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2006年5月30日 第164回国会 文教科学委員会
「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案」

管轄、管理運営、予算等、行財政レベルで
幼保二元行政という複雑な実態を残す「認定 子ども園」

参議院議員 水岡 俊一 

水岡 俊一・参議院議員
 私も今日はたくさん質問を用意をしてまいったんですが、就園奨励費補助ですね、この問題も是非ともお伺いをしたいと思っておりました。先ほどからずっとそういった関連の質問が続いておりますので、できるだけ重複を省くという意味からは、要望だけ一言申し上げたいというふうに思っております。
 要するに、類型を問わずして認定こども園に入所をする子ども、そして保護者、そういった方々に分かりやすく、そして格差のない平等な形で補助を行っていただいて、多くの子どもたち、多くの保護者のためになるこども園になるような方向を是非求めていただきたいと、こういうふうに思っているところであります。そもそも論等かなり行ったり来たりをすると思いますが、その点もお許しをください。
 本来、保育・幼児教育政策、子育て支援策については、少子化対策の観点だけでなく、このたび問題になっております親たちの就労の有無あるいは形態にかかわらず、すべての子どもが同等の保育、幼児教育を受けることのできる機会の公的保障として追求をし、そして成長、発達、学習、教育権など、子どもの権利の視点から政策を考えていかなければならないと、こういうふうに私、考えているところであります。
 そういった中で、2004年度は4歳、5歳児の就園率は96.5%と聞いております。実質的なもう義務化状態になっているように私は思います。それから、3歳児でも72.6%と聞いております。そういう中にあってこの法案は、現在の幼稚園と保育所に今回新たに認定こども園を加えるという、管轄、管理運営、予算等、行財政レベルで残念ながら幼保二元行政という複雑な実態を残すことになっていると、そういうふうに私は考えています。
 そこで、大臣にお伺いをしたいんでありますが、就学前の子どもの教育、保育制度、そういったものを一元化ということで、大臣、趣旨説明等でもおっしゃいました。ひとつここで、将来像も含めて一元化をどのように進めていく、そういう考えがあるのか、そういったことについて大臣の思い切った御発言を、御見解をお聞きをしたいと思います。お願いします。

小坂 憲次・文部科学大臣
 思い切った発言ということでございますけれども、同じような答弁を重ねて恐縮に存じますけれども、就学前の子どもの教育、保育制度につきましては、家庭、地域、幼稚園、保育所などの施設が連携をいたしまして、そしてすべての子どもの健やかな育ちを確保していくと、こういうことがまずもって一番重要なことだと思っております。また、幼児期の多様な教育、保育のニーズというのがあるわけでございまして、また地域的なニーズ、要望というものもございます。
 そういったものに適切に対応していくには、制度を一元化するということよりも、地域の実情に応じた対応が可能なための、利用者のための新たな選択肢を提供するという形の中でこの認定こども園制度という対応をしたわけでございまして、こうしたこの基本的な考え方を御理解いただきまして、教育、保育及び子育て支援を総合的に提供する機能を持つ施設を都道府県知事が認定こども園として認定する仕組みを御理解をいただき、何とぞ、御承認といいますか、法案を通していただきたいと、このように思うところでございます。

水岡 俊一・議員
 私は思い切った答弁をとお願いをしたのは、大臣、今日1日の答弁を見ても、両省のかかわり合いで非常に不合理な点が多いということを痛感しておられると思うんですね。そういった中にあって、これから幼保を一元化していくという、そういう課題に向かって文科省としてのきちっとした考え方、将来的にどう考えているのか、そういったことを是非お述べをいただきたいと、こういうふうに私は思ったわけです。
 そういった意味では、苦しいところかも分かりませんが、是非もう一回御答弁をいただきたいと思うんですが、その上で少し、一つだけ、後でまた詳しくはお伺いをするんですが、障害児の子どもたちを受け入れるという観点もございますので、そのことについてちょっと触れていただいて、もう一度御答弁願えませんか。

小坂・文部科学大臣
 今申し上げたことに加えて、障害児の受入れについてもというお話でございましたが、国公立の幼稚園におきましては、国公立幼稚園長の会の調査で、平成17年度におきまして3900名の障害のある幼児の方々が在籍をしていると、このように調査が示しております。また、私立幼稚園におきましては、私学助成による補助の執行を通じまして把握しているところでは8300名、これは平成18年度ということになりますが、の障害を有する幼児の方が在籍しているものと承知をしているところでございます。保育所におきましては、平成16年度において1万428人の障害児を受け入れているという状況にあるわけでございます。
 この認定こども園における、今回のこの認定こども園において障害児の受入れに関しましては、平成16年12月に中央教育審議会幼児教育部会と社会保障審議会の児童部会の合同の検討会議が取りまとめた報告によりまして、「障害児への対応についても配慮することが適当である。」との提言をいただいております。
 このようなことから、今後とも、こうした審議のまとめをいただいた御提言や、これまでの幼稚園、保育所における取組、成果なども踏まえながら、幼稚園、保育所や認定こども園における障害のある児童の受入れについて、これは更に適切な対応を期してまいりたい、このように考えるところでございます。
 いずれにしても、認定こども園制度になって、なお一層地域の子育て支援という観点からも障害児に対しての適切な対応ができるように努めてまいりたいと考えております。

