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2007年4月19日 第166回国会 日本国憲法に関する調査特別委員会
日本国憲法の改正手続に関する法律案

憲法の改正手続き法だという国民の理解が必要
急いで、改正手続き法案成立に向かうのは、認められない

参議院議員 水岡 俊一 

水岡 俊一・参議院議員
 私は法律の専門家とか研究者ではありませんので、同僚のように議論がなかなか深まらないかもしれませんが、ここは普通の国民の視点という立場に立って質問をしていきたいと思っております。
 発議者の方々にお願いをしたいのでありますが、委員会の模様というのは、現在、インターネットで多くの国民が関心を持って見ておりますので、国民の皆さんが分かりやすい簡潔なご答弁をぜひお願いをしたいと思うところであります。
 それでは、早速質問に入ってまいりたいのですが、憲法第99条にこうあります。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあります。このことについて、私は少し重要なポイントがあるのかなと思っております。つまり、このなかに国民が入っておりませんね。なぜ国民が入っていないのか。これは、立憲主義という考え方に基づいて発議者の方からご見解があればぜひお伺いをしたいと思いますが、どなたでも結構です。

保岡 興治・衆・日本国憲法に関する調査特別委員長代理・衆議院議員
 先生ご指摘のように、99条はこの憲法の持つ最も基本的な性格を表している規定だと思います。
 国家権力が専横にならないように国民が自ら定める憲法で権力を制約する、こういった権力制約機能というものが憲法の一つの大きな基本的な性格であると。そういった意味で、ここに国民が入っていないものと思います。

水岡 俊一・議員
 公権力の担い手である方には大きな制約がついている、しかし国民のサイドには何ら制約がついていないということも、立憲主義のなかで大きな要素としてあるとは思うんです。
 そういったことを確認しながら、次の質問に参りたいと思うんですが、このなかで一つはっきり言っているのは、「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と、こういうふうにありますが、このなかにある国会議員、そして公務員、これは憲法を尊重し擁護するということにおいて具体的にどんなことをすべきなのでしょう。

保岡・衆・日本国憲法に関する調査特別委員長代理・衆議院議員
 公務員は、持てる権限というか職務を行うに当たって、憲法適合性を常に意識して、執行において違憲の疑いが持たれないような、合憲の判断がいただけるような努力をする。立法府は、立法機能を果たすことにおいて、法律を作る時にそれが憲法適合性を持つかどうか、憲法の範囲内であるかどうか、合憲であるかということを常に判断して法律を作ることだと思います。

水岡 俊一・議員
 じゃ、同じ質問を発議者の船田議員にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

船田 元・与党案発議者・衆議院議員
 まずは、公務員、それから国会議員の憲法擁護義務、それを具体的にどうするのかということですが、いま、保岡議員からもお話がありましたように、やはり公務員はその職務におきまして、行政をつかさどるという立場において憲法を遵守し、憲法の範囲内で、もちろん法律の範囲内でもありますけれども、公務を公正・公平に執行することということだと思います。国会議員、立法府の場合においては、もちろんその法律を作成する、作るという唯一の権利を与えられた機関でございますけれども、これも憲法の範囲のなかで法律を作る、あるいは法律の改正を行う。また同時に、その法律が適正に執行されているかどうかということについて国政調査権を使いながらチェックをしていくと、こういう役割があると思います。

水岡 俊一・議員
 なかなか高度な難しいご答弁をいただいたと思いますが、まさにそれはそのとおりだと思っております。
 そこで、私は公立の中学校の教員をしておりました。これは地方公務員でありまして、私なりに地方公務員として日本国憲法にかかわっては尊重し、擁護をする義務があると考えてまいりました。そこで、教科は社会ではありませんけれども、私の担任をする学級や学年や、そして学校の子どもたちに、憲法とはこういうものだ、こういうすばらしいところがあるのだ、そして、こういった三つの大きな基本原則があって、これは絶対に侵せないんだよ、というようなことを日夜話してきたつもりでありますが、そのことは間違っていないでしょうか。

