等教育学校、大学の目標に関し、すべて社会の発展に寄与することが求められています。一人ひとりの人間の幸福や人格の発展より、社会の発展の手段としての教育ということが前面に出ているのです。
 フィンランドの教育と比較しても分かるように、これでは、国際的な動向である子どもの権利条約などの条約に逆行するものであり、21世紀の教育の目標として決して誇れるものではありません。
 また、審議の過程で明らかになったように、学校に副校長や主幹教諭といった新しい職を新設することで学校の組織運営や指導体制の確立を図るとしていますが、教頭や教務主任といった従来の職種との関係、職務権限がどうなるのかも不明確で、その多くが法律案の制定後になっています。多くの参考人や公述人から、それなりの定数の配置がなされない限り意味がないじゃないですか、という意見をまさか与党の皆さんは忘れたわけではないでしょう。管理体制を強化することに主眼をおくばかりでは、いまでも大変な教育の事務が、これではますます非効率でより負担が増すものになることは明らかです。
 第2に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案は、曲がりなりにもこれまで進められてきた教育行政の地方分権化の動きに歯止めを掛け、文部科学省を頂点とする中央集権的な教育行政への後戻りを起こすような内容になっています。その具体的規定が、多くの教育委員会から批判が出た、文部科学大臣による第49条の是正要求と第50条の指示であります。
 振り返ってみれば、このことは、昨年の秋、安倍自民党総裁が総理に就任した途端に報道が加速をしたいじめ自殺問題や、高校、中学校での教科未履修問題における教育委員会の対応の遅れや不適切さがきっかけとなっています。
(議長(扇千景君) 水岡君、時間が超過しております。簡単に願います。)
 これらの規定は、改正教育基本法第16条、規定された教育への国家関与を具体的に規定したものであり、大きな問題をはらむ内容となっています。
 さらに、第55条の2において、教育委員会の共同設置その他の連携を進めようとしています。これは教育行政の広域化であり、教育行政と地域住民の距離を広げることになってしまいます。これも、改正教育基本法で国民全体に対する直接責任が消されてしまったことと深くかかわっています。
(議長(扇千景君) 水岡君、簡単に願います。)
 これでは、教育行政が国民よりも国に目を向けて行われていく危険性が極めて強いと危惧せざるを得ません。
 第3に、教育職員免許法の一部を改正する法律案についてであります。
 教育改革国民会議の提言を受けて教員免許更新制等について審議をした中央教育審議会は、2002年2月に教員免許更新制については否定的な見解を示した答申を出しました。しかし、2006年7月の答申では180度転換し、今度は更新制に前向きな姿勢が示され、教育再生会議第1次報告で導入が提言をされ、今回の教育職員免許法の一部改正案となった経過があります。
(議長(扇千景君) 水岡君、簡単に願います。)
 この間、2002年2月の答申で指摘されていた他の公務員との関係における身分保障に整合性があるのか、教員の資質向上策として妥当なのかなどの疑念は一切晴らされることはありませんでした。
(議長(扇千景君) 水岡君、まとめてください。)
 しかも、教職への人材確保という観点からはむしろマイナスの制度として機能する面について何ら考慮されていません。
 また、今回の教員免許更新制は、現在実施されている10年次経験者研修との整合性について、審議のなかで納得する答弁が聞かされていませんでした。
(議長(扇千景君) 水岡君、時間が超過しております。簡単に願います。)
 参考人質疑や地方公聴会でも、多忙な学校現場の状況を踏まえ、教職員の定数増など、教育条件整備が必要であるとの意見も多く出されました。
 このように、教員免許更新制は、多忙な教員に子どもたちに向き合う時間をさらに奪い……
(議長(扇千景君) 水岡君、まとめてください。)
 教員締めつけの施策であり、教育現場を萎縮させるだけのものでしかありません。
 子どもの教育の質を向上させるために最も必要なのは教育予算の充実です。安倍総理は、教育改革を政策の最重要の柱と位置づけているにもかかわらず、行革推進法の教職員定数の削減規定に縛られ、身動きできない姿を昨日の委員会でも見せてきました。総理は一向に予算を増やそうとしません。つまり、総理は言うこととやることが全く違う人物であります。
(議長(扇千景君) 水岡君、まとめてください。)
 こんな人に規範意識を語る資格はないものと考えますが、いかがでしょうか。
 このままでは、わが国の教育に対する公的支出の総額は、GDP比で3.1%と先進国平均の5%を大きく下回っているままで、教育再生など夢のまた夢であります。
 これに対して、民主党は教育関連4法案を提出し、排除の論理に基づく教員免許の更新制とはせず、教員の資格、身分の尊重、適正な待遇の保障を行うとともに、教員免許を6年の修士に与えることや、1年間大学院での研修を保障することによって教員の指導力を充実させていくことを主張してきました。
(議長(扇千景君) 水岡君、このままですと発言を中止せざるを得ません。簡単に願います。)
 また、教育行政の体系を簡素化し、現場の主体性を尊重することにより、教員を教育に集中できる環境をつくることを求めてきました。その上で、教員がその崇高な使命を果たして職責を全うするためには、人員の確保や養成、研究の充実等が不可欠であり、また必要性が叫ばれて久しい少人数学級を実現するためにも、教育予算の増額を法案で明確に規定をしております。
(議長(扇千景君) このままですと発言を中止せざるを得ません。)
 さて、教育関連7法案の参議院での審議は先月21日から始まり、文教科学委員会では双方の提出法案について順調に審議を重ね、今月15日には中央公聴会も開かれました。私たちがここまで丁寧に審議に応じてきたのは、別々の法案を提出している与野党が何とか妥協点を見い出して、少しでも良い法律を成立させたいという意味からです。
 文教科学委員会では、われわれは、政府の教育3法案の欠陥について、教育を受ける側に立った視点を重視するなかで様ざまな点において主張してきました。そのことは、もうすでに私が申し上げるまでもなく、与党がよくお分かりであります。
 文教科学委員会で、重大な問題点がたくさん残り、まだまだ慎重審議が必要であるにもかかわらず、勝手な都合で審議を打ち切ってしまった狩野委員長に対して、私たちはここに解任決議案を提出いたします。

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