水岡 俊一・議員
 ありがとうございました。
 文科省そして厚労省で御担当をいただくということについて、これからやはり多くの皆さんが改善をしていかなきゃいけない、一本化をしていかなきゃいけないという点で共通な思いを持っていると思いますので、是非ともこれから勇気を持ってその点については対応を考えていただきたいと強く要望したいと思います。
 それでは、教育、保育の定義についてちょっと話を進めてまいりたいというふうに思います。
 5月23日、文教科学委員会の質疑において、本法律案における用語の使い方として、教育とは幼稚園機能を表し、保育とは保育所機能を表すとして、学校教育法上では幼稚園教育の独自性を表す用語として保育という用語を使っているということについて、山下委員の質問に対して質疑があったと、こういうふうに私も記憶をしておるんですが、その中で実は、現在衆議院で審議中の政府案の教育基本法がございますね。その教育基本法第11条では、「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。」と、こうされておりますが、大臣、ここで言う幼児期の教育とは一体どういうことを意味するんでしょうか、お願いをします。

田中 壮一郎・文部科学省生涯学習政策局長
 ここで幼児期の教育とは、小学校就学前の時期におきます幼児を対象といたしまして、幼児が生活するいろんな場において行われる教育を総称したものでございまして、具体的には、家庭におきます教育、また幼稚園等におきます教育、そして地域社会における様ざまな教育活動を含みます広がりを持った概念としてとらえておるところでございます。

水岡 俊一・議員
 大臣にお願いをしておったんですが、残念であります。
 幼児に対する教育という意味におきまして、幼稚園児そして保育児等に区別なく教育基本法の精神に基づいて行われるべきだと、こういうふうに考えますが、それでよろしいでしょうか、お願いします。

小坂・文部科学大臣
 御指名でありますから、それじゃ答弁しましょう。
 御指摘のとおりに、幼児に対する教育につきましては、幼稚園教育はもとより、保育所における教育活動も含んでおると、このように考えております。

 公立、私立で大幅な差がある教職員の勤務年数

水岡 俊一・議員
 ありがとうございます。
 それでは、話を教職員の配置基準の問題について移していきたいというふうに思います。
 現在、公立、私立の幼稚園、保育園それぞれが特色を生かした教育実践をしておるところでございます。公立幼稚園は保育に欠ける子、欠けない子を問わず預かって、約半数が預かり保育を実施しております。公教育を担う教育機関として、職員は高い意識を持ち、日々、子どもや保護者と接しているわけでございます。しかし、近年、問題なのは財政難、この財政難などで市町村の公立保育園、幼稚園の統廃合や民営化が行われているというのが実態であります。
 今回この法案が成立した暁には認定こども園が新たにできるわけですが、従来の公立幼稚園、保育園、自治体によって設置、運営がなされる認定こども園の意義をどのようにこれからお考えになるのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
 そして加えて、また幼稚園、保育所の教育、保育の質の向上を考えた場合に、子どもにとっても、保護者、教職員にとっても、様ざまな年齢の職員、ベテランの先生がその職員の中にいていただくということが非常に望ましいというふうに考えているところであります。
 文部科学省の2001年度学校教員統計調査報告書によりますと、私立の幼稚園の平均勤務年数は約8年、そして公立は約18年と、大幅に勤務年数に違いが出ています。何が原因だというふうに文科省は考えておられるのか、加えてお願いをしたいと思います。

銭谷 眞美・文部科学省初等中等教育局長
 まず、幼稚園の預かり保育でございますけれども、いわゆる幼稚園の預かり保育は幼稚園の教育時間の終了後に希望する者を対象に行う教育活動でございまして、現在、幼稚園の7割で実施をいたしております。保護者の要望や地域の実情に応じて行われている状況にございます。
 それから、公立幼稚園、保育園、自治体により設置、運営をされる認定こども園の意義及びそこに働く教員の問題でございますけれども、まず認定こども園は、施設類型にかかわらず、教育、保育の一体的提供と地域の子育て支援が必須の機能として要求をされているわけでございます。今後、公立幼稚園、保育所や認定こども園として認定されたものが地域の実情に応じまして、特に認定こども園はこの二つの機能を備えて子どもが健やかに育成される環境の整備に努めていただくということが肝要かと思っているところでございます。
 また、公立、私立の先生の勤務年数の差についてでございますが、ただいまお話がございましたように、幼稚園教諭の平均勤務年数は、公立が18年、私立が8年ぐらいでございます。これについては様ざまな要因が重なっていることと考えるわけでございますけれども、公立幼稚園は公務員、私立幼稚園は民間の教員であるといった、こういった雇用関係の違いも影響しているのかなと考えられるわけでございます。
 各施設における職員構成につきましては、設置者の運営方針等により判断されるものではございますけれども、教育、保育の質の確保の観点も踏まえまして適切な職員配置が行われることを期待をしているところでございます。

