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| 2007年5月24日 第166回国会 文教科学委員会 |
政府案「学校教育法等の一部を改正する法律案」
民主党案「学校教育の環境の整備推進による教育の振興に関する法律案」等
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10年経験者研修を残して、教員免許更新で30時間は、
意味がなく教員自身に過重負担をかけるだけの講習
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参議院議員 水岡 俊一
水岡 俊一・参議院議員
荻原(健司)委員の方から部活動のお話をいただきまして、本当にうれしい思いをして聞いておりました。部活というのは教育課程のなかにはないけれども、教員の仕事のなかにあるんだというお答えもあって、私の教員時代の記憶をたどってみても、部活動が一体何10%占めていたのかなという思いもあるところです。
そこで、部活の手当の話がちょっと出たので、ぜひ、この際、確認をしておきたいと思うのですが、文科省の方で部活の手当というものについて、現在の状況、どれぐらい支払われているのか、分かれば教えていただきたいんですが、どうでしょう。
銭谷 眞美 文部科学省初等中等教育局長
現在、運動部に限らず部活動の顧問をする教員の方には、各都道府県の条例によりまして、土曜日、日曜日などの部活動指導につきまして部活動手当が支給をされております。この支給額は県によりまして若干の差異がございます。国は、1日4時間程度の部活動指導につきまして日額1200円を基準として国庫負担するとともに、各都道府県の負担分について地方交付税措置をしているということでございます。
水岡 俊一・議員
局長、月曜日から金曜日についての部活動は、どうなのでしょうか。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
現在、教員の給与等につきましては、その教員の職務と勤務態様の特殊性から、教員には時間外勤務手当の支給はなじまないという考え方に立ちまして、勤務時間の内外にまたがって包括的に評価して、一律に本給の4%に当たる教職調整額を支給いたしております。
したがいまして、平日の月曜から金曜までの部活動が勤務時間外において行われた場合でも、この教職調整額で言わば考慮をされているということから、部活動手当というものは支給をされないということになっております。
水岡 俊一・議員
予期せぬお答えがありまして、教職調整額のことをお答えいただくとは思ってなかったので、ちょっとびっくりしたのですが、部活動の指導が教職調整額の対象で、含まれるというようなふうにも取れるようなご答弁です。この問題は、しっかりと論議をし始めると、また、これだけで2時間ぐらいは優にかかろうと思いますので、少し後に回したいと思います。
大臣から、精神論だけでは駄目でしょうと、金で釣るというのもおかしいけれども、教員の使命感に対してやはりきちっとした報酬も考えなきゃいけないんじゃないか、というようなお話がありましたが、大臣、土曜日、日曜日、4時間以上に限って1200円の報酬というのはいかがなものでしょうか。
伊吹 文明・文部科学大臣
そこが使命感と、私が申し上げたゆえんのものでございます。
先生のお気持ちはよく理解しておりますので、私も私なりに努力をさせていただきます。
文科省は、部活動に対する考えを明確にすべき
水岡 俊一・議員
もう荻原委員もよくご存じで、本当に部活動を一生懸命やっていただいている先生方が、何もこの1200円が欲しくてやっているわけじゃないということは、もう皆さんよくお分かりだと思うのですね。
私も部活動を指導しながら、手当が若干出るということで受け取りもいたしました。しかし、本当の気持ちは投げ返したいというか、そういう気持ちで一杯でありました。4時間も5時間も炎天下であろうが、もう真夏のあの体育館のなかであろうが、一生懸命子どもたちと走り回ってする仕事に対して1200円かと。まあ県によっていろいろありますが、それほど多くの差はありませんし、おそらく私は多くの教員のその日の通勤手当すら出ていないと思っております。まさに使命感のみでありますし、いいことか、悪いことかは別にして、多くの教員が自腹を切って車を購入したり、いろんな面で部活動を支えるということを多くの教員が頑張っているという状況のなかで、これはやっぱり考えていかなきゃいけないというふうに思うんですが、部活動の指導はこの免許の一つの大きな要素として考えるおつもりは局長ございませんか。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
やはり、教員の免許は、教科というものを中心に現在構成されているわけでございます。ですから、この部活動というのは、先ほど来お話が出ておりますように、教員の教育活動として、その職務として、その指導を行っていただくわけでございますけれども、免許そのものはやはり教科中心ということでございます。部活動の内容等について、もちろん教員養成段階、あるいは講習の段階で学ぶということはあると思いますけれども、免許の主たる内容というわけではないと思っております。
水岡 俊一・議員
私、教育大学出身でありますけれども、少し余分に大学に行かせていただいたので5年間参りましたが、5年間のなかにおいてただの1回たりとも部活動指導にかかわるような講義を受けたことも、実習もありませんでした。また、もう皆さんご存じのとおり、教員採用試験にもそんな項目はございません。そして、免許にもそのことはかかわりがないという状況のなかで教員の仕事だと言われる。しかし、日常の業務で超過勤務になっても、それは支払対象ではないと言われる。土曜、日曜は、4時間以上になったら一定の額、つまり3時間でやめたらないのですよ。
そういう現場の実態のなかで、部活動というものをどうとらえるか。もういい加減にきちっとした考え方を文科省として持つべきですよ。やっぱり、それは勉強、座学だけじゃなくて、スポーツを通して人間形成をしていきたいと、あるいはそのことが重要だということはもう荻原さんのお話にもあったとおりであります。そのことに異論を挟む人は誰もいないはずなのです。しかしながら、そのことについてきちっと手当てをするということが、あるいは文科省としてきちっと考え方を持つということが、いまだにできていない。これは日本として非常に恥ずかしいことだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
そういうことを考えていないわけじゃないと思うんですよ。まあ率直に言うと、いまの国家財政と地方財政のなかでどういうふうに仕組んでいくかということだと思いますね。
