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2006年12月15日 第165回国会 本会議
政府案「教育基本法案」、民主党案「日本国教育基本法案」等
文部科学大臣伊吹文明君問責決議案趣旨説明

教育の責任を、最終的にどこがもつかも明らかにしない
教育の憲法として、欠点だらけの政府の「教育基本法案」

参議院議員 水岡 俊一 


 私は、民主党の水岡俊一でございます。
 文部科学大臣伊吹文明君問責決議案
 本院は、文部科学大臣伊吹文明君を問責する。
  右決議する。

 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合、国民新党を代表して、伊吹文部科学大臣に対する問責決議案について、提案の趣旨をご説明いたします。
 安倍内閣は教育基本法の改正を内閣の最重要課題に挙げ、伊吹文部科学大臣は政府の改正案の責任者として答弁に当たってきました。
 確かに、現在の教育基本法が制定された60年前と比べると、教育をめぐる環境は大きく変わっており、私たちは教育のあり方をより良いものとしたいという考え方には変わりはありません。だからこそ、前の国会から民主党提案の日本国教育基本法案と政府の改正案を熱心に審議してきたのです。
 しかし、審議中に、高校の必修教科の未履修問題、連鎖的に起きた子どものいじめによる自殺、タウンミーティングでのやらせ問題といった教育の根幹に係る問題が次々と起こり、審議の事情は大きく変わってまいりました。
 教育基本法が教育の憲法であるとすれば、改正される教育基本法は当然これらの問題に対応できるものでなければなりません。ところが、政府の改正案には、具体的な対応策はおろか、そのヒントさえ書かれていなかったのです。
 また、やらせ問題に関する内閣のタウンミーティング調査委員会結果が公表されたのは一昨日であり、これから本格的に論議をし、十分な検証を行い、責任を明らかにすべきであります。
 さて、今回の政府の改正案で最も重要な項目とされてきたのがいわゆる愛国心教育の問題です。
 政府の改正案では、第2条に教育の目標として、わが国と郷土を愛する態度を養うと書かれていますが、この書き方には大きな疑問を持たざるを得ません。愛する心と書かずに態度と書いたのは、憲法の内心の自由の保障に対する配慮だと説明されていますが、態度はあくまでも外形的なものであり、態度だけできればよいというのではあしき教育の代表であります。しかも、これを教育の具体的な目標として掲げることは、点数をつけるとか、学校が何らかの評価をしなければならないことになります。果たして愛国心とは点数をつけるようなものなのでしょうか。
 愛国心とは、この日本で生活し生きるなかで自然にはぐくむものであり、政府案のように義務をもって強制するものではありません。子どもたちが愛国心を持てるような日本をつくることが私たち政治家に、いま問われているのではありませんか。
 改正案をめぐるもう一つの重要な論点は、教育の責任は最終的にどこが持つのかという問題でした。いじめによる自殺問題でも、高校教科の未履修問題でも、最大の問題となったのが、いまの中途半端な教育委員会制度でした。度重なる不手際にもかかわらず、教育委員会を自治体からも国からも直接コントロールできず、対応が後手、後手に回ってきたというのが事実です。
 今回の政府の改正案には、教育については国と自治体が適切な役割分担の下に責任を負うとしか書いていません。これは基本法としての欠陥と言わざるを得ません。しかも、伊吹文部科学大臣の答弁などを聞いていると、政府は教育委員会制度に対する国の関与を強める方向で検討しているようです。ほんの少し前まで、規制緩和の方針に従って教育委員会廃止の方向を模索していたという朝令暮改はともかく、教育においていたずらに国の統制を強めるのは、戦前への逆戻り、時代後れではありませんか。
 これに対して、民主党の法案では、現在の教育委員会制度を廃止し、国は普通教育の最終的責任を有すると明記いたしました。普通教育についての全国一律の水準や制度の枠組みについて国が責任を持つとともに、その枠内での具体的な教育行政については自治体の首長に任せるというもので、それぞれの不手際の責任は、民主主義の原則である選挙によって問われるというわけです。
 自治体の首長による恣意的な偏った教育が行われるおそれがあると与党側は言うかもしれませんが、そのような心配はありません。民主党としては、与党に先駆けて、基本法を具体化するための下位法として、恣意的な教育行政を監視するための第3者機関としての教育監査委員会や学校理事会を設置する地方教育行政適正運営確保法案など二つの法律案を参議院に提出し、審議していただいてきました。しかし、地方分権が進められているなかでの教育のあり方に対する審議もまだまだ深められておりません。
 以上述べてきたように、政府提出の改正案は欠点だらけであり、教育格差の拡大を始め教育をめぐる新しい問題も次々と起きております。教育基本法は教育の憲法であり、すべての教育法規の方向性を定めている重要な法律であります。
 だからこそ私たちは、条文ごとの審議は欠かせないとして慎重審議を強く要求してきたにもかかわらず、政府は、まず衆議院で、単純にこれまでの審議時間が目安とされる100時間を超えたことを理由に採決を急ぎ、強引に審議を打ち切り、先月16日の衆議院本会議で法案を単独で可決し、ここ参議院に法案を送ってきました。そして、参議院においては、民主党は改めて、日本国教育基本法案とともに、それを具体化する二つの法案を参議院に提出し、一層の慎重審議を求めてきましたが、昨日、突然審議を打ち切り、採決を強行したわけです。法案提出の責任者としての伊吹文部科学大臣の責任は極めて重いと言わざるを得ません。
 本来ならば、伊吹大臣自らが自身の責任を十分自覚した上、自らその職を辞すべきであるが、そのような真摯な姿勢はみじんもありません。良識ある議員の方々、この伊吹大臣の問責決議案にぜひ賛同賜りますよう訴えて、趣旨説明を終わります。

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