 障害児の受け入れ公立と私立で100倍の違い

水岡 俊一・議員
 様ざまな環境、状況によって私立、公立の職員の勤務年数が変わっているという、そういうお話でした。
 ただ、教育の問題を語るときにいつもそうなんですが、子どもには何らそんなことは関係ないわけですよね。教育を受ける子どもにとっては何の選択権もないわけですから、そういった意味では、本当に望ましい教育を子どもに与えるためにはいろんな制度を整備をしていくという、そういう責任が私はあると思うんですね。それを考えたときに、今、勤務年数が短いというのは、これは何かそこに長く勤務ができないという状況があるのかもしれない。そういったことを、こういう法を整備するときに中心によく考えていかなきゃいけないというふうに私は思うんですね。
 実際に、先ほどは、子ども、保護者側にとってみて支払う料金がどういうふうになるのか、それによって、預けたいけれども預けることができないというような状況も起きてくるということで、これは大変ですよという話がありましたけれども、こういう施設、幼稚園、保育園、こども園、こういった形の中で、政府のあるいは地方自治体のその施設に対する支援の度合いが違えば、職員もそれによって大きな影響を受けるわけでありますから、そういったことにも目を付けて、しっかりと制度の整備に向けて御努力をいただきたいと、こういうふうに思うところであります。
 モデル事業評価委員会の最終まとめを読みますと、親の就労の有無、形態等で区別することなく、就学前の子どもの適切な幼児教育、保育の機会を提供するとともに、すべての子育て家庭に対する支援を行う機能を備えるものと説明をしております。
 そこで、先ほど大臣からも御答弁をいただきました障害児の問題であります。
 4月14日、衆議院の文部科学委員会で高井美穂議員が障害児児童の受入れについて質問しております。それによると、公立の幼稚園が私立の幼稚園の10倍の受入れをしていることがその答弁の中ではっきりしてきております。もっと詳しく言うと、私立の方が預かっている子どもたちの数が10倍になっているのに、預かっている障害児の児童の数を見ると公立の方が10倍ある。つまり、単純に掛け算すると100倍ということになるわけですね。そういった状況があるわけです。
 そこで、文部科学省では障害児の受入れ調査ということについては、この幼稚園、保育園、まあ保育園は厚生労働省でお願いをすべきだと思いますが、厚労も含めて、障害児の受入れ実態調査をやっておられるのかどうかということが一つ。
 それから、今回の認定こども園はもちろん、それ以外の公立、私立の幼稚園、保育所でも障害児を受け入れていくということを進めていくべきだと私は考えますが、その点について、厚生労働省、そして文科省、どういったお考えを持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。

白石 順一・厚生労働大臣官房審議官
 先に御答弁さしていただきますが、保育所の障害児の受入れでございますけれども、これは毎年調査をしておりますが、ちなみに平成16年度の数字を申し上げますと、児童数10428人の、箇所数が7200ヵ所で障害児の受入れをさしていただいております。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 幼稚園における障害児の受入れの状況でございますが、まず国公立幼稚園につきましては、国公立幼稚園長会の調査がございまして、平成17年度で約3900名の障害のある幼児が在籍をしているわけでございます。また、私立幼稚園につきましては、私学助成による補助の執行を通じて把握をしているところでございまして、平成18年度で約8300名の障害を有する幼児が在籍をしているものと承知をいたしております。
 なお、幼稚園、さらには認定こども園における障害児の受入れに関しましては、平成16年12月に中央教育審議会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同の検討会議が取りまとめました審議のまとめにおきましても、障害児への対応について配慮することが適当であるという提言をいただいているところでございまして、こうした審議のまとめやこれまでの幼稚園、保育所における取組、成果なども踏まえながら、幼稚園、保育所や認定こども園における障害のある幼児の受入れにつきまして適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。

水岡 俊一・議員
 適切に対処していきたいというのは、積極的に受け入れていくということでよろしいんでしょうか、文科省。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 そのようにお受け取りいただいて結構でございます。

水岡 俊一・議員
 厚生労働省としてはどうでしょうか。

白石・厚生労働大臣官房審議官
 もとより同じでございます。

水岡 俊一・議員
 そうすれば、気持ちはあるけれども何かが付いてこないということになってしまっては、それは空約束になりますから、制度的に職員をどのように配置をしていくのか、あるいはそのことについてどのような補助体制を組んでいくのか、そういったことを早急に検討していただきたいと、こういうふうに思っております。
 これまでのこの当委員会でも、インクルーシブな教育をいかに進めていくか、学校教育法改正のときにすばらしい御答弁も文科省からいただいたところでありますので、そういった観点から、この幼稚園、保育園、認定こども園ができましたときには、そういった観点を是非とも忘れないでいただきたい、こういうふうに強く要望しておきたいというふうに思います。
 そこで、外国人の子どもの受入れという問題が出てまいります。
 先日私も訪問をさせていただいた保育園におきましては、たくさんの外国籍の子どもさんもいらっしゃいました。そういったことがこれからどんどんどんどん増えてくるんではないかというふうに思いますが、この件について両省からお考えをいただきたいと思います。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 幼稚園における外国人の子どもの受入れでございますけれども、近年の国際化に伴いまして増加してきているとは思われるわけでございますが、ちょっと具体的な人数につきましては把握をしていない状況でございます。

白石・厚生労働大臣官房審議官
 保育に欠けるお子さんでございまして、国籍要件ございませんので、どこのお子さんでも入れます。

 教職員の配置の充実を

水岡 俊一・議員
 実際に、小学校、中学校における外国人の子どもさんの教育について、今の学校教育法の中では十分カバーできない部分もあるけれども、国際条約等のその趣旨も踏まえて適切に対処をしたいという大臣の御答弁もかつてありましたので、そういった意味では是非ともこの件についてもその環境整備について御努力をいただきたいと、こういうふうに思っております。
 4月21日の文部科学委員会で、衆議院の方ですが、奥村展三議員、カウンセラーや事務職員や養護教員、栄養職員などの専門知識を持った人たちを各部署に就けるのが望ましいという御質問をされました。それに対して銭谷政府参考人が、認定こども園の職員に加えまして、カウンセラー、あるいはNPOの方、あるいは専門機関の方等々、認定こども園が行います子育て支援、地域の実情に応じた柔軟な対応が取れるということがやはり必要だろうと思っております。特に、指導に当たります幼稚園教諭あるいは保育士の方々、親に対しましていろいろなアドバイス、カウンセリングを行ってくれる専門家を幼稚園に派遣したりするといったような事業も今後必要になってくるのではないかと思っております。また、外国籍の子どもを含みます多様な子どもに対しましてきめ細やかな指導ができるようなことを考えていく必要があると、そういうふうにお答えをいただいております。
 子どもの健康、安全の確保、子どもへの直接指導の重要性から、今朝も林委員からのお話がありました。子どもの安全確保という観点からも、教員はもちろんのこと、養護教諭、栄養職員、事務職員などの専門職員の配置を努力をしていくべきだというふうに考えています。
 こども園で拡張した機能に学校教育法や児童福祉法で定められている人的配置、これについてどういうふうにお考えをいただいているのか、お答えをいただきたいと思います。そういった法律によってカバーをしている人的配置を、是非ともこの一元化の中でどのこども園にも十分な配置ができるような、そういった体制をお考えいただいているのか、また、それが地方自治体にどのような形で指導をしていただくのか、その点について、文科省、厚労省、どちらからもお答えをいただきたいと思います。