いずれ、これは予算編成過程で、先般の総理出席の第1回目の、この委員会の質疑でもいろいろな面から教育予算の充実のお話がございました。ですから、われわれの仕事は、理屈でこうだ、こうすべきだということを言っているだけじゃ、行政というのは何にもやってない評論家と同じことになっちゃやっぱり駄目なんです。
ですから、評論は評論のお立場があるように、行政には行政の立場がありますから、何から手をつけていくのか。定数の問題もありますし、給与の問題もありますし、それからいまのその部活の手当の問題もあります。あまりに大臣が替わったから一度にすべてやれとおっしゃられても、やっぱり税負担の問題もありますから、先生のいまのお気持ち、これは私も共有しているということでご理解をいただいて、ご一緒に協力して、予算その他についてまず風穴を空けていかなければいけませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
水岡 俊一・議員
誤解があってはいけませんので申し上げると、お金を出していただきたいということを考えてほしいと言っているわけではないのです。学校教育のなかで本当に多くの部分を占めているということをみんなが認めているわけだから、まず、そのことについてきっちりと文科省としての考え方を持ち、その指導について、指導力をどう高めていくかとか、あるいは教員になる方々にそういったものをどう身につけていただくかとか、これから考えていかなきゃいけないと。そういうことを考えるのが免許制度だと私は思うんです。
本題に入ってまいりたいと思いますが、現在、日本で免許の更新制という言葉を聞くと、皆さん誰しもが思うのは運転免許証でございますね。運転免許証の更新というのはピンとくるということでありますが、日本でそのほかに更新をしなきゃいけないような免許というのはどういう免許があるのか、文科省の方、お分かりであればお答えをいただきたいと思います。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
わが国におきまして免許更新制を採用している国家資格といたしましては、先生からお話のございました運転免許のほか、水先人の免許、それから狩猟の免許、海技士の免許などを承知いたしております。
水岡 俊一・議員
それらの免許の更新要件というのは大体どういうものか、教えてください。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
運転免許についてはご案内のとおりだと思いますけれども、先ほどの三つの免許について申し上げますと、まず水先人の免許でございますが、有効期間満了の1年以内に水先免許更新講習の課程の修了が必要でございます。なお、この講習時間は12時間以上というふうに承知をいたしております。それから、狩猟免許では、視力や聴力等に関する適性検査の合格が必要というふうに承知をいたしております。海技士免許でございますが、これは身体検査と、そのほか1年以上の乗船の履歴、または更新の3ヵ月以内に海技免許状更新講習の課程の修了が必要というふうに承知をいたしております。
水岡 俊一・議員
そのほかにも幾つか更新をしなければいけない更新制が導入をされている免許というのはあるようでありますが、私はそれを調べてみて思ったのは、ほとんどが、身体の適性検査であるとか、あるいは技能が落ちていないかという実技的な検査等がほとんどだというふうに思いました。
それから、もう一つ感じたことは、免許を所有している人が数10万人にも上るようなそういった免許状の更新制というのは、これはないんじゃないかと思いますが、これはどうでしょう。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
運転免許については、これは本当にたくさんの方が取得をされているわけでございますけれども、ちょっと水先人、狩猟免許、海技士免許につきましては、取得者の数については把握をいたしておりませんが、数としては教員に比べると少ないというふうに思います。
水岡 俊一・議員
実際には、おそらく数10万人が所有をしている免許状を、もし更新制にしたとしても、更新に係る制度、それから費用、そういったものを考えると現実的ではないということで、いままで導入をされていないという理由もあったのではないかと思いますが、ここに来て、教員免許の更新制をどうしても入れるというお考えがあるわけですけれどもね。
その教員免許の更新制導入の目的というのをちょっと改めてお伺いをしたいんですが、いかがでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
教員の目的というのは、法案提出の際にも私はお話をいたしましたように、人間の性格だとかというものは、なかなかこれはもう変えようとしても変えられませんので、そこを無理に変えようというものじゃなくて、やはり知識、技能、こういうものの刷新を図るということで、実はこれは、しかし、水岡先生、御党も更新の提案をしておられるわけでしょう、更新という意味では。ですから、御党の提案者にも同じことをお聞きいただきたいと思います。
免許更新の目的で、文科大臣と総理に大きな差
水岡 俊一・議員
後ほど聞かせていただきたいと思います。
いま、大臣は、性格というのは変わらないだろうけれども知識とか技能とかという言葉をお使いになりました。私は、そこに伊吹文科大臣のきちっとした思いがあるんだというふうに理解をしているのですね。
これはどういうことを言っているかというと、実は安倍総理は、これまでの衆議院の本会議等でこういうふうにおっしゃっている。教員がその時々、必要な知識、技能を確実に身につけることは教育の充実を図る観点から極めて重要、10年に一度、資質、能力を刷新する教員免許更新制の導入が必要というふうにおっしゃる。すべての先生が最新の知識、技能を身につけ、10年に一度の教員免許更新により資質と能力を改めて磨くことは教育再生に資するもの、こういうようなお話があった。これは、総理と大臣との間には大きな差があると私は見たのです。
それで、あえてお聞きをしたいのは、資質とは一体何のことなのだろうということなんですよね。資質というのは、これは調べてみますと生まれつきの性質とか才能なんです。つまり、生まれつきの性質とか才能を刷新するというのは、これまたどういうことなんでしょう。これ、人間改革をしてしまうというか、何か人物を変えてしまうということに……
伊吹・文部科学大臣
いや、違う、違う。それは広辞林がいろいろ、それは違いますよ。
水岡 俊一・議員
じゃ、大臣からお答えをいただきたいと思います。
伊吹・文部科学大臣
いろいろな辞典等に資質というのをどう書いてあるかを参考人からちょっと後ほど申し上げさせますが、これは先生、資質というのは大言海だとか広辞林だとかでいろいろ書き方が違います。
ただ、私が申し上げているのは、国際化が進み、価値観がどんどん変化して、自然科学も進んでまいりますから、やはり本来生徒に教えるべき最新の知識を持ってもらうと同時に、生徒を把握する力、これをやっぱり身につけてもらいたいということで、私の考えと安倍総理の考えは、私は資質という言葉の使い方についてはそんなに変わってないと思います。
