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| 2006年11月28日 第165回国会 教育基本法に関する特別委員会 |
政府案「教育基本法案」、民主党案「日本国教育基本法案」等
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多文化共生の視点がない政府の「教育基本法案」
先進国の代表的な国として、外国人児童生徒の教育の充実を
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参議院議員 水岡 俊一
水岡 俊一・参議院議員
最初に、今日は多文化共生社会についてということから質問を始めてまいりたい。
連日の特別委員会において、いじめ、それから自殺の問題等について質疑が続いているわけですが、このいじめ問題が深刻化をしているという問題の背景には、異質な存在、それから同調できない者をやっぱり受け入れないという、そういう体質があるのではないかと私は思うところです。そこで、そんななか苦しんでいる子どもたちというのは、外国人の児童生徒もそのなかに入ると私は思っております。
そこで、総務大臣にお越しをいただきましたのでお尋ねをしたいのでありますが、現在、わが国には200万人を超える外国人がお暮らしになっていると、それは10年前と比べると46%増、約1.5倍にもなる増加率であると聞いております。そういった意味からすると、外国人の定住化が非常に進んでおり、共生者としても生活のなかに同じ生活者として入ってきている、そして地域住民だというふうに言えるかと思うのです。そういったグローバル化した社会、この多文化共生という問題を私たちは現実の問題としてきちっととらえなきゃいけない時代に入ってきていると私は思うのです。
そこで、総務省では多文化共生推進プログラムの提言というのを本年の3月におまとめになって発表されたと聞いておりますので、その多文化共生推進プログラムなるもの、また総務省のお考え、そういった辺りで大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
菅 義偉・総務大臣
委員、ご指摘のとおり、いまの外国人登録者数、わが国はもう200万人を超えておりまして、今後のグローバル化、そうしたものを考えた時に、特定の地域だけの問題でなくて、やはり全国の問題としてこれは考える必要があるだろうと、そういうふうに私どもは認識をいたしております。
そういうなかで、やはり、この国籍、民族の異なる人たちが互いの文化的差異を認め合いながらも地域のなかで共生をすると、そういう多文化共生の地域づくり、このことが極めて大事であるというふうに思っています。そこで、昨年度、多文化共生の推進に関する研究会を設けまして、研究会の議論を踏まえ、地方公共団体にも多文化共生施策の推進に関する施策の策定を依頼する、このようなことを現在行っております。
具体的には、例えば日本語の言語の学習だとか、あるいは居住の支援、教育、労働環境、医療、福祉、防災と、そういう意味の多くのこうした生活支援と同時に、地域社会に対する意識啓発、日本人住民の意識の啓発とか交流イベントなど、そういうものを開催しながら、そうした異文化の人たちがともに共生できる、そういう地域社会というものを全国にできるように努力をいたしております。
水岡 俊一・議員
いま、私、冒頭に申し上げた言葉は、明治大の山脇啓造教授がおっしゃっている言葉でもありまして、この山脇教授がこの研究会の座長をなさったとお聞きをしているわけです。私もプログラムの内容を読ませていただいて、いまの課題に非常に精力的に取り組んで、そして国あるいは地方公共団体、あるいは企業も含めて、これからの課題というものをお示しになっているというふうに思うわけです。
そこで、総務省としては、その提言を受けて、今後の進む方向としては何か具体的なことがあるのでしょうか。また、2007年度の予算のなかで何か総務省としてお考えになっていることがあれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
菅・総務大臣
ただいまのこの研究会の議論を踏まえまして、地方公共団体に対して多文化共生政策の推進に関する指針の策定、そういうものをぜひ作っていきたい、こういうふうに思っています。
水岡 俊一・議員
さらに、詳しくお聞きをしたい部分もございますが、またの機会にお願いをしたいと思います。
官房長官には大変長らくお待たせをいたしましたが、官房長官にお尋ねをしたいと思います。
実は、このプログラムのなかにこういうくだりがあるんです。多文化共生施策の推進体制として、国は、外国人住民に係る課題を総合的、省庁横断的に取り組むための体制の整備を検討する必要がある、こういうふうに書いてございます。そういった意味からすると、官房長官として、その意見を受けて何か見解をお持ちでしたらお願いをしたいと思います。