白石・厚生労働大臣官房審議官

 御指摘ありましたように、幼稚園につきましては、養護教諭、栄養教諭、その他必要な職員を置くことができるとなっておりますが、保育所におきましては、こういう保健、栄養というふうな業務につきまして保育士が一定の役割を担っているという形になっております。
 今後、認定こども園の認定基準に関しまして国が指針を定めるわけでございますけれども、こうした養護教諭や栄養教諭などの配置を直接規定することは予定しておりません。おりませんけれども、認定こども園自体が保育に欠けるお子さんも欠けないお子さんも受け入れるという施設であることを踏まえますと、教育あるいは保育の内容としてこうした保健、栄養に関する適切な対応をしなければならないということでございますので、その趣旨に即した適切な対応を規定するということになろうかというふうに考えております。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長

 認定こども園の教育を円滑に進めるためには、いわゆる幼稚園教諭、保育士などのほかに、カウンセラーあるいは養護教諭、栄養職員、事務職員、様ざまな職員の力が必要でございますし、また地域の方々、子育て支援の方々、こういった方々のお力もおかりをしながら認定こども園の教育、保育、さらには子育て支援といった事業を展開をしていくことが大事だと考えております。
 こういった観点につきましては、総合施設のモデル事業評価委員会におきましても指摘をいただいているところでございまして、今後、認定こども園の運営に当たりまして私ども十分配意をしてまいりたいと考えております。

水岡 俊一・議員
 お考えはよく分かりました。
 私、先ほど教育、保育という文言のことについて少しお伺いをして、幼児の教育ということについて分け隔てなくそれを施す必要があるんだと、それは教育基本法に掲げてあるそういう精神というのが必要であるというふうにお答えをいただいたところでありまして、そういった意味でいえば、子どもにとって幼稚園に行くのか、保育園に行くのか、認定こども園に行くのか、いずれにしても適切な教育を受けるという権利を有しているというふうに考えるならば、あるところではそういった職員が十分に配置をされている、あるところではそれがほとんどないということになれば、子どもにとってそれは不幸なことも起き得る可能性があって、非常に危惧をされるところでありますから、この認定こども園の法案をこれからもし成立をした後、そういったことについてもきちっとした考え方を是非とも持っていただいて、これからの対応を検討していただきたいというふうに思っております。
 それで、今のことについては、文科省としては都道府県、市町村には何か連絡、通知、指導等がされるような御予定があるんでしょうか。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 今後、認定こども園の制度化、10月1日を予定いたしているわけでございますが、それに向けまして文部科学省としては厚生労働省と協力をいたしまして、まず、認定基準において参酌していただく国の指針というものを作るわけでございます。その指針の中で認定こども園の職員等の配置につきましても所要の規定を設けて、それを地方公共団体の方に御連絡をするということを考えております。
 また、この認定こども園につきまして、これまでいろいろ御議論のございました点を含めまして、その認定こども園の趣旨等についてのPR活動というものも併せて行ってまいりたいというふうに考えております。

水岡 俊一・議員
 それは、通達とか指導とかそういうことではなくて、連絡ということですか。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 法律が通りますと、施行通知というのは当然考えるわけでございますし、また、通知のほかに様ざまな方法によりまして地方公共団体に認定こども園の趣旨等について御連絡をするということになろうかと思っております。

水岡 俊一・議員
 それでは、そういった通知の中でこの人的配置についても十分な配慮をするようにというようなことを盛り込んでいただきたい、そういうふうに思うところであります。
 ちょっと話を広げ過ぎました。いろんな職員のことに今話を持っていきましたが、ちょっと戻しまして、教諭の問題として、幼稚園では今1学級35人以下に教諭が1人、保育所では3歳児の場合20人に保育士1人、4歳、5歳児では30人に保育士1人。どうしますかね、認定こども園ではどのような基準を設定するのか、これ大きな問題だと思うんですね。で、短時間部分とか長時間部分で異なる配置ということでは合理的には思えませんし、そういった問題は、これ実際的には非常に重要な問題として目の前にはだかってくると思うんですね。やっぱり同年齢部分の職員配置は、これはやっぱり統一しなきゃいけないでしょう。
 そういうふうに考える中で、新聞の報道を見ますと、幼稚園の学級規模の上限を35人から30人に引き下げることを検討しているということはありましたけれども、子どもへの対応を考えれば、保育所並みの配置というふうにこの際きちっと考え方を述べるということが私は必要だと思いますが、この件について大臣はどういうふうにお考えでしょうか、お願いします。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 ただいま先生お話がございましたように、現在幼稚園における1学級当たりの幼児数につきましては、幼稚園設置基準におきまして35人以下を原則としているところでございます。これに対しまして保育所の場合は、年齢等に応じて職員の配置基準がかなりきめ細かく決められているということがございます。
 今後、認定こども園におきます職員配置につきましては、こういった幼稚園と保育所の実情を踏まえまして、長時間保育の子供につきましては、0―2歳につきましては保育所と同様の配置、それから3歳から5歳につきましては、共通の時間は学級担任を学級単位で配置をし、長時間児につきましては個別対応が可能な体制ということで職員配置を考えていきたいというふうに思っているところでございます。