しかし、先生がおっしゃったことで私と全く違う考えを持っているのは、再生会議だと思います。再生会議はこの教員免許制を使って教員を排除するという考えを持っているわけですよ。それは、私はやっぱりおかしいと思うんで、駄目な先生が教壇に立ってもらうということは、生徒児童のために困るわけですから、これは分限でやるべきことであって、本来、免許の更新という知識、技能に当たるものは、それはやっぱり研修で磨いていくべきものだと、そういう意味で私は知識、技能ということを申し上げているわけです。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
実は、教育職員免許法自体が第1条に「この法律の目的」として、「この法律は、教育職員の免許に関する基準を定め、教育職員の資質の保持と向上を図ることを目的とする。」というふうに、まず規定をいたしてございます。ここで教員に求められる資質というのは、通常私どもは、教職に不可欠な力量の総体というふうに解してございます。具体的には、教育的な愛情、使命感や豊かな人間性、教科の指導力、生徒指導の力といったようなものの総体であるというふうに理解をいたしております。
そして、先ほど来大臣の方からご答弁を申し上げております知識、技能でございますけれども、これは資質の主な要素が知識、技能であるという認識でございます。今回の免許更新制は、この知識、技能の刷新を図るということを目的とするものでございまして、それによりまして資質が向上するものと認識をしているわけでございます。
水岡 俊一・議員
局長に丁寧なお答えをいただきましたが、そこで気になってきたのは、じゃ刷新という言葉ですね。刷新という言葉、僕も分からないので辞書を引いてみました。広辞苑によりますと、刷新、弊害を除いて事態を全く新たにすること。例えば、政界を刷新する、誌面を刷新する。これはよく分かりますよね、この刷新という言葉。
この資質の刷新というのは、これどういうふうに理解するんでしょう。例えば、いま資質をそういった総体の力だというふうにおっしゃいましたが、実際には資質というのは、私たちはどういうふうに使うかというと、例えばいまの教員としての資質があるかどうか、作家としての資質があるかどうか、医師としての資質があるかどうかと、こういう話ですよね。そういうような資質というふうに、辞書がどう書いてあろうが、皆さん、ほとんど100人が100人ともそういうふうにお考えになるなかで、これを全く新しくするという言葉で刷新というふうに言うと、これは一体何なんだろうというふうに私は思うんですが、いかがでしょう。
伊吹・文部科学大臣
いや、私も国会議員として、そう資質のある方じゃございませんので適切な答弁じゃないかも分かりませんが、作家としての資質、あるいは国会議員、政治家としての資質というのは、その人がやはり政治家として持っている広範な知識、あるいは厚み、この厚みというのは、心の厚みをつくっていくためには、やっぱりいろいろな過去の、何というんですか、教養の積み重ねのようなものありますから、だから、何を刷新するかといえば、いままでそうやって積み重ねてきたけれども、事態の、周りの状況の変化によって古くなっているものをこそぎ落として新しいものつけていくということだと思います。
水岡 俊一・議員
局長のご答弁のなかには資質を保持するとか向上させるとかというお話があったので、それは、私は理解できます、それはね。作家としての資質をさらに磨きを掛けるとか、医師としての資質に磨きを掛ける、向上させるということは理解ができますが、刷新という言葉は、私も複数の辞書を引いてみたんですよ、ほとんど同じことしか書いてない。つまり、まったく新しくするということと書いてあることから見ると、これはそぐわないなという気持ちをすごく持ちました。
ですから、今朝の北岡(秀二)委員のお話もありましたが、何か表面的な言葉のニュアンスに惑わされないようにしなきゃいけないな、ということを改めて私は思ったんですが、何か文科省のおっしゃりたいことは刷新という言葉ではなかったのではないか、もう少しちゃんとした適当な言葉があったんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょう。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
先ほど来申し上げておりますように、世のなかが時々刻々と変化しているなかで、10年に一度、教員が生徒に教えるべき最新の知識と生徒を把握をして効果的に教える技能、これを身につけるということによりまして、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにするということが、この免許更新制の導入の趣旨、目的でございます。
この場合、刷新という言葉を使ったりもするわけでございますけれども、刷新というのは、古いそういう知識あるいは技能というものをそぎ落として新しい知識や技能を身につけるという意味で用いているところでございまして、用語の使い方として、これが最も適切かどうかということはあろうかと思いますが、意味している内容はそういうことでございます。その知識、技能を身につけることによりまして資質の向上というものが図られていくというふうに私ども考えております。
水岡 俊一・議員
局長のお気持ち、あるいは大臣のお考えというのは私なりに理解をしているつもりですが、これはやっぱり適当ではないと思います。一度、文科の関係の国語学というのですか、言語学の専門家に聞いてみてください。これはおかしいですよ、やっぱり。
これは、そういった意味ではどうしてこういう言葉が出てきたのかと私なりに考えてみると、教育再生会議のなかで出てきている言葉ではないのかなというふうに心配をするところがございます。例えば、総理の社会総掛かりという言葉、これは本当に受け止め方として前向きにとらえたい言葉ですが、これも教育再生会議で出てきていて、教育再生会議が意味している中身というふうに考えると、私たちは、はてちょっと待てよというふうに考えなきゃいけないと、私は思っているところであります。
いずれにしても、本当に、この教員の免許制度を変えていくという重大なこの局面で言葉の使い方というのはやはり重大な問題でありますし、本当の文科省の真意がほかにあるんであればほかの言葉にすべきだと私は思っております。
そんななかでいま、教員の資質をどうやって向上させるかというお話も若干出てきたわけでありますが、そこで民主党の発議者が今日はお2人座っていただいていますので、民主党の教免法の改正案を出しておるなかで、民主党は教員免許、修士を卒業した者に与えるというような考え方を持っていますよね。そこで、なぜ修士にするのかという辺りをぜひお聞かせをいただきたいんです。どうぞよろしくお願いします。
西岡 武夫・民主党案発議者・参議院議員