保岡・衆・日本国憲法に関する調査特別委員長代理・衆議院議員
 間違っていないと存じます。

 将来の日本を担う子どもたちに、憲法を理解してもらうことは大切

水岡 俊一・議員
 私としてはなぜそうしてきたかというと、やっぱり将来の日本を担う子どもたちに、しっかり日本国憲法を理解してもらうということが最も大切だと思うからです。子どもたちが理解をする、そして、やがて成人となって日本の国を支えていく重要な国民の一人ひとりになっていくということがあるから、私や私の仲間はそうやって日本国憲法を子どもたちに理解をしてもらえるように努力をしてきたということであります。日本国政府あるいは自民党という立場から皆さん方がいままで振り返ってみられて、日本の国民にこの日本国憲法がちゃんと伝わるように、理解できるようにということにおいてはどんな努力をされてきた、どんな取組をされてきたとお考えになるか。保岡議員はどうでしょうか。

保岡・衆・日本国憲法に関する調査特別委員長代理・衆議院議員
 憲法の記念日というのが5月3日にありますし、そういう時にはいろいろ憲法の意義とか役割とかを啓蒙・普及する意味で、また憲法が制定されたことを記念し、その憲法を知る機会を国民が広く持つ、そういう意味があって憲法記念日が決められていると思います。先生がおっしゃるように、教育の段階でいろいろな、特に公民教育というんでしょうか、そういったいろいろな教育の課程のなかで憲法の大切さを教えていく努力をしていると。
 ただ、私はもっと国会でも憲法論議をする場をしっかり持つべきだと思うし、また、最高裁の違憲審査権というものについても、違憲判断というものについても最高裁がもう少し機能できるような仕組みを考えてみるべきだ、とも個人的には思っております。また、何よりも教育の段階でもっと憲法の大切さを、基本をしっかり理解していただけるような努力をすべきじゃないかと。特に、この法案が通った暁には18歳以上の者が投票権者、憲法改正投票権者ということになりますと、なおさら、少なくとも高校卒業前の教育において、もっともっと公民教育、民主教育、こういった社会規範、こういったものをきちっと理解できる努力を、みんなで知恵を出して尽くすべきではないかと思っております。

水岡 俊一・議員
 私がお尋ねしたのは、やはり制定をされてこの間、約60年間、日本国政府としてはどんな取組をしてきたのか、あるいはほとんど政権を担ってきた自民党としてはそういったことについて、どういうことをやってきたのかということをお尋ねしたかったんです。そういうことをずっと振り返ってみると、実は、何もしてこなかったじゃないかなと、私は思うのです。
 いま、保岡議員から、この法案が通った暁には、との答弁がありましたが、違うのですよ、通る前に、これは憲法改正手続法だということも、ちゃんと国民に理解をさせなきゃいけないし、なぜそういう手続法がいるのかということも理解をしてもらわなきゃいけないわけです。そういう努力をせずして、この手続法に急いで向かっていくのは、これは、おかしいのじゃないかな、と思うわけです。
 さあ、そこで、じゃ戦後60年の間にどういうことがあったのかよくよく考えてみると、私も教育現場で、文部省が1947年にある文書を出しております。新しい憲法のすすめでしたか、「はなし」でした。そういった形で努力をしていますよね、理解を求めるように。非常に分かりやすい言葉で子どもたちが理解できるように日本国憲法を紹介し、そして学校の場で、あるいは社会で皆さんが理解してもらえるように努力をした。なぜそれから、1947年以降、この60年間の間に、それ以外の具体的に国民一人ひとりに及ぶようなそういった取組がなぜできなかったのでしょうか。その点についてお伺いしたいのですが。