 幼稚園、保育所と小学校の連携が必要

水岡 俊一・議員
 小坂大臣ね、私、今質問をしたのは、要するに、幼稚園では35人に教諭が1人、それから保育所では3歳児の場合は20人に1人、4歳、5歳では30人に1人と、こういうふうに基準が違っていると、これから幼児の教育という観点においては、その差を余り考えないんだという観点からすれば、こういった基準をきちっと整備をしていくということが必要ではないですかというふうに大臣にお尋ねしました。
 今、銭谷局長からの御答弁がありましたけれども、余りそれについての前向きなお話はなかったので非常に残念ですが、これは、基本的にこの問題をきちっと真正面からとらえると、これはやっぱりおかしいだろうと、やっぱり当然変えていくべきだろうというふうな大きな問題の一つなんで、そこのところ是非とも御検討をお願いしたいと、こういうふうに思うところです。
 時間がございませんので、次に幼稚園と保育所、そして小学校の連携ということについて少し質問をしたいというふうに思います。
 小学校と就学前教育、保育の連携の下、発達に応じた連続性のある教育が行われるように教育計画の作成、幼稚園幼児指導要録や児童票に当たる子どもの記録の作成を義務付けることも必要になってくると私は考えております。
 大臣、小1プロブレムという言葉を御存じでしょうか。お聞きになったことはございますでしょうか。幼保小の連携というのは非常に大事になってくると、これ非常に重要な問題だというふうに思うんですね。小学校の不登校児童のうち4分の1、4人に1人は1年生から既に学校に来れなくなっているという実態があるんですよ。ということは、1年生のときの対応にやはり不十分なところがあったのではないかという危惧も抱かれる中で、改めて小学校1年生のときの子どもたちをいかに大切にはぐくんでいくかということが非常に重要なポイントだと今言われているわけですね。
 そういった中で、私も小学校1年生の子どもたちと接したことありますが、大人の感覚からいくと、まるで宇宙人が来たように思うんですね。この子たちは一体どこから来たのか、どういう子たちなんだという意味からすると、その新しく受け入れた子どもたちが一体どんな子であるかというのは、非常にこれは大切なポイントなんですね。その小学校1年生担任をされた方は、どっと目の前に来た子たちそれぞれに、かなりの能力をもってしても、子どもたちの一人一人の状態をつかむというのはなかなか難しいんですね。そういった意味からすると、幼稚園からは、この子はこういった特徴があって、こんなに明るくて、こんないいところがありますよとか、なかなかシャイかもしれないけれども、要するに友達ができたら本当に仲良くできるいい子ですよとかいうようないろんな報告を、小学校の先生は有り難くそれを受け取るわけですね。
 ここで私、今思うのは、幼保小の連携、つまり幼稚園と小学校の連携は今若干進み始めています。しかし、保育所、保育園と小学校の連携、認定こども園と小学校の連携、こういったことについては、まるで今まだ手付かず状態というか、考えていない状態だと思うんですね。そういった意味からすると、そういった連携をいかに取るか、連携を取るという中にそういった子どもたちの記録を小学校に上げていくということも一つあるんですが、そういったことについて大臣としてはどういうふうにお考えであるか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。

小坂・文部科学大臣
 小1プロブレムというのがあります。確かに、幼稚園、保育園で遊戯を中心としてきたり、それから最近の少子化の中で少人数で保育を行われる、あるいは幼児教育を行われる。しかし、それを解消するために、最近では小学校に隣接したところで幼稚園を設けたり、あるいは保育園を開設して、あなたはこれからあっちの学校に将来行くんですよというふうに小学校を見ながら保育あるいは幼児教育をすると、そういうような形を取って、できるだけいわゆる小1プロブレムというのを発生させないような努力が講じられ、また今委員が御指摘のように、幼稚園あるいは保育所からこの子についてはこういうことなんですよということで地域の中の連携の中で情報を提供していく。これは個人情報保護とかいろんな関係もありますけれども、そういう枠内で、一定の枠内でそういう努力をされているということがあってその解消に努められているところでございますけれども。
 委員も御指摘になりましたように、幼稚園において幼児の学籍及び指導に関する記録としての指導要録の作成、そして進学先小学校への送付が法律上義務付けられているわけですけれども、一方で保育所においては、幼稚園における指導要録と同様の書類の作成義務がないわけですけれども、多くの施設において、保育経過記録といったようないわゆる指導要録に相当するものを、幼稚園と同じような内容の書類が作成をされております。ただし、これらの書類については、必ずしも小学校への送付を義務付けられておりませんので、必ずしも送付されているとは限りませんけれども。
 御指摘のような総合施設モデル評価委員会の報告等においても、小学校の連携の観点から、この指導要録あるいはこれに相当する保育所の保育経過記録などもできるだけ提供するような円滑な接続を図る必要があると指摘をしております。このことから、認定こども園における子どもの記録については、小学校との積極的な情報の共有を図るべく相互の理解を図っていくように私どもとしても指導をしてまいりたいと存じます。