塩崎 恭久・官房長官
いま先生ご指摘のように、外国人を日本の地域で正しく受け入れるというのは大変重要な課題だと思っております。政府全体としても重要な課題であるというふうに認識をしておるわけであります。いま、菅大臣の方からご説明のあった総務省でまとめられたものに対して、安倍当時の官房長官から、この報告を踏まえて省庁横断的な取組を行うために、外国人労働者関係省庁連絡会議というものがかねてからありますけれども、ここで検討を進めて、去る6月20日には中間整理をまとめております。
基本的な認識は、適法に外国人も受け入れた以上、社会の一員として日本人と同じような住民サービスを享受できるようにしていくことが求められていると、こういう認識の下で、年末をめどにこの取りまとめを行っていこうということで、各省の局長クラスでいま検討を進めているところでございます。
なお、この外国人労働者の全般の問題について、もちろんその家族を含めた地域のあり方については、私はこの間まで外務副大臣というのをやっておりましたが、副大臣会議のなかに外国人労働者のワーキングチームというのができまして、そこでまとめたものがございます。その際も、当時の山崎総務副大臣から、いま菅大臣からご説明のあった、地域における外国人の受入れのあり方についてご報告があり、われわれとしてもそれを含めて議論をして、外国人の言ってみれば正しい受入れ方というか、そういうことについて議論してペーパーをまとめたのがありますので、もしよかったらお届けをいたしますので、ごらんをいただきたいと思います。
なお、安倍内閣はオープンとイノベーション(技術革新)というのが一番の柱の政策でございます。やはり良い人、良い物、良い金にはオープンにしていこうと、こういう心広く世界に開けていく日本にするために頑張っていこうということでございますので、問題意識をしかと受け止めて頑張っていきたいと思います。
省庁横断で積極的な取り組みを
水岡 俊一・議員
省庁横断的という言葉がありましたので、そういった意味では総務省だけにとどまらず政府全体での取組課題というのはこれからさらにたくさん明確になってくるし、積極的にその課題に取り組んでいかなきゃいけないと、こういうふうに思うわけですね。
それで、いまご答弁のなかに、地域で、地方でどういったふうに受け入れていくかというお話もありました。これは非常に大切なところであるし、地方公共団体としてそのことに真剣に取り組んでいる県がいまたくさんございます。そういった一方、国としてこの問題にどういったふうに取り組むのか。それは地方に対して的確なアドバイスをするということもそうかもしれませんが、国としてはどうなのかという観点においては、官房長官は何かお考えがございますか。
塩崎・内閣官房長官
入国管理で、まず入ってくるところで一回関所があるわけですね。ここで正しく入ってきていただきたい方には入ってきていただこう、どんどんと、こういうことだろうと思います。
いったん入られて、適法に在留をしていただいている限りはいいわけでありますけれども、そうではないケースも間々あって、これはご案内のようにいま一部の刑務所では外国人が3分の1ぐらいいるというようなことが起きて、外国人による犯罪もかなり増えているということで、地域で受け入れようというのと逆に、問題はあるので何とかしないとまずいんじゃないかという両方あるわけです。
したがって、先ほど申し上げたように、適法に在留する外国人については、地域でもしかとサービスも享受していただいて日本を楽しんでもらおうと、こういうことだろうと思うのです。国としてということであれば、いま申し上げたように、在留管理は法務省、警察、いろいろかかわってきますし、もちろん地方のお手伝いもなければいけないということでありますから、そこのところのきちっとしたコーディネーションをして、日本で楽しく住んで、楽しく働いて、楽しく学校へ行ってもらって、楽しく人生を送ってもらうということを、国として、そのフレームワークを整えるということが大事なんではないのかなと思っています。
まだ、その管理も十分できないままに不法滞在になっている人もたくさんいるわけでありますから、両方をきちっとやっていかないといけないのではないのかなと思います。いずれにしても、これは国がきちっと音頭を取らなければ、元々入るときから国で管理をしていることでありますから、それについてコーディネーションをきちっとしなければいけないと思っております。
水岡 俊一・議員
適法か、そうでなかったかという問題も、これは政府側としてはきちっととらえておくべき問題だろうと私も理解はします。