この問題は、実は本来ならば長い経緯がございまして、委員ご承知の人確法という法律(学校教育の水準維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法)ができた当時から、この法律、人確法という法律と一緒に教員の養成制度を抜本的に変えなければいけないという議論が当時からあったわけでございます。これがセットになって初めて意味を持つものであると。ところが、残念ながら教員養成の問題につきましては今日まで実現をしていないままに、人確法も当初の目的が大きく現在それてしまいまして、ほとんど有名無実になりつつあるという非常に残念な状況にあると。こうしたなかにあって、私どもは改めてここで教員養成制度を抜本的に改革することがいま最も求められていると。
その理由は幾つかございますけれども、一つは、一体、専門職としての教師、この立場を考えましたときに、子どもさんを学校にやっている保護者の皆さん方の学歴が、すでにもう大学卒の方が過半数を占めるという状況になっていると。そうしたなかにあって、教師の専門性とは一体何なのかということが一つ大きな問題であるというふうに思います。
それともう一つは、教師にふさわしい学力というものを果たしていまの4年制の学部段階で身につけることができるのか。
もう一つは、教師というお仕事は、まさに人間形成そのものにかかわる、まあ私、自分が日頃から思っているんですけれども、これほど崇高なお仕事はないと思うんですね。この人間形成にかかわる仕事をしていただいている。また、それに携わるからにはより高い学力、知識、技能というものが求められるだろうと。これを学部の4年間の間に身につけるというのは、物理的、時間的にも無理があるのではないかと。
現に、委員も十分ご経験になってご承知のとおりに、いかに多くの知識を持っておられる先生でも、これを教えるということと知識がたくさんあるということとはちょっと違うんですね。教え方が上手な先生というのは、私自身の体験からいいましても、また、私の兄弟のなかでもいろんな先生に遭遇して、そういう関係からも経験がございますけれども、非常に教え方のうまい先生というのはおられる。また、人間性豊かな先生という方もおられる。
そういうことを考えますと、子どもたちの立場からいたしますと、学校に行ったと、新しい先生が4月の初めに教壇にお立ちになったと、その先生も子どもたちにとっては、まさに先生なんですね。10年、20年やっておられる長い経験を持った先生も、今日から教壇に立たれた方も同じ先生であるということを考えれば、教員養成に力を入れることこそが教育の基本的な問題ではないだろうかと私どもは考えまして、特に、教師として教壇に立って子どもたちに教えるというまさに教育の、私は、あまり技術という言葉は適当ではないと思うんですけれども、教育の仕方というものを、ご承知のように、現在のように2週間とか、4週間で身につけるというのは非常に困難だろうと。
私はかねがね、まあ最低、どんなに少なくても半年は必要じゃないかと思っていたわけでございます。今回、私ども民主党の案としては1年間の教育実習を行うと。1年間ということになりますと、教師になろうとしておられるご本人も、自分が学校の先生として適しているかどうかということも十分自覚されるといいましょうか、ということもあります。これを考えますと、4年間のなかに1年間、教育実習というのを持ち込むのは、時間的に非常に難しい。
それと、一般の大学の教育以外に教育課程の、非常に教師を目指される方々は過重な負担なんですね。一般の大学の教育課程をやりながら、教科を学びながら教育課程を学ぶということは非常に過密なスケジュールになっていると。
それともう一つは、これだけ学問の進展が目覚ましい状況のなかで、より高い学問水準を身につけてもらうと、先端的な学問の水準を身につけてもらうということを考えますと、やはり、ここでは修士課程ということが最低限求められるのではないかと、このように考えたわけでございます。
教育実習は、教員になる大きなハードル
水岡 俊一・議員
私事で毎回恐縮ですが、私は教育実習を合計2ヵ月しました。それは、最初の免許状を取得するときに1ヵ月の実習がありましたし、副の免許状を取るときに2週間の実習が要りましたし、それから、私は、後で小学校の免許状も取りましたので、このときに2週間また要りました。合計8週間やったのでありますが、私自身振り返ってみると、もっとやりたかったなという思いも実はあります。オリエンテーションをしながら、もうあっという間に子どもたちと別れなきゃいけないときがやってきて、自分が本当に子どもたちと何をやったのかなと、何を子どもたちのなかに、自分のなかに見つけることができたかなということを考えると、やはり短いなという思いを持ちました。
それから、一つ、大臣、僕、申し上げたいのは、私の仲間、多くの仲間が一緒に教育実習を受けました。教育実習が終わると、はっきり分かれるんですよ。何としても教員になりたいという友だちと、やっぱり自分には何だかちょっと向かないな、という顔つきをする友だちと、はっきり分かれるのですよ。やっぱり、その後に、教員採用試験の準備に掛ける熱意であるとか、そういったものも変わってくるということで、教育実習というのは、本当に大きな、大きな、自分にとっても、その教員になるという一つの過程のなかにとっても大きなハードルだというふうに私は思うので、今後もこういった観点をぜひお考えをいただきたいなと、こう思っているところであります。
重ねて民主党の発議者にお聞きをしますが、民主党は、採用されてから8年ぐらいをめどにして改めて大学院で1年間の研修を行うことを一つ考えていると、こういう法案を出されました。この点についてのお考え、それから、その1年間の中身としては例えばどんなことが想定されるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
鈴木 寛・民主党案発議者・参議院議員
ご指摘のとおり、教員の皆さま方には、実務に就いて8年たった段階で、教職大学院等でもう1回、その8年間を総括し、そして自分の資質、能力というものをさらにどう磨いていくのかと、そういうことも考えていただき、そして学び直していただく、そういう機会をつくりたいと思っております。
具体的には、学校経営、まさにこれから教頭先生あるいは副校長に今度なればなるんでしょうけれども、そうしたやっぱり学校をどういういい学校にしていくか、このスクールマネジメントという方向に進んでいきたい、あるいは進んでいかれることに適した方、こういう方のためのコースでありますとか、あるいはスーパーティーチャーという言葉がありますが、例えば算数を教えさせたら本当にどんな子でもうまく分かるように、そうした教科指導をもっと究めていきたいとか、あるいはやっぱり生活・進路指導と、いま、いじめの問題、心の問題、いろいろございます、それからやっぱり中学生にもなれば、これから将来どういうふうに自分の人生をつくっていくのか、こういったことの指導、それからカウンセリングというようなこともこれから非常に重要になってくるかと思いますが、そうした三つぐらいのコースを学んでいただいて、そしてその結果、専門免許状を取得していただこうと、思っております。