水岡 俊一・議員
 ありがとうございます。
 厚労省の方はいかにお考えでしょうか。

白石・厚生労働大臣官房審議官
 本年3月にまとめていただきました総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめにおきましても、すべての幼児について指導要録の抄本、写しなど子どもの育ちを支えるための資料の小学校への送付により連携が必要という御指摘をちょうだいしております。
 認定こども園につきましては、小学校との積極的な情報の共有、相互理解ということが必要だというふうに考えておりまして、文部科学省ともよく相談をしまして、国の指針におきましてはそれがきちんと記述されるような方向で検討してまいりたいと考えております。

馳 浩・文部科学副大臣
 一昨年、発達障害者支援法の立法にかかわった者として改めて答弁させていただきたいんですけれども、あの法案では脳機能障害という規定をして、定義として広汎性発達障害、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害ということで、大体4分類に分けた上で、と同時に、連携を重視すると。これは幼稚園、保育所と小学校、また小学校と中学校、中学校と高校、高校と大学、また就労に当たっては、ジョブコーチの活用等を含めて就労先との連携ということを努力義務規定にいたしましたが、やはり小学校1年生の先生にとっては、いきなりどういう傾向のあるお子さんなのかということが分からないまま4月1日に受け止めて、大変苦慮される問題なんですよ。
 今後、今大臣からも厚労省からも答弁ありましたように、きちんとした連携がなされて、こういう対応、望ましいという、そういうことを現場の先生が分かっておれば、去年から実施されましたけれども、発達障害者支援法に基づく現場における施策は始まりましたけれども、まだまだ十分ではないんですね。専門家も少ない。こういうふうな現状でありますが、この連携という作業が本当に今後とも深く密接にいくことができるように、まさしくこれも厚生労働省と連携をしながら、幼稚園から来たらこう、保育所から来たらこう、認定こども園から来たらこうという、何かどれがどれだか分からないような仕様ではなくて、できれば指導要録にたぐいするようなものが同じように上がってきて、小学校1年生を担当する教員がそれに応じて、自ら研さんを積み重ねたそういう発達障害児への対応ということができるようにする、これはすべてのお子さんに対してあり得べき対応であろうと考えております。

 ニューヨーク日本人学校売却では、子どもの立場で対応を

水岡 俊一・議員
 ありがとうございます。
 不登校の話をしましたが、不登校だけじゃなくて、学級崩壊という深刻な問題も今の小学校の中にも非常に多くあります。そういったことを含めて、みんながいろんなことを考えながら、子どもたちをはぐくむ、その手段、そして知恵を寄せ集めて教育に当たるべきだというふうに考えておりますので、ひとつ厚労省ともに積極的に取り組んでいただきたいと、こういうふうにお願いをしたいというふうに思います。
 この認定こども園の法案については、就学前の子どもたちの教育、保育をどのように進めていくかという問題でありますが、私は先日、前回の質問の際には、日本に暮らす外国人の子どもたちの教育の問題について文科省にお尋ねをして積極的な御答弁をいただいたところでありますが、今日若干時間をいただいて、各委員のお許しをいただきながら、海外で学んでいる子どもたち、海外に暮らす子どもたちの教育問題について若干質問をさせていただきたいというふうに思います。
 実は、ニューヨークの近郊にコネチカット州グリニッチというところがございます。大変風光明媚ですばらしいところでありますが、ここにニューヨーク日本人学校というのがございます。ニューヨーク日本人学校のグリニッチ校でございますが、非常に残念なことでありますが、2005年の2月の16日、昨年の2月16日にこの日本人学校で火災が起きました。海外の日本人学校で火災が起きる、非常に子どもにとって危険だということが言えるわけですが、幸いにもこの日は、火事が起きたのは夜間であって無人であったということから子どもの被害はございませんでした。教職員の人的な被害はございませんでした。しかし、木造モルタルの事務局長室が全焼すると、こういうような事件があったんですが、これは文部科学省として、日本人学校に学ぶ子どもたちの安全という観点からどういうふうにお考え、お受け止めをされたのか、少しお伺いをしたいと思います。お願いします。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 昨年2月の16日でございますが、午後10時ごろに、ニューヨーク日本人学校の敷地内にあるニューヨーク日本人教育審議会事務局長室のある建物が半焼をしたわけでございます。この点につきましては、外務省及び同日本人学校の校長を通じて承知をいたしております。
 文部科学省では、児童生徒等の安全面の観点から、同校の校長を通じまして火災状況や対応策などを聴取するとともに、外務省を通じまして情報収集に努めましたが、火災原因等については放火であるとの報告を受けており、いまだ捜査中とのことでございます。なお、火災の後、地元警察による24時間警備体制がしかれたことと承知をいたしております。
 日本人学校等における安全確保につきましては、文部科学省としては、毎年実施をする日本人学校校長研究協議会や、安全対策に関する通知等で周知をしてきたところでございます。今後とも、児童生徒及び教職員の安全確保に努めてまいりたいと考えております。

水岡 俊一・議員
 この件について、外務省としてはどういうふうに受け止めておられるでしょうか。

谷崎 泰明・外務省領事局長
 ただいま文科省の方から御答弁申し上げましたけれども、外務省としましても、昨年2月に発生した本件火災につきましては、この原因が警察、消防当局により放火と断定されたことについては非常に残念なことだというふうに思っております。放火につきましては、現在引き続き現地当局が捜査を続行しているというふうに承知しております。
 他方、当然のことながら、本件は児童生徒の安全にかかわるということでございますので、外務省としましても、現地の総領事館を通じまして警察当局へ事実関係の調査を更に照会していきたいというふうに考えている次第でございます。