ただ、これまでかなり文教科学委員会の方で審議、論議をしてきたなかで私たちも申し上げていたのは、適法か、適法でないかというのは、これは親といいますか、労働者のサイドの問題であって、子どもにはその瑕疵(かし)はないんではないかということです。ですから、その子どもをいかにして救っていくのかということは、われわれの課題としてとらえておかなきゃいけないね、という論議はしました。しかし、それは、いま論議をここの場でするべきことではないと思いますので、それは置いておきます。
いま官房長官から踏み込んだご発言もいただきまして、そこで私たちも非常にそのとおりだなと思うのは、やはり法によってきちっと受け入れた労働者をいかにそのケアをしていくのかということは、これは政府としてしっかりと取り組んでいかなきゃいけないという、そういう観点で、この後、教育問題について質問を続けていきたいと、思っております。
伊吹大臣にお願いをしたいと思うのですが、いま総務大臣あるいは官房長官からもご答弁をいただいた内容についてでありますが、外国人登録者が200万人というなかで、活動内容に制限のないという言い方がいいんでしょうか、そういう在留資格、ほとんど日本国民と同じですよ、と言われる方々が130万人もいらっしゃるというようなことですから、もうある意味では一つの移民としてとらえるべき部分も僕はあるというふうに思うのですね。そういったなかで、こういった外国人の児童生徒の教育、これを日本国政府としてはどういうスタンスでとらえていくかということです。これは大臣のご見解を聞かせていただきたいと思います。
伊吹・文部科学大臣
いま先生がご指摘になりました数字は在日韓国の方々も入れての数字ですか。それを外してそんな数字にはなっていないと思いますが、いかがなのでしょうか。
水岡 俊一・議員
これは入っていますね。
伊吹・文部科学大臣
入っていますね。
ですから、これはすべて移民という位置づけがいいかどうかは、私は非常に問題があると思います。
先ほど官房長官が答弁をいたしましたように、日本の外国人労働者への扱いとして、技術のある人は、これどんどん入ってくださいと。それ以外の人は極めて制限的に運用しているというのは、これは日本の外国人労働者に対する入国管理の扱いなのですね、ざくっと、言ってしまえば。ですから、それにのっとって入ってきておられる方についてはやっぱりそれなりの義務があるということを言っておるわけです。
ただ、これは日本国の憲法、もう先生にこんなことを私が申し上げるより先生の方がよくご承知のことですが、日本国の憲法、あるいは日本国の教育法規は、日本国籍を持っている国民に対して、将来の日本のために教育を施すということが基本になっているわけですね、基本に。ただし、それ以外にだんだんそういう人たちが多くなってきている現実を踏まえれば、国際条約その他から人道的な扱いはしなければならないというのがいままでの考え方ですよ。
ですから、日本の義務教育を希望される方については義務教育に受け入れると。しかし、それだけで十分なのかねと多分おっしゃると思いますね、言葉の問題その他がありますから。だから、適法に入ってこられて、適法に居住しておられる方については何らかのことをやっぱり考えなければいけない数になってきているということは、先生のご指摘はよく分かります。
批准した国際条約は、拘束力を持つ
水岡 俊一・議員
大臣ね、私いろいろ調べてみますと、わが国は1979年に、通称社会権規約、詳しく言いますと「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」というのを先ほどから引用されておりますので、その国際人権規約を批准しております。
そのなかで、13条において、教育についての権利、2の(a)、「初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする」と、こういうふうにあります。これは明確に書いてあるのです。そして、「子どもの権利条約」第28条には、教育の権利、第1項として、「締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、」次のことを行うと、「初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする。」と、こういうふうに書いてあるんです。要するに、国民というとらえ方、これは日本国憲法、そして現行の教育基本法にはそういったとらえ方があるわけですが、条約はそうではないと、こういうことなのですね。
そこで、大臣にお聞きをしたいのですが、実は私、高等学校で政治・経済という教科を選択した数少ない人間の一人なんでありますが、その政治・経済を勉強したときには、条約というのは、これは法的拘束力を持つのだと、こういうふうに習ったと思うんです。そういった意味からすると、先ほどの下田委員の質問にお答えになった大臣のご答弁のなかでは、まあ律儀に考えていると、日本は。アメリカはそうじゃないところがあるじゃないかというような……
伊吹・文部科学大臣
アメリカじゃない。
水岡 俊一・議員