私どもは、今回のこの教員免許改革法案において、やはり先生方が一番望んでおられるのは、確かにお給料とかもあるかもしれませんけれども、やっぱり自分をもっともっと高めていきたいという思いをほとんどの方は持っておられると思います。そうした皆さま方に、ぜひ、そういう思いを持っているすべての教員の皆さんにチャンスをお与えしたいと思っておりまして、でありますので、任命権者にも、この教員免許改革法案の中では、大学院修学、専門免許状取得のための機会を提供する義務をやっぱり課すと。
それから、当然そうなりますと1年間修学のために教員は現場を離れなきゃいけませんから、当然その分は定員できちっと補充をしなければいけない、こういうふうに思っております。さらには、特別の奨学制度も設けて、万全の体制、環境を整えて、もう1回自分の資質、教育力、指導力を磨き直してくださいと、こういうことを盛り込んでいるところでございます。
これだけ十分な機会を提供し、そうした機会がありながら、10年経過してもなお免許状を取得しないという教員、まあこういう教員はほとんどいないとは思いますが、そういう教員に対しては、演習を含む約100時間の講習を義務づけて、その講習も嫌だ、受けない、あるいは修了できないと、こういう方は、その何というんですか、教師を続ける意欲として、これはいかがなものかということでございますので、そこは免許を失効させていただくという考え方で、教員の8年たった、本当に学校における中核な人材にこの30代になっていくわけでありますけれども、その前段階でそういう研さんのチャンスをきちっと確保しようということを考えているところでございます。
30時間研修では、教員の専門性が高まらない
水岡 俊一・議員
私も民主党案に多少かかわった人間として、やっぱり私たちは専門職としての学校教諭、教員の専門性、そういったものに着目をしたいという思いがそこにあったということがいまのご説明でもお分かりだと思うのですね。
そこで、教育の専門性という言葉については、これは文科省の方はどういうふうにとらえておられるのか、ぜひ、この機会にお聞かせをいただきたいと思います。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
専門性ということでございますけれども、教員に求められる専門性というのは、やはり児童生徒に教育を授けるために必要な知識と技能ということになろうかと思っております。
水岡 俊一・議員
それでは、その専門性という問題について、短い言葉でありますけれども、そういった理解をしたとして、そういったものを高めるために政府は30時間の講習をというようなお話がございました。すべての教員が自信と誇りを持って教壇に立てるように30時間の講習を受けると、こういうことでございますが、この講習内容についてはどういったことを、お考えになっているんでしょうか。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
昨年の7月に出されました中央教育審議会の答申におきましては、免許更新講習の内容について、一つは、使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項、二つには、社会性や対人関係能力に関する事項、三つには、幼児・児童生徒理解や学級経営等に関する事項、そして4点目には、教科・保育内容等に関する事項、こういった事項を含めることが必要と、こういうふうに答申をしているところでございます。
具体的には、教育をめぐる最近の状況、教員としての服務等のあり方、あるいは児童生徒あるいは保護者との人間関係、職場の人間関係、さらには子ども理解、生徒指導、教育相談、キャリア教育、さらには各教科、道徳、特活の教育内容、あるいは指導法、ICT(情報通信技術)教育教材の活用、さらに、それぞれの教科の最新の専門的な内容と、こういったようなことが基本的には考えられるわけでございます。
水岡 俊一・議員
いまお聞きをしました内容というのを考えてみますと、現在行われている10年経験者研修、これと比較をしてどうなんだろうかということが、大きな問題になると思っています。文科省としては、10年の経験者研修をどのように評価をされて、この30時間の講習とどんなふうな関係を持とうとされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
10年経験者研修は、公立学校の教員を対象に教育公務員特例法に基づきまして実施をされているものでございます。公立学校の10年を経験された先生方に対しまして、それぞれのある意味では得意分野づくりを促すといったような観点から運用を、いまされているところでございます。
10年研修は、学校内でのいわゆる校内研修、これが大体20日間ぐらい、校外での研修が20日間ぐらいという内容で実施をされております。実態としても、校外研修は17、8日程度実施をしているところが多いように把握をいたしております。10年を経験した公立学校の先生につきまして、それぞれの得意分野を言わば深掘りをするといったような形の研修が各都道府県、政令市の教育センターを中心に講習としては実施をされているというものでございます。
一方、免許更新制に基づきます更新講習は、国立、公立、私立すべての教員に基礎的な資質能力を共通的に身につけさせる、そういう制度として構想されているわけでございます。教員として必要な最新の知識や技能というものを学んでいただいて、言わばその知識、技能を新たにまた身につけていただいて、それからの教員生活を送っていただくという、そういう制度でございます。講習時間は、先ほど来お話し申し上げておりますように30時間以上ということでございますので、10年経験者研修よりは時間的には短いということになるわけでございます。
なお、先ほど申し上げましたように、10年経験者研修の校外研修は主として各教育委員会の教育センター等で実施をされているわけでございますが、免許更新講習は教職課程を有する大学が開設者となって、そこが中心となって実施をするというふうにいま法令上は考えているところでございます。
実施機関、それから教授の内容、それから10年研修は修了認定というのは特にありませんが、そういったようなことで両者は異なる性格を有しているというふうに理解をいたしております。
10年経験者研修の評価を
水岡 俊一・議員
教育の専門性ということはどういうことですかとお尋ねをし、そして、そういったものを講習で、講習内容のなかに盛り込みながら教員の教育力を高めていくということにつながっていくんだろうと私は思っているのですが。