船田・与党案発議者・衆議院議員
 必ずしも水岡委員のご質問に直接答えることにならないかもしれませんが、確かに1947年、文部省、当時の文部省が「あたらしい憲法のはなし」ということで、これは副読本という形で各学校に、教育委員会を通じて配ったということも承知をしております。歴史の上でそうだったということを承知しております。私も、その当時の文書を読ませていただきますと非常に平易な文章であります。あの戦後の混乱期のなかでああいう文書をきちんと書いて、そして、それを子どもたちに読ませる、読んでもらう、こういうことをやったあの当時の日本政府の姿勢というものは、非常に評価されるべきだなと、私もいまからでもそう思っておるわけであります。
 ただ、その後、なぜいわゆる教育のなか、あるいは政府がいろいろな機会を通じて国民にそれを教えてこなかったかということについては、私はやっぱり日本国憲法というものについて、それが自然な形と言ったら恐縮ですけれども、国民の間に非常に急速にその精神と中身の枢要の部分が広がっていって、特にそれを殊更(ことさら)もう一度こうですよということを教える、そういう必要があまりなくなってきたのかなということを一方では考えております。
 それからもう一つは、やはり憲法の解釈をめぐりまして、国会でもまたその他の場におきましても、いろいろと政党間においての意見の食い違いとか、そういったものが発生をしてまいりまして、そういうなかで、政府として統一的にこういう憲法の解釈をすべきであるとか、そういうことをやることについてはちょっとそれは行き過ぎではないだろうかと。やはり、そこは国民の皆さんの議論にゆだねるべき部分が大きいのじゃないかということで、あえてそういうことをしてこなかった点もあるのではないかと、このように思っております。

水岡 俊一・議員
 深まったお話をいただきましたが、ただ、国民の議論にゆだねるというか、国民の議論を待つというお話がありましたが、国民の議論は深まっていますか。やっぱりそこは違うのじゃないでしょうか。
 だから、例えば本当に分かりやすい話をしたいと思うのですね。私たちビジネスホテルとかに泊まって仕事を、各地を回って仕事をすることがありますが、大概のホテルに、引き出しに入っているのは聖書ですよ。聖書というのは割とそういう意味では、私はクリスチャンではありませんが、聖書を見る機会があります。一方、どのホテルに泊まっても日本国憲法はこうですよというようなものが置いてあることもない、
 今日もたくさんの小学生、中学生、高校生が国会見学に来ています。その国会見学に来た子どもたちに日本国憲法はこうですよという小さな冊子でも配るのかといったらそれもない。
 解説本で、解説のなかにいろんな見解があるということは意見が分かれるところだと思いますが、憲法そのものを子どもたちや国民一人ひとりに理解をしてもらえるように持っていくということは、いま、何らされていない。そういうなかで、国民投票法と言われるこの憲法改正の手続法が急いで、急いで、急いで、急いでやられているのは、私には理解できないと思うのです。これ、いかがでしょうか。

葉梨 康弘・与党案発議者・衆議院議員
 傾聴に値するご意見をいただいたと思いますが、ちょっと先ほど1点、文部省の話で申し上げたいと思うのですけれども、1947年に「あたらしい憲法のはなし」というのを、これは生涯学習ということで国民に出させていただいたというのは、当時やはり戦前の教育を受けた方が大人も含めてあったので、やはり大人も含めて新しい憲法について理解をしていただこうということで文部省としては出したわけですね。
 ですから、その後の文部省の取組というのは、学習指導要領のなかで小学生あるいは中学生に憲法を教える。私の娘がいま小学校6年生なのですけれども、パパも憲法を教える役回りで、子どもに毎日教えているような、次第なんです。ですから、文部省の取組ということであれば、さらに生涯学習を充実すべきだという意見については、私も同感なんですけれども、そこは一つ憲法が定着しているなかでの取組だというふうには思っております。
 また、自民党で、やはりいろいろと経緯もございましたけれども、1995年に論憲方針というのを打ち出しました。そして、論憲方針というなかで、もともと綱領のなかには改憲というのをうたっているわけですけれども、いまの憲法についてしっかり議論をしていこうというようなことを憲法調査会のなかでずっと、この間やってまいりました。自民党のインターネットのホームページにも憲法調査会の議論なんかも出させていただいて、できるだけやはり国民に、われわれがどういうことを考えているのだ、われわれ、この憲法についてどう考えているんだということが理解できるように開かれた形にはしております。
 さらに、そのような努力は深めるべきであるというふうに思いますけれども、まさにこういった憲法改正の手続法、こういった議論をまた国民に開かれた形で、本当に議論を深めていくなかで、さらに国民の憲法に関する理解というのを私は深めていただきたいなと考えております。