じゃないですか。いや、そういうようなお考えのなかで、必ずしも条約は誠心誠意履行しなきゃいけないものではないというかのようなご答弁があったように聞こえたんですが、それはどうなんでしょう。
伊吹・文部科学大臣
法律と条約は違います、これは。しかし、国会でラティフィケーション、つまり条約の批准の議決を受けた場合は対外的にその義務を日本が負うということです。私が先ほど申し上げたのは、アメリカが律儀じゃないと言っているわけじゃないですよ。アメリカはもう全く律儀過ぎるほどできないと言って断っているわけですから。むしろ問題は、批准をしている国がみんな完全にその条約のなかに書かれていることを国内的な義務として果たしているかどうかということになると、必ずしもそうじゃない国がたくさんあるということを申し上げたわけです、私は。だから、アメリカは一番律儀なんですよ、そういう意味からすると。
ですから、いまの先生のご質問について言えば、日本は先生がいまお挙げになった幾つかの条約を国会で批准しておりますね、議決しておりますから。だから、対外的な義務が生じてまいります。その義務を国内的な制約の上でどこまで果たしていることが許容されるかという問題なのです、これ、国際法上の。だから、日本は批准をしたらできるだけ果たしたいということがあるから先ほどのような答弁をしたわけです。先生のご質問は、であるならば批准をしているのにどうなんだということでしょう。ですから、それは義務教育に受け入れているという事実はあるわけですよ。だが、しかし、今度は言葉が通じないじゃないかと、その言葉をどうマスターさせて義務教育の場へ入れていくのかと。そこまでを条約が義務づけているかどうかという今度は議論になってくるわけですね。
私は、おっしゃっていることに反対しているわけじゃないですよ。できるだけその方向にやりたいと思いますが、予算やいろんな制約がありますから、その範囲のなかで義務教育にはきちっと受け入れるという門戸は開いているということは先生が一番よくご存じのことです。
水岡 俊一・議員
大臣、そこで、先ほどの下田委員の質問は高等教育の問題、これは日本が留保をしているという状況にありますね。いま私が説明を申し上げたのは、留保はしていないんです。つまり、これはやっぱり誠心誠意、日本の国として、それに向けての努力をしなきゃいけないというふうに私は感じるところですが、それについていかがでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
それは、私が先ほどの後半でご答弁したと思いますが、確かにいま先生がおっしゃった二つの条約については日本は国会で批准をしているわけです。ですから、対外的な義務が生じております。義務が生じておりますから、その義務をどのような形で果たしているかと。だから、義務教育には希望をして手を挙げられる外国の方は、それに、日本の義務教育へ受け入れるという門戸を開いているわけです。
ただし、先生のご質問は、多分、それはそれで分かったよと、しかし言葉も通じない者を義務教育へ入れるといったって入れないじゃないかと。だから、実際ははみ出している人間がいるじゃないかと。そうすると、外国人に対して日本語教育をすべて日本の納税者の負担で実施をして、そして義務教育に日本の児童と同じように入れられる状況までにするかどうかということを、条約が、その締結をした国に強制をしているのかどうなのかという議論に法制的にはなりますよと。
しかし、私は先生の言っておられることに反対じゃありませんよと言っているのは、だんだん国際化も進んでくるし、日本も、これは本当に国策としてやった、日本国内へ研修生として入れてきた方が、官房長官が言ったように、そのご子弟なのか、あるいはそうやって入ってこられたけれども今度は、きちっと入ってこられたけれども今度在留期間が過ぎたのにおられる人なのか、いろいろありますよ。だけど、人道的な立場からはいろいろなことをしなくちゃいけないというのは、私は先生の意見に何ら反対じゃありません。
しかし、国内で法違反の保護者の下にいる子どもが、これは国際法上の法理的解釈ですよ、人道的解釈じゃなくて、法理的解釈としてその条約の対象になるのかどうなのかということは、国際法上かなり詰めなければいけないことだと思います。
日本のとっている体制は極めて不十分
水岡 俊一・議員
その件については、人道的あるいは人類愛にあふれた大臣のことですから、それはもう積極的に取り組む姿勢を示していただけるものと期待をするところですが、問題は、そういう細かいところまで行かなくて、もっと手前の問題で、国際人権規約ではこれは無償のものとするというふうな形で積極的にそれは受け入れなきゃいけないと、こういうふうに規定をしているわけです。これは、いまの日本の取っている体制というものは不十分、あるいはもっと言えば不十分極まりないと私は思うんです。ただ、今後どうしていくかという問題は、やはりそれはいろんな知恵を出してやっていかなきゃいけない。