いまお話の出た10年経験者研修というのは、ご案内のとおりに、20日プラス20日、40日間、全部をやらないにしても、1日6時間にすると240時間、240時間やらないにしても200時間を超える講習があるわけですよね。これは大変な労力を使って、あるいは時間を費やして教員の人たちはこの研修を受けているわけです。この研修の中身が、最新の知識であるとか、あるいは重要な事項であるとか、あるいは時代が要請している例えば子どものいじめ問題であるとか、カウンセリングの問題であるとかということを除いてするはずがないと私は思うんです。
現に、これは滋賀県で行われている10年経験者研修の中身を少しご紹介したいと思うんですが、全員の共通研修として、一つは、教職員のためのメンタルヘルスの講義を受ける、自己の振り返りとキャリアデザインということで講義をし、演習を受ける、それからコーチングを生かした生徒指導という講義、演習を行う、それから発達障がい児の理解と支援という講義、演習、研究協議を行う、いじめ問題への対応とその指導という講義、研究協議を行う、その講師は大学から招いた講師もあり、臨床心理士もあり、現場の先輩もい、そういったなかでやっている研修で、その費やす時間について大変負担だということを除いては、これは私はそれなりに意味のあることだと思うんですね、中身を追求していけば。
それが、200時間を超えてやられている内容にさらに加えて30時間をすることによって、すべての教員が自信と誇りを持って教壇に立てるようになるための30時間って何なんだろうと私は思うんですよ。10年経験者研修をどう評価するか。どう、この研修を意味づけるのかということと、教員の免許更新制に使われる30時間というものは趣が違うとはおっしゃったけれども、これは理解できないですね。ちょっと短く端的に答えていただきたいと思います。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
先ほど来申し上げておりますように、免許更新制における免許更新講習は、免許を取得して9年目ないし10年目の国公私立のすべての教員の方を対象に、教員として必要とされる知識や技能について最新のものをまた身につけていただくための講習でございます。これにつきましては、修了認定等も行うものでございます。
一方、10年研修は、10年を超えた、10年を経た先生方が、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの得意分野の深掘りをし、個々の教員の力量に応じた研修を各任命権者において実施をしているものでございまして、やはり趣旨、目的等につきまして、性格も含めて異なるものであると思っております。
ただ、その内容等につきましては、免許更新講習というものが今後制度化された際には、この10年研修につきましても、そのあり方等については、引き続き存続するなかで更新講習とのかかわりについては一部柔軟化等の方向で見直しを行うということも必要になってくるかとは思っております。
水岡 俊一・議員
何だか、どんどんがっかりするようなお答えですね。
言いたいことは山ほどあるんですが、まず、10年研修も残しながらその30時間もやるというところにどういう意味があるのかなと。さらに教員に過重負担を掛けるということになりはしないのかな。200時間を超えるなかで、専門的なことあるいは時代が要請することを、きちっと盛り込んでいけばいいことでありますし、そういったことを考えていくべきだと思います。
少し、じゃ問い方を変えましょう。その30時間の講習内容ってこれだというのをちょっと言ってくださいよ。どんなことがいま、免許更新をしなきゃいけない30時間なのですか。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
先ほど申し上げましたように、教員として必要とされる知識、技能について共通的な内容で講習を行うものでございます。教科の指導法、教科の指導内容あるいは児童生徒理解、学級経営、こういった教員として共通に必要とされる内容について30時間の講習を受けていただくというのが免許更新講習でございます。
教員の免許制をどうするかが、論理的に組み立てられていない
水岡 俊一・議員
ちょっと局長も苦しいんだろうと思いますけどね。ちょっと、やっぱりこれは答弁にはなっていないと思いますよ。やっぱりこれは、きちっと教員の免許制をどうするかということの本質から論理が組み立てられていないということを、露呈しているんじゃないですか、それは。私は、そういう意味で、もっと外部の圧力は別にして、文科省の確固たる、自信と誇りを持ってやってほしいと思いますよ。
確かに、教員が10年を迎える、つまりは中堅として活躍しなきゃいけないという立場に置かれるときに、多くの勉強をしなきゃいけないということは私も思うんですよ。でも、例えば30時間あるいは50時間受けたとしても、もっと100歩譲って、100時間受けたとしても、そういうものを講習のなかですべてカバーするということはまずできないですよ。これはやっぱり日々の取組のなかで、自己研さんもあるでしょうし、仲間同士の高め合いもあるでしょう。また、力のある、指導力のある大学の先生なりの指導も受けながらやっていくということも必要なのでしょう。でも、教員というのはばかではないですから、自分たちでレベルアップしたいという思い、それから自分たちが研修をしたいという意欲、そういったものを大事にするなかでこそ、これは実現するものだと私は思うのです。
そこで、講習内容についてどうかという問題は、いま言ったように論理がどう組み立てられているかということの大きな表れだと思うからこそ、また自分の話で恐縮ですが、お話を申し上げたいのです。
どういうことを言うかというと、つまり教員に求められる、中堅の教員として、あるいはベテラン教員としてどういうことが求められるかというのを、学校の教員を経験した人と学校以外から見ている人たちと、これは大分ずれがあると思うのですね。それはもうしょうがないですよ。それをやっている人と、それを外から見ている人、あるいは親の立場から思う気持ってありますから、それはずれがあるんですよ。
例えばの話をします。私が教員だったころを思い出して考えてみますと、6校時の授業が終わります。ピンポーンとチャイムが鳴ります。6校時の授業が3時10分に終わりました。理科の授業が終わりました。子どもたちが礼をして出ていきました。残念ながら割れたビーカーがあるのでそれを片づけて、それが薬品のビンに影響を及ぼしていないかということをチェックをしながら理科室でがたがたやっていると、もう掃除が始まって全校ざわざわとしている。
しかし、そういうなかにあって、先日もやけどの事故が起こったから、ごみ焼き場にすっ飛んでいって、子どもたちがそういったやけどを負わないように、ちょっと監視をしなきゃいけないと思ってすっ飛んでいくんですよ。そうしているうちに子どもたちがやってくるんです。先生、先生、トイレが詰まっている。じゃ、トイレが詰まっているのだったら、ちゃんとこういう器具を使って取れと、こういうふうに指示をするじゃないですか。そしたら、やりますと言って、やった。先生、今度は何かお菓子の袋とかたばことか出てきた、どうしましょうと、こうまた、じゃすっ飛んでいく。