 PTA、保護者が売却に反対

水岡 俊一・議員
 ありがとうございました。
 今、外務省の方からもお答えをいただいたんですが、この火災は放火であるということが言われて、現地の新聞でも報道がされました。時間があればそういったことを詳しくお聞きをしたいんですが、時間もありませんので私が申し上げると、つまりは、この放火ということになぜ結び付いたかということですね。それは、物証的に放火だということのほかに、実際にこのニューヨーク日本人学校である問題が巻き起こっていて、それの事務処理上の問題でいろいろとトラブルが続いていた。その中の一つとして、事務局長室のすべての書類を燃やすことによって解決を図ろうとした人間がいるのではないかというようなことがありまして放火であるというふうに断定もされたところだというふうに私は聞いております。
 その問題というのは何かというと、このニューヨーク日本人学校を売却するということを日本人学校の理事会が決めて、それにPTA、保護者側が強行に反対をしているというトラブルが起きているわけですね。そういった中で、私はそのニューヨーク日本人学校に通う子どもさんの保護者から連絡を受けまして、実際に、海外の日本人学校というのは国立ではありませんので、一応私立になっておりまして、理事会というのがどこにもあるんですね。このニューヨークの場合はニューヨーク教育審議会というのが実質的な理事会でありまして、この審議会と学校のPTAが激しく対立をしている、学校の内外でもうその問題は非常に明らかになっていて、子どもたちもそして親たちも大変動揺しているという状態がこの1年余り続いているわけですね。
 それで、今正に売却問題が終盤を迎えているといった状況なんですが、こういったことが、日本の国費を多額に投入している日本人学校でこういった問題が起きている。それは中身が、審議会とPTAが対立をしていると、こういったゆゆしき事態について、文科省、文科大臣としてはどういうふうにお考えを持っておられるのか、あるいはそれにどのように対応してきたのか、もしあればお伺いしたいと思います。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 ニューヨーク日本人学校の校舎売却問題につきましては、現在、在ニューヨーク総領事館が日本政府の窓口として、売却に反対をしている日本人学校の保護者と売却を進めているニューヨーク日本人教育審議会との間の解決に向けて御尽力いただいているところでございます。
 ニューヨーク日本人学校の校舎につきましては、ユダヤ人学校に売却をした後、その一部を日本人学校として使用し、一部をユダヤ人学校と供用する計画であると承知をいたしております。児童生徒の教育指導を含め、学校の管理運営等を円滑に行っていけるよう、ユダヤ人学校側との意見交換を行う場として共同運営委員会が設置をされ、今後具体的な議論がなされると承知をいたしております。
 文部科学省としては、ニューヨーク日本人学校の教育活動につきまして、ユダヤ人児童生徒との相互交流の実施を含め、今後一層の充実が図られることを期待しているところでございます。

水岡 俊一・議員
 なぜこのような話をするかということで少し説明をしたいんですが、海外の日本人学校というのはほとんどの学校が校地、校舎を借りております。その借りるお金を日本の政府から援助していただいているというのが通例なんでありますね。ところが、このニューヨーク日本人学校グリニッジ校というのは、広大な土地そしてすばらしい校舎を取得されたんですね、1992年に。当時、私が聞いたところによりますと、2300万ドルで購入をしたと、こういうお話であります。
 そして、こういった購入に際して、日本の国はシドニー方式という方式でもって援助を続けている。つまりは、借料ではないけれども、払わなきゃいけないローンの肩代わりをしているといった状態があるわけですね。そのお金が、今2300万ドルの購入価格と申し上げましたが、やはり半端なお金じゃないですね。
 今、文科省が、あるいは外務省が、海外の日本人学校の教職員の給与費、そして施設費を補助をしているわけでありますが、その全体の額からしても、ニューヨークのこの学校に掛かっているその援助額は、これは大きなパーセンテージを占めることでありまして、そのことについて少し外務省から、購入価格、そして現在の売却をしようとしている価格、そしてこの間の国費としてこのローンの肩代わりをした合計金額等、分かる範囲で結構ですから、少し答弁をいただきたいんですが。

谷崎・外務省領事局長
 お答えいたします。
 この校舎の購入に要した経費でございますけれども、購入経費が校舎附属設備を含めまして800万ドル、それから、これは築90年の建物ということでございましたので、約1千500万ドルをこの整備に使っております。したがいまして、全体としましては今御指摘がありましたように2300万ドルというふうに承知しております。
 このうち、政府としての援助でございますけれども、このうちおおむね半分の約1200万ドルを負担することとしておりまして、これを平成4年度から毎年約60万ドルを援助してきております。したがいまして、平成17年度までの援助額の合計は約830万ドルということになっております。
 以上でございます。

水岡 俊一・議員
 今お答えをいただいて更に明らかですが、売却価格は幾らというふうに承知をされているでしょうか。

谷崎・外務省領事局長
 売却価格は2000万ドルと承知しております。

水岡 俊一・議員
 日本の政府としては、ローンの支払分をこれまでに830万ドル援助をしてきたと。この学校は、当時は2300万ドルで経費が要ったが、今回2000万ドルというようなことで、実際には日本政府が約10億円ですか、830万ドルということは、そうですね、約9億数千万円のお金をつぎ込んだ学校が今回売られてしまうということですね。ということは、このこれまでに掛けたお金というのは、これはすべてこのニューヨーク日本人学校の資産として考えられるものなんでしょうか。シドニー方式というもの、私も詳しくは分かりませんので、こういった売却が起こったときにはどうなるのか、今外務省で何かお持ちの材料がありましたらお答えいただきたいんですが、あればでいいです。