さて、そこで、大臣、今度の教育基本法の政府の改正案には、このことについてはどこかくだりがあり、考え方が示されているんでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
いや、ですから、先ほど来申し上げているように、現行基本法も、改正基本法も、日本国憲法も、日本国民に対するこれは法規なのですよ。だから、外国の方については国際条約上の先生がご指摘になった扱いなんですね。だから、民主党さんの対案は、そこのところを国民とは書いておられないわけですね。これは一つの考え方です。これはどういうふうにこれから国会がそれを判断していくかということだと思います。
それで、義務教育に門戸を開いているということは先生も認めていただかないと困るわけですよ。ただ、義務教育を受ける条件を整備するということについて不十分だということをおっしゃっているわけですよね。だから、そこのところまでを条約が義務づけているかどうかということは、これはやっぱり少し詰めないといけない問題じゃないでしょうか。
水岡 俊一・議員
もう一度伺います。
いまのこのお互いにお話をさせていただいている問題について、政府案のなかには書いているくだりがあるんでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
何度も申し上げているように、政府案は、これは日本国民に対する教育基本法という形の方向性になっているということです。
水岡 俊一・議員
つまり、書いてないということだろうと思います。
それで、昨日の審議のなかだったかと思うんですが、教育というものをどういうふうにとらえるのかという論議のなかで、この教育基本法、政府案が日本の教育を要するに表しているというふうなお話があったように思うんですね。そういった意味でいうと、日本は外国人の児童生徒についてどのように教育をしていくのかということを、この政府案は記していないということで、つまり外国人の児童生徒の教育の問題は、いまの政府、もっと言えば文科省の教育の対象ではないという考え方になるんでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
それは違うんじゃないでしょうか。法律はそういうことは規定いたしておりません。教育基本法はあくまで日本国民に対する教育の基本を定めているわけです。
しかし、日本は国際社会の一員として、先生がおっしゃった条約に対する署名をして、そして国会に対して批准を求めて国会が批准をしたということです。これはその人たちをどのように受け入れるかということについては、基本法より下位にある教育各法、あるいは政令、通達、予算、その他において措置していくことであって、そういうことは、たくさん私は方向性としてあると思います。憲法に書かれていないけれども、下位の法律においていろいろ人権が守られたり、あるいは会社の行動が保護されたりするということはよくあるわけですから、これは立法政策上の問題だと思いますね。
外国人児童生徒の教育についての法律は、日本にない
水岡 俊一・議員
大臣としてそうおっしゃられる気持ちは私なりには理解はできるんですが、実は外国人児童生徒の教育をどうするのかということにかかわっての法律は、私はないように思います、いまの日本には。ですから、いまの立法の一つの体系のなかでとらえていくというのは現時点では難しいというふうに思います。
それで、一つ、これは日本の国としてその条約をいかにとらえていくかという問題にかかわるということですから、それ以上押し問答しても仕方がないと思いますけれども。
ただ私は、今日冒頭にお伺いをした多文化共生推進プログラムというものは一つの表れとして、日本の政府としてこういった問題をとらえていかなきゃいけないという姿勢は表れていると思うのですね。ですから、総務省も、そして厚労省も、本当に積極的に子どものそういった教育プログラムをどう扱っていくのかということはきっちりとらえているんですよ。
ですから、文部科学省がこのことについてきちっと考えを、いま示さないというのは、やはりこの問題に対しての姿勢が足らないんじゃないかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
伊吹・文部科学大臣
これは先生、教育の部分だけではなくて、外国人の、いまおっしゃった共生ですか、それについてどのように日本政府がトータルの、まあ移民政策というのはよくないと思いますが、外国人を国内に入ってもらって、そして、日本は伝統的にいえば、いろいろな在日で日本国籍を取っておられる方、その他ありますけれども、日本の国の成り立ちとしては、どちらかというと単一民族、単一国家、単一文化という国で来たわけですから、そこのところの大きな、大きな流れを国民としてどういうふうに位置づけて理解するかという国民の共通の理解の上に、いまの問題も論ずべきことだと私は思います。