水岡 俊一・議員
 葉梨議員からは、ある程度国民に定着をしているんではないかという観点に立ったお話を、いまいただきましたが、私はそうは思いませんね。その点、赤松先輩、どうでしょうか。

赤松 正雄・与党案発議者・衆議院議員
 細かい点にまで、憲法全般にわたって定着しているかどうかというと、やはり先生ご指摘のように疑問があると思います。ただ、憲法3原理、基本的人権とかあるいは国民の主権、かつての天皇主権から国民主権に移ったとか、それから日本が平和主義である、こういうふうな原則部分については、やはり先ほど来ご提示のように、政府がいろんなことをしてこなかったじゃないかというご指摘もありますけれども、この60年間、広く、浅いかもしれませんが、全体的に行き渡っている、定着している、そんなふうな認識、だから両面あろうかと思います。

水岡 俊一・議員
 赤松議員が言われるように、基本的人権であるとか国民主権、平和主義、この三つの柱については多くの子どもたちが覚えていることだろうと思うのですね。ただ、言葉を覚えていることと、その本質が何かということについては大きな開きがあると思うのです。ですから、そういった問題を、やっぱりここに、99条に定められている責任がある私たちはもっともっと努力をしなきゃいけないと思うのです。
 その細部にわたってはなかなか行き届いていない部分もあるかもしれないというお話で、それは確かにそうだというふうに思います。そういうなかにあって、国民投票という方法を使って憲法の改正を行うことができるんだというようなことについても、これはしっかりと国民の理解を深めないと、法案を成立をさせるというところに結びつけるのは早計かなと、私は思うのです。
 そこで、ちょっと振り返って考えてみると、この法律は衆議院、参議院ともに過半数で成立をしますよね。僕は何が言いたいかというと、要するに憲法を改正するということになれば発議が行われなきゃいけない。発議が行われるということは、両議院の3分の2が賛成をしなきゃいけないですよ。そうすると、発議がもし行われるという状況が整ったならば、この法案を、もし、その時点で成立させようとしても、これはいとも簡単にいくわけですよね。つまり、発議をするという段階に至っていないいまのこの時に、急いで、急いでやらなきゃいけないという理由は、これはないんじゃないでしょうか。私はそういうふうに思うのですが、いかがでしょう。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 衆議院段階での議論を申し上げますと、民主党の園田委員からもお話ございましたが、憲法論議、憲法改正についての意見というのがこれ以上深まる前に、いま定めなきゃいけないというようなご答弁もあったかと思います。
 やはり、フランスでは、確かにご案内のようにデクレという形で国民投票の手続については、それぞれ毎回ごとに定めるということになっているんですけれども、私、フランスに調査に行きましたときに聞きましたところ、それで大丈夫ですかと言ったら、これはもう伝統的に規制のあり方等については同じものだから、これでいいんだというようなお答えでございました。
 この国民投票法案、手続を定める国民投票法案、これについてはやはり公正・中立ということを念頭に置かなきゃいけないし、やはりある程度、改憲の3分の2の環境が整ってきた時に、じゃその3分の2の勢力が、いやしくも、その3分の2の考え方を押し通すためにこの法律を作ったというふうに思われることは、私、あってはならないんだろうと思っています。
 憲法99条に、憲法の尊重擁護義務ということが書いてありますけれども、国会議員が憲法尊重、擁護するというのは、この96条に基づく手続法をやはり早期に整備するというのは、われわれはこの99条の義務を果たすことになるんじゃないかと思います。

 憲法改正のたくらみが陰に見える

水岡 俊一・議員
 私は、ちょっと理解できなかったですね。
 というのは、発議が行われる状況になったとすれば国会議員の3分の2の人たちがそのことに賛成をするという状況なので、国民の代表たる国会議員の3分の2がそのことに同意をしているのであれば、何もそこで国民投票を定めるような法律をその場で作っても、野心があるとか、何かほかに大きな目的があるとは思わないでしょう。
 いま、葉梨議員のお話を伺うならば、いまや、そのことが逆に、いま問われているんじゃないですか。つまり、何か憲法を改正しようという大きなたくらみが陰にありながら、そのことを隠しながら、いま矢継ぎ早に進めていこうとすることがあるんではないかということを一部の、あるいは多くの国民が思うことを葉梨議員はおそれたようなことを言われたんじゃないかなと私は思うんですよ。
 それで、そこでもう一つ申し上げたいのは、私がお尋ねをしていることに民主党の仲間の園田議員がどう答えたとか、そんなことは関係ないじゃないですか。そういう言い方は、僕はおかしいと思いますね。葉梨議員らしからぬ答弁じゃないですか。いかがですか。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 いや、私自身、別にしいて何をというよりも、それ、私も横で聞いていたものですから、全く私も同感であるというようなことで申し上げたわけでございまして、まさに私自身の意見でもございます。

水岡 俊一・議員
 それならばそういうふうに葉梨議員のお言葉で答えられた方がいいと思います。何かほかに目的があるように私には取れますよ。そういう言い方は、私は好きじゃないなというふうに思っております。
 そこで、私の時間があまりたくさんございませんので次の話に進みたいんですが、よくよく考えてみると、いま、憲法を尊重し擁護する義務があると。一方、憲法を改正したい、あるいは改正するべきだという主張をする権利も国民にはあるのではないか、一人ひとりあるんのはないかということになりますが、この99条に立ち返ってみると、天皇に始まって摂政、国務大臣ですか、国会議員、裁判官、その他と、こういうふうに続いておりますが、それぞれ、憲法改正をするべきだということを主張できるのはこのなかで誰なんでしょう。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 主張をすること自体は、主張ですね、憲法を改正すべきという意見を表明すること自体は、日本国民の要件を有すればそれはできるというふうに思います。
 ただし、天皇はこの憲法にいう日本国民には当たらないということになってまいります。

水岡 俊一・議員
 天皇は国民に当たらないからできないのでしょうか、国政に関する機能を有しないからできないか、その辺り私も考えているところですが。
 しかし、裁判官は、葉梨議員、いいんですか。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 個人として、国民として意見表明することは、私は裁判官であっても構わないというふうに思います。
 しかしながら、裁判官の職務のなかで憲法を尊重し、いやしくも擁護しないというような職務を裁判官が行ってはならないと思います。

水岡 俊一・議員
 分かりました。
 それじゃ、国会議員はどうなんでしょう。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 国会議員であっても、憲法改正すべきだ、あるいは改正すべきでないというような意見を表明することは可能だと思います。
 しかしながら、やはり国会議員の職務として憲法に反するような立法をするということはできないんだろうと思います。

水岡 俊一・議員
 明快な答弁ありがとうございました。
 それでは、公務員はいかがでしょうか。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 公務員についても同様でございます。公務員も、憲法を改正すべきであるという意見を表明したりすることは、もうそれはできるというふうに思います。
 しかしながら、やはり公務員としての職務がございます。公務員としての職務の中立性を著しく害するような、そういうような形の行為というのはできないんだろう。しかし、国民として意見を表明することは可能だというふうに考えております。

水岡 俊一・議員
 分かりました。
 教員は公務員のなかに入るんですよね。
 先ほどの話なのですが、私は公立の中学校で教壇に立ってまいりました。そのなかで、日本国憲法はこんなにすばらしいものだ、これをやっぱり私たちは守っていかなきゃいけないということを教えてきたつもりであります。そういう意味においては、これは憲法擁護義務として、公務員として当然なことでありますよ。その点についてはいかがでしょうか。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 先ほど保岡委員のお答えにございましたとおり、そういうことを言うこと自体は、公務員たる教育者として、これは問題ないと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたのは、憲法は一方で、公務員は全体の奉仕者であるということを規定しております。その全体の奉仕者であるというような規定は、やはりこれは尊重しなきゃいけないし、擁護しなければいけない。その意味での公務の中立性というのはあるのだろうと思います。