谷崎・外務省領事局長
 お答えいたします。
 いわゆるシドニー方式で国が援助をして購入したものを売却したという例はこのニューヨークの日本人学校は初めてのケースでございますので、そういう意味におきまして比較する例というのは今のところございません。

水岡 俊一・議員
 私は、国費が多額に投入をされて、そのことが邦人、日本の子どもたちあるいは日本人学校に学ぶ子どもたちのために使われて、有効な使い道であれば私はいいと思うんですが、このたびそういう売却問題が生じてきて、多額のお金が動いて、そして、実はニューヨークというのは今非常にすごい土地バブルなんですね。ですから、2300万ドル、800万ドルで買うて、1500万ドルお金を掛けて、2300万ドルで実際には今の学校を手に入れたことになりますが、それだけの物件を今回300万ドルも安い値段で売却をする、そしてその取得にかかわっては日本から800万ドルからのお金が投じられていたということで、一体これはどういうことなんだということで理事会とPTAがもめているという、そういう内容なんですね。
 ですから、この中に、なぜそういう安く売らなきゃいけないんだというふうに保護者の方々が言っているわけですね。これは、報道によりますと、その陰に黒いうわさがあるんではないかというようなことで非常に問題視をされて、これはニューヨークの日本人会だけじゃなくて、ニューヨーク市民の間でも大きな話題になっている。日本でも実は週刊誌でも取り上げられて、4月に出たところでありますが、余り大きな問題にはなりませんでした。
 そういったことで、私としては、この問題を外務省としては今後どういうふうに見ていかれるのか、どういう対応をされようとしているのか、ちょっと領事館の立場というのもあると思いますので、その辺りについて若干外務省のお答えをいただきたいんですが。

谷崎・外務省領事局長
 御指摘いただいた点は2点あるかと思います。1点は、特に児童のことを考えてどうするのかという、こういうことがあるかと思います。
 ここにつきましては、そもそもこの学校を売却するというのは2年前の理事会、2004年3月の理事会において決められたというときでございますけれども、総領事館の方から外務省の考え方を体しまして申し上げたことは2点ございます。
 1点は、各、校長を始め関係者の意見を反映できるようにすることということが1点でございます。それからもう一つは、保護者及び協力企業、関係団体に対して十分な説明責任を行うという、これを尽くすようにということで、その理事会の場で発言しております。
 それに基づいて外務省としましては、この問題が、御指摘のような問題が出てきた後、必要な対応、調整ということについて、総領事館を通じまして関係当事者に対して働き掛けを行ってきたということでございますし、今後も行っていきたいというふうに考えております。
 他方、この問題につきまして、御案内のとおりでございますが、ニューヨークの州当局に現在この許可についての審査が付託されておりまして、この州当局の方が言わば客観的な形での判断を、この売却契約の適正さについて現在審査をしているというところでございます。したがいまして、我々としましては、このニューヨーク州当局の客観的な形での判断というものを待っているというところでございます。

 教育審議会(理事会)が保護者の意見を無視

水岡 俊一・議員
 今、ニューヨーク州当局、特に最後まで残っておりますのはニューヨークの最高裁というふうに聞いております。ニューヨークの最高裁が事実上今待ったを掛けているという状態であるというふうに聞いておりますので、そういったことについては注視をしていただいて、今後の対応を是非とも、子どもたちの立場に立った対応を是非とも外務省、文科省ともにお願いをしたいんですが。
 そこで、文科省にお伺いをいたします。
 この売却問題、今簡単にでしか報告をできませんでしたが、非常に多額のお金、それも国費が投入をされている中で起きたこの疑惑にまみれた売却問題について、PTA、保護者の側は非常にこのことに懸念を持って、そして論理的な証明、論理も突き付けながら反対ですと、こういうふうに述べていますけれども、今日、学校教育を学校側だけでやっちゃいけないと、保護者の意見だとか家庭、地域と一緒に連携をしていくということが必要であるという立場にある文科省としては、このニューヨーク日本人学校がこういった形で保護者側の意見を無視しているということについてどういう見解を持っておられるのか、文科省からお聞きをしたいと思います。

銭谷・文部科学省初等中等教育局長
 文部科学省といたしましては、今回の校舎売却を含めましたこの問題につきまして、教育審議会側と保護者側で意見が対立をしているということを承知をしているわけでございますが、基本的には現地の関係者の円満な解決に期待をしているところでございます。

水岡 俊一・議員
 いや、だから、保護者の側のそういった意見をどういうふうに取り入れていくのかということが学校運営上非常に重要ではないかということを私は申し上げたかったんですね。だから、そのことを文科省としてもきちっととらえていただきたいというふうに思うんですが、時間がございませんので、大臣にちょっとお願いしたいんです。
 このことも含めてですが、現地の学校には現職の日本の学校で勤めた校長、教職員が多数派遣をされております。こういった方々は実際には教育的見地からこういうふうに考えるんだという意見を、様ざまな意見を持っておりますし、校長にあっては文書の形でもきちっと明確に意見を述べているんですね、これまでに。しかし、これはニューヨーク日本人学校においては重視をされていないというふうに私は聞いております。
 今外務省からも、校長等の意見を十分聞くようにと領事館でも言っているというお答えがありましたけれども、大臣としてはどういうふうにお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。

小坂・文部科学大臣
 外国の地における日本人教育のために日本語学校、補習校等、これにおいては、私の経験から判断いたしましても、現地の日系企業がお金を出し合ったり、いろんな形で支援を行ってきているところだと思います。また、ニューヨークの教育審議会も、そういった日系企業の支援等も踏まえながら今日までの運営がなされてきたと