水岡 俊一・議員
教育基本法の政府案についてやっぱりしっかりと論議をしていきたいという思いから、今日は私、こういうお話をしたのですが、提案理由を説明いただいたなかで国際化という言葉はちゃんと入っているんですね。しかしながら、政府案の条文のなかにはそういうことがない。それから、それに付随をしていく、あるいは同時に提出される法律もないというのは少し、といいますか、この提案の趣旨を説明された内容と中身とは、僕はずれているように思いますが、大臣、いかがでしょう。
伊吹・文部科学大臣
これは、いろいろ不規則発言がありますが、やっぱり提案者が提案の意図をご説明しなければならないのであって、国際化という文字を使いましたのは、グローバルな社会になってきて、日本がかつてのように東洋のちっぽけな戦いに負けた国である1947年の時と、国際社会、地球上における立場も全く違ってきていると。であるがゆえに、日本人が、日本人としてのアイデンティティーを持つと同時に、海外の文化、その他については日本人が理解をしていかないと、日本人の教育基本法として書いているわけですから、それは困るよという趣旨の国際化ということを入れているわけです。
水岡 俊一・議員
大臣、正確な数字というのは私も持ち合わせてはおりませんが、例えば、外国人の児童生徒は一体、じゃどれぐらいいるのかという問題を調べてみると、私の知るところによれば、昨年の集計で、全国に12万3000人ばかりいるんじゃないかとのお話があるわけですね。
しかし、そのなかで日本の小学校や中学校へ来ている、いま大臣がおっしゃった、日本の学校が受け入れているよというふうにおぼしき人数を調べますと約6万2000人なんです。つまり、半分程度しか日本の学校には受け入れていないわけです。
それで、ここが調査の難しいところなのですが、外国人学校というのがありますね。ブラジル人学校であるとか中華学校であるとか、そういったところに行っている人たちを調べてみても2万5000人ぐらい。つまり、あとの残りの本当に数万人、もっとありますね、全部でいくとかなりの人間、その子たちはどうしているのか、こういう問題が出てきます。
これは、想像するに、不就学という問題が出てくるわけです。
つまり、日本の国に暮らしながら、その子どもたちに責任がないのに日本で教育を受けることができていない子どもたちがそこに4万人も5万人もいるということが現実としてあるのではないかと私は思うのです。それを国際化という時代のなかで、政府もそういうふうにとらえている、そして大臣の言葉でも国際社会の一員としてというとらえ方のなかで、これでいいのだろうかと、私は思うわけです。
ですから、まあ民主党の案を私がこの立場上聞けないということなので大変残念ですが、いや、そういった意味からすると、いや、ああいいのですか。そういった意味でいえば、それじゃ委員長、よろしいでしょうか。
中曽根 弘文・委員長
委員は発議者でありますので、民主党提出の法案の中身については熟知していると思っておりますが、そのことを踏まえた上でご質問して結構です。
外国人児童生徒の教育も保障する民主党の「日本国教育基本法案」
水岡 俊一・議員
それでは、せっかくの機会でありますので、いま論議をしてまいりました学ぶ権利でありますとか、あるいはその学校教育をどういうふうに、どういった形でとらえていくのか、第2条、第3条、第4条、第7条、いろいろとありますけれども、できましたら、わが同僚の鈴木寛議員にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木 寛・民主党案発議者・参議院議員
私どもは、まさに国際社会のなかで国際社会の一員としてそうした条約を最大限実現をしていく、そういった意味でも国際社会のリーダーになりたいという思いを持って、この法案を作らさせていただいております。
したがいまして、第2条におきましては、何人も、生涯にわたって、学問の自由と教育の目的の尊重の下に、健康で文化的な生活を営む、学びを十分に奨励され、支援され、保障されると、こういう条項を盛り込んでおりまして、これは日本国民のみならず日本社会すべての人びとにこうした権利を保障していきたいと考えております。第3条の主語も、何人も、その発達段階及びそれぞれの状況に応じた、適切かつ最善な教育の機会及び環境を享受する権利を有するということ、それから第4条で、学校教育におきましては、すべての国民及び日本に居住する外国人に対して、意欲を持って学校教育を受けられるよう、適切かつ最善な学校教育の機会及び環境の確保及び整備に努めなければならないという条項を盛り込まさせていただいております。また、第7条でも、何人も、普通教育を受ける権利を有すると、こういうことを盛り込まさせていただいているところでございます。