 公務員は、憲法の重要性を説き、子どもたちに理解してもらう努力を

水岡 俊一・議員
 それはもちろんそうですよね。全体の奉仕者だからこそ日本国憲法の重要性を説き、子どもたちに理解をさせるために努力をするんだということであります。
 そこで、もしこれが、この法案が通過をしたとして、発議をされた。この周知の期間、60日か、180日か分かりませんが、その間に教員水岡俊一が教壇に立って、日本国憲法はこんなにすばらしいものだ、この憲法を私たちは60年間守ってきた、これからも私は重要な、重要な日本国憲法を国民として守っていくべきだと思うとやったら、これはどうでしょう。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 発議をされた後に、例えばカリキュラムのなかで、社会科というような形で、それで、それについて当然試験もありましょうという時に、教員がその教育課程のなかでお話をされるというのは、ちょっとこれはいかがなものであろうかなというふうに思います。
 やはり、教育者であっても、一人の国民として意見を表明していただくというのは、それはもう妨げられるものではありませんけれども、カリキュラムのなかで、そういったことをおっしゃられるというのは、特に憲法について、最前来、憲法の改正の限界という問題がございました。もちろんのことながら、日本国憲法の平和、民主主義、人権、この理念というのは大事なことだと、これを言うのはもう全く問題ないんです。ただ、特定の憲法の発議案について、これは明確に駄目だというような形での表明は、いかがなものだろうと思います。

水岡 俊一・議員
 私はそんなことは言っていないですよ。つまり、その投票についてこちらに投票すべきだとか、ということは言うつもりは、水岡俊一教員は言うつもりはないんですよ。日本国憲法というのはこういう成立過程があって、こういうふうな国会の議論がありながら、こういう解釈をしてきた、そういう日本国憲法なのだ。判断は、それは君たちがするんだよ、しかし、日本国憲法の、こんな重要性を私は皆さんにしっかりと伝えたいという授業を、社会科であろうが、社会科でなくてもホームルームの時間であろうが、これはしていいと思うのですが、これは保岡先輩、どうですか。

保岡・衆・日本国憲法に関する調査特別委員長代理・衆議院議員
 それは、99条に定める公務員のお一人としての対応としては一般的、いわゆる憲法擁護義務を生徒の皆さまにおっしゃることは、それはもう一向構わないことだと思います。

水岡 俊一・議員
 それでは一方、いま、葉梨議員の方から、個人としてはどういうふうにお考えになろうとも、学校の場で個人の考えを述べることは良くないというふうにおっしゃったかのように思いましたが、それでいいですよね。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 先ほど私申し上げましたのは特定の改正発議案についてということでございまして、一般論として、例えばこの憲法の平和、人権、民主主義、こういった理念が大変いいことであるということを言われることは、いま、保岡議員の答弁がありましたとおり、それはもう構わないというか、むしろ奨励されるぐらいの話じゃないかと思います。
 ただ、特定の改正発議案について、こちらを投票すべきだ、これはいけないことだというようなことを教育課程のなかで言っていくというのは、これはいかがなものであろうかということを申し上げたわけでございます。