そういっている間に、終わりの学級活動の時間になる。そうすると、今日はどうしても次の野外活動のための実習費を集めなきゃいけない。そういうお願い文書を子どもたちにちゃんと配らなきゃいけないから、それを持ってすっ飛んで上がっていく。それを配りながら、子どもたちの顔を見ながら、いつもお金がなかなか納められなくて困っている子がどんな顔をしているのかということも少し気になりながら見てなきゃいけない。そうして、その終わりには、次の学習発表会のクラスの出し物についてちゃんと指示をしておかなきゃいけない。
こうやっているうちにチャイムが鳴って、今度は部活動が始まる。部活動が始まっていると、呼びに来るわけですよ。先生、先生、今日の練習は試合の形式をするから、先生、審判してくれないと困るんだと言うから、また走っていって審判をする。そうしていると、校内アナウンスで、水岡先生、すぐ会議室へ来てくださいと。何か。修学旅行の企画会議ですよ。企画会議で、修学旅行をどうやってやるのだ、何か子どもたちに参加学習的なことができないかとかという企画をし、そして、それをレポートに書く。レポートを書かなきゃいけない、これはいつまでに書かなきゃいけないか、あさってまでには書かなきゃいけないと言っているときに、子どもたちは部活が終わって下校する。下校すると、今度は、自転車通学ですから、事故が起きないように、また交通指導に出ていかなきゃいけない。
こういうのが、学校の6時間目が終わってからの教員の一コマですよ。こういうなかにあって、教員の専門性であるとか、あるいは中堅教員の信頼であるとか、あるいは頼りになる教員、先輩格としてやっていかなきゃいけないという資質を磨かなきゃいけないわけですよ。
だから、こういうことを文科省の方にはぜひ考えていただいて、そういう教員を支援しようではないかと、教員の力を高めて、それが子どもに向かうように、もっともっと支援してやろうじゃないかということがあるんなら、僕は50歩も100歩も譲って、そういう免許の更新制も、それは考えようということになるわけです。
だからこそ、民主党の案のなかには、教員の力を高めるためにどういう支援の仕方があるのか、それは裏づけの教員の話もあるし、あるいはそういった機会をちゃんと保障していこうとかいうことをやっているわけですから、ぜひ、このことについてはお考えをいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
いま、水岡先生のおっしゃったのは、ぜひ、ある教師の1日というのでビデオに撮って、そして多くの納税者に私は見せるべきお話だと思います。
それで、先ほど来、西岡先生もお話しになりましたし、民主党案というのは、水岡先生、非常に私は立派だと思いますよ。しかし、立派だけでは行政はできないのですよ。それは何かというと、まず、修士課程までやるということは、いまは60歳定年で人事管理が行われているわけでしょう。そこへ2年間の教師養成期間の延長がまず始まるわけでしょう。これは、実質的に2年間の定年制延長をしないとできませんよ、学校現場は混乱しますから。で、1年間大学院へ行かせるのはいいですよ。その間、代替教員の準備をしなければなりませんね。だから、やっぱりお金が掛かるんですよ、これ。そういう全体の予算のなかで、納税者の理解を得ながら、どうやっていくのかということができ上がって、初めて政策になるんですよ。アイデアだけなら誰でも言えるんですよ。
ですから、いまいろいろな苦しい財源状況のなかで、民主党の案のいいところもわれわれは参考にさせていただくと私は再三申し上げているわけです。そのなかで折り合いをつけながらやっていかなくちゃいけないんです。だから、いまの参考人との間のやり取りをなさったことも、今回は私立学校も含めて、公教育の一端を担っている私立学校を含めて、すべての教員について10年間のブラッシュアップと、先生がまさにおっしゃった、一番大切なことは職場で経験しながら学ぶ、頭をぶっつけながら磨いていくということなんですよ。われわれも政界に入って、同じ目に遭って、ここまで来ているわけですよ。それは学校現場でも同じことなんです。そういうことも含めて、いままでやってきたこと、そして知識が古くなってきたことを私学も含めて10年目に一度研修をしてみようと。
公立は10年目があるから、別だというわけにはいきません。教員免許というのは私学も国立もみんな同じですから。だから、そこでひとつまとめてやっていこうと。だから、国家資格というならば、いま言った公立に課されている10年研修は公立という立場の人たちが受ける10年の研修なんですよ。ですから、教員免許というものは私学、公立同一の免許でやっているわけですから、それは10年目に一度、実現可能な、フィージブルな形でブラッシュアップをしようということなんです。
先生がいまずっとおっしゃった学校現場の大変さというのは、私もよく理解しています。ですから、民主党案でおっしゃっているいいところも取りながら、やはり現実との調和の中で一歩一歩進んでいくというのが、これは行政を預かっている者の宿命なのです。理想をなくしてしまえば行政はできませんから、いい理想を与えてくださったというふうに私は受け止めているんですよ、民主党案は。しかし、理想だけでは現実は生きていけないということも理解していただいて、その調和の上に物事を進めていくということですから、先生のさっきのご経験は、ぜひ民主党もビデオでも作成してみんなに見てもらうと、そして納税者の理解をやっぱり得ていくということが大切だと思います。
水岡 俊一・議員
理想だけではというお話は、それはそのとおりだというふうに思っております。でも、だからこそわれわれは理想を持ち続けたいと、私たちはね。野党でありますから、理想をやっぱり持ち続けたい。
それから、教育予算が莫大なものが要求されるよというご指摘もそのとおりだというふうに思っております。いまご紹介になられたそれだけのことだけではなくて、例えば、8年、9年、10年に受け入れる大学院の設備をどうするかということを考えただけでも、日本の教員養成大学やら教育学部を持つ大学を大編成しなきゃいけないという物すごい、壮大な計画なんですよね。それをわれわれは持っているということを、ぜひご理解をいただきたいと、思っているところであります。
そろそろ時間もなくなってきましたので、次の話題に行かしていただきたいと思いますが、これはちょっと局長にお願いをしたいと思うんですが、――ぜひともご発言ということですから、じゃ、ぜひ。
西岡・民主党案発議者・参議院議員
委員のお話と伊吹大臣のお話を承っておりまして、理想と現実ということを大臣おっしゃったんですけれども、先ほども私申し上げたように、この問題は決して理想ではないんです。あるべき姿なんです。いまやらなきゃいけない。