このことが、やはり日本社会の健全な発展に極めて、いま委員のおっしゃった不就学の児童の問題を放置するということは、日本社会全体の教育のあり方にとって極めて望ましくない状況だという判断の下でこのような条項を整備させていただいているところでございます。
水岡 俊一・議員
民主党案では、何人もという主語を使う、そして、日本に居住する外国人という言葉も使いながら、日本がこれから取るべき姿、方針を一生懸命表しているというふうにご理解をいただきたいと思います。
そこで、いま、不就学のお話を申し上げましたが、それだけの数の、あるいはもっと多いかもしれません、不就学の児童生徒がいて、そして、これに対して効果的な施策が行えないとすると、これは何年かしますと、その方々が成人をしていく、そのなかで働くことも難しいかもしれない、さらに、厳しい生活の制約が出てくるんではないかということが想像されるわけですね。
そういったことについて、大臣、ちょっとお考えがあればお聞かせください。
伊吹・文部科学大臣
いまからもう、そうですね、35年ほど前なんですが、私は4年間英国に駐在していたことがあります。英国は日本とは違って植民地国家ですから、特に労働力が非常に不足して、海外からの人を入れてきているんですね。これは、国策として入れてきておったと思います。しかし、不況になると必ずトラブルが起こるのですね。社会不安が起こります。特に、英国のロワークラスの人と外国から入ってきた人との間に一番激しいフリクションが起こる。
日本はそういう国にしてはやっぱりいけない、これは先生と私と共通の思いだと思いますね。やはり世界各国を見ましても、外国から人を入れてくることについての大きな国策がまず表に出てこないと、教育の問題、福祉の問題についての扱いもきちっとできないんですよ。これは立法政策上の問題として、基本法に、国家の憲法だとか教育基本法という基本法に、これは調べてみないと分かりませんよ、私が知っている範囲では、外国人のことを書いているということは極めてやっぱり少ないと思います。それは、それ以下の法律においてその現実をどう担保するかということだと思うのです。
だから、先生の人道的な温かいお気持ちは、私は決して反対じゃありません。しかし、国家を預かっている立場からすると、外国人の労働者という、外国人の方で日本へ来ていただく方を全体として日本国家がどういう形で迎えるのか、制限的にやるのか、それから国際条約も、いまは、先ほど先生がおっしゃった数の足し算、引き算からいうと、確かに何のとがもない子どもがそれだけ不就学であるという数字になると思いますが、同時に日本の教育基本法は、日本の国民について、保護者は受けさせる義務があると、こう書いているわけですね、ご承知のように。そうすると、保護者というものが、日本の法律上違法な状態で国内に存在しておられるとした場合ですよ、その人の保護の下にある子どもさんをどう扱うかという、これは人道上のことはよく分かります。しかし、これは国際法上、かなり詰めないとやっぱりいけない問題を含んでいるということは理解してください。
鈴木 寛・民主党案発議者・参議院議員
法律には、属地主義と属人主義という、この二つの大きな考え方があろうかと思っております。で、われわれは日本社会における教育のありようを議論をしておりまして、もちろん外国人を受け入れる、受け入れない、これは教育政策の範疇外の話でありますが、結果として不就学の多数の児童が存在していて、それが同世代の日本の国民の教育に対して極めて大きな影響を持っているという観点もわれわれは十分踏まえさせていただいております。
それから第7条で、民主党「教育基本法案」では、義務教育を受けさせる義務は、「国民は、その保護する子どもに、当該普通教育を受けさせる義務を負う。」ということで規定させていただいているところでございます。
水岡 俊一・議員
大臣、最後に、私、一つ勉強してきたなかで分かったことは、憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、こう書いてあって、すべて国民はということに対象がなっているということはここからもよく分かるんです。ところが、憲法30条に「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と、こう書いてある。これも国民なんです。ところが、在日の外国人労働者は、同じようにやはり納税をしているわけですね。
そういった意味からすると、納税をさせながら、それに対する手だてを、やはり一部、少ないということであれば、それは問題があると思うんです。やっぱり国際化のなかで、それは日本の、先進国の一つの大きな代表的な国として、その問題はやっぱりきちっととらえていく必要があるのだと私は思うので、今後の論議のなかでもお示しをいただいたらというふうに思います。
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