 教員も、個人として、自分の信条、自由は尊重されるべき

水岡 俊一・議員
 それは分かりました。
 その前に、個人としてはというお話があったので、私はいま言ったのですが、つまり、私、教員水岡俊一は、学校の教壇、黒板の前で今度の改正には反対だとか、あるいは、君たち、お父さんにこういうふうに言えとかいうことを言うつもりは全くないです。それは公務員としてやっぱりあるべき姿ではないと、私も感じていますし、多くの教員がそれぐらいのことは理解できると思うんです。
 しかし、一歩学校を出れば一個人に立ち返るわけですよ。そうすると、私は、今度の憲法改正には疑問を持つ、もっとこのことについては時間を掛けて話をしなきゃいけないから、いま国民投票にかけるというのはどうかな、というようなビラを作りました。街頭で配りました。これ、いかがでしょうか。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 いま申し上げましたけれども、先ほど来議論している議論というのが、教育者の地位利用に当たるわけでございます。もうご案内のとおりだと思います。教育者の地位利用については、行政罰とはいえ、教育者としてやっていくことはいけないということが一つございます。この地位利用と、それから政治的行為の制限というのは、当然、もう釈迦に説法かも分かりませんが、切り分けて考えられているというふうに思います。
 まず、教育者の地位利用の関係ですけれども、教育課程のなかで特定の改正発議案について物を申す、あるいはビラを配るといいましても、例えば明らかに生徒だと分かっているのに校門でビラを配るというようなことであれば、それは果たしていかがなものかということにもなろうかと思います。
 しかし、隣町に出ていきまして、それで憲法改正に特化したようなビラを配るということ自体が憲法改正案に対する意見の表明、公務員であっても国民として意見の表明や勧誘は、これは自由な形で公務員法制自体を整理するわけですから、そういったことはいいんだろう。
 しかし、それが、またいろんな切り分けをやっていかなきゃいけないということは、それは、例えば特定の団体だとか、特定の公職の候補者、そこら辺と一緒にやっていくというようなことになったら、それはまた問題がある。これは、こちらの方で、公務員法の世界のなかで、公務の中立性というなかで規制される部分もあるんだろうと思います。
 ただし、教育者については、まず一つは地位利用に該当するような形であってはなりません。それ以外の国民として行う行為であれば、個人として、国民としての意見の表明や勧誘、これは許されるような形で公務員法上の調整を図る。しかしながら、先ほど言いましたとおり、全体の奉仕者として公務の中立性を侵すというような行為というのは、これはできないですよということでございます。

水岡 俊一・議員
 私も教員をやってきた身ですから、街頭に出て、学校を出たら一個人に戻りますから、どこ、どこの中学校の教員の誰それという名札をつけたりしたり、学校のジャンパーを着たりして、そういうことをするつもりは全くありません。しかし、個人として、やはり自分の信条、自由というものがあるわけですから、そういった意味では尊重されるべきではないかと思うのですね。
 いま、裁判官のお話がありました。裁判官とても、裁判官としての公務にある間は制限が加えられるけれども、そうじゃないときは、これはその公にあらずということはいまお話をいただいたとおりだと思うんですね。
 しかし、いま与党修正案については、政治的制限に関する公務員法等については検討するというようなお話があるなかで、私は、これは、例えば投票所の数を幾つにするかとか、時間を何時から何時までにするかとか、そういう技術的な問題ではなくて、本当にこれは個人の、一人ひとりの権利の問題ですから、先延ばしにして、後で決めればいいという問題ではないと思うんですが、これはどうでしょうか。

葉梨・与党案発議者・衆議院議員
 この条項の題名自体が検討となっておりますので、そういうご質問になったかと思いますが、この条文は、検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるということで、これはもう義務でございます。立法上の措置を講じなければなりません。
 そして、公務員関係の法律でございますと、教育者の、教育公務員の場合は教育公務員特例法というのがございまして、これは国公法を引いている。あるいは、国家公務員法の場合は人事院規則に下ろしている。それから、地方公務員法においては、法律においても列挙をされている。さらには、自衛隊法においては政令に下ろしている。あるいは、国会職員の法律もあるというふうに、それぞれの政治的行為の規制の仕方というのが多岐にわたっているんです。
 ですから、そういった意味で法制上の検討を加えるということですけれども、最終的には、いずれの法律においても、公務員が国民として意見を表明する、あるいは勧誘を行うということは、それは自由になるということはこの3年間の間に確実に行っていくということでございます。

水岡 俊一・議員
 なかなかそれを信用しろと言われても難しい部分があると私は思います。やっぱりそういったことはきちっと決めた上で法案を審議しないと私はいけないと思いますので、そういった意味では、まだこの後、私もまた質問に立たせていただきたいと思いますけれども、十分な審議をして考えていくということをお願いをして、私の質問を終わります。

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