先ほど申し上げたように、この課題は30年前にすでに課題になっているわけです。いままでやらなかったんです。やろうと思えばやれるんです、何事でも。教育は総理大臣が国政の最重要課題と言っておられるわけですから、伊吹大臣は、まあお立場上いろいろおっしゃれない点があるかもしれませんけれども、理想ではなくて現実としてやらなきゃいけないんです。
やろうと思えば、例えば私の経験から言いますと、私学振興助成法という法律は、当時はとてつもない法律だったわけです。3年間でやったんです、これは。あるいは人確法という法律も、あらゆるすべての公務員、教育職の公務員を除く皆さま方の大反対のなかで作り上げた法律なんです、政策なんですね。これも発案をしてから立法するまでの間にわずか2年間でやったんです。やろうと思えばできるんです。このことを、ぜひご理解をいただきたい。
伊吹・文部科学大臣
西岡先輩のおっしゃることは政治家として拳々服膺(けんけんふくよう)しなければならない。やはり政権の最優先課題と安倍総理も言っているわけですから、みんなで力を合わせて安倍総理がどこまでやるかをわれわれもサポートしたいと思いますし、同時に西岡先輩もかつて文部大臣をやられたわけだし、政権与党の教育行政の中枢を担っておられたんだから、過去にやろうと思えばやれたとおっしゃっているわけですから、大いにご協力をお願いしたいと思います。
アウトソーシング等では、子どもに向き合う時間は増えない
水岡 俊一・議員
局長にお伺いをしたいのは、先ほど恥ずかしながらご紹介をしました教員の1日の一つのコマの話をしました。
いま、文科省は、アウトソーシング(外部委託)という言葉、それからボランティアという言葉がお好きなようで、こういったことで教員の子どもたちに向き合う時間を増やそうではないかというご提案があるわけですね。それが一つの新しい職であるとかいうことの設置の一つの目的、理由だというふうに私なりに理解もするんですが、例えば、例えばですよ、いま、私が申し上げたような教員の1コマから見て、アウトソーシングできることがあります。ボランティアを使うことができるところがあります。多少はあるかもしれませんね。その点については何かお考えがあれば聞かせてください。
銭谷・文部科学省初等中等教育局長
先ほど水岡先生の教員時代のお話、私もやっぱり学校の先生というのはいろんなお仕事があるんだなと思って伺わせていただきました。本当に水岡先生、いい先生だったのだなというふうに思った次第でございます。本当に水岡先生のような先生について勉強できたら、そういう子どもは本当に幸せだなと。多くの教員の方はそういうご苦労を、またお仕事をされておられるんだなというふうに思った次第でございます。
そこでいま、文部科学省で教職員の勤務実態調査を実施いたしました。そして、先生方、どういう内容のお仕事をして、どのぐらいの時間毎日働いておられるのかというのを調査したわけでございます。結果、大変先生方の時間外の勤務、いわゆる残業時間が多いということが分かりました。それから、先生方のお仕事のなかで子どもと直接向き合う、こういう時間以外の時間が多いということも分かったわけでございます。
私ども、いま、考えておりますのは、こういう多忙な教育現場の先生方への応援体制ということは必要だと考えておりまして、特に教員が子どもと直接向き合う時間を確保するためには、もちろん教職員の増員というのが1番いいわけでございますが、それに加えまして、例えば教員の事務的な職務のアウトソーシング、いろいろな調査とかそういうものが多いということも言われております。そういった教員の事務的な職務のアウトソーシング。それから、教員の方のお仕事について、言わば地域の方とかボランティアの方、そういう方がご協力できる部分もあるんではないかということで、ボランティアの活用といったようなことも含めて、これから教員の子どもと向き合う時間を確保するための方策についてよく検討していかなければならないと思っているところでございます。
水岡 俊一・議員
いろいろ思いはあるんですけれども、子どもと向き合う時間を増やしたいという思いというのは本当にみんな強いのですよ。この時期にといいますか、私は教員をやってから何10年かたって、この時にそういう論議をするなんて思いもしなかったから、子どもと向き合う時間がないということで、私は何度、校舎の陰で泣いたか分かりません。これは本当にお恥ずかしいことですが。例えば、部活動でもそうなんです。子どもたちともっとかかわってやれたら、この子たちの力を引き出してやることができたのにと思うなかで、いろんなことに巻き込まれながら時間がなくなってしまった。あるいは、子どもの悩めるその時間を少しでも少なくすることができたんじゃないか、という反省の思いで本当につらい思いもした覚えがございます。
そういった意味からすると、いま文科省がそういった意味で子どもと向き合う時間をということをおっしゃっていただくことは本当に有り難いんですが、それが本当にそれに結びつくのかどうかということは、これは本当に追求していかなきゃいけないというふうに思うんです。もう今日はあまり時間もございませんから、また次の機会にじっくりとお話をさせていただきたいと思いますが、一つ紹介をしておきたいと思うんです。
文科省、そして政府はよくイギリスのお話をされますよね。イギリスがかなりのお手本になっているように思うので、私、イギリスの例をちょっと引いてみますと、イギリスでは2003年にワークロードアグリーメントというのが、先生との間に交わされているんですね。そのなかでこういうことが書いてあります。イギリスにおいて明示をされた、つまり教員が行わなくてもいいですよと、このことは教員の仕事ではありませんよということをお互いに確認した文書があるんです。そこに書いてあることをちょっと読んでみます。
一つ、児童生徒や親からお金を集めること、児童生徒の欠席を調査すること、大量のコピーを取ること、児童生徒や親あてに定期的に出す便りのワープロ打ちをすること、コピーを取ること、配付すること、教室の飾りを準備したり、掲示したり、取り外したりすること、公的な試験や学校内試験の試験監督をすること、休んだ教員の代替の管理をすること、ICT機器やソフトウエアの注文やセットアップやメンテナンスを行うこと、消耗品や備品の注文を行うこと、教材や備品のリスト作成、保存、管理を行うことなどなど、まだたくさんあるんです。つまり、教員という仕事はこういうものであって、それにもう全身全霊をつぎ込んでくださいよ、という体制がそこに私はあると思うんですよ。
ですから、本当に文科省が子どもたちと向き合う時間を増やすために何かの施策を考えたいんだというのであれば、現実的で、効果のある方法を考えなきゃいけない。これでなかったら恥ずかしいですよ、本当に、国際的にも。私は、そういうふうに思っています。そういったことを申し上げて、今日の私の質問は終わりたいと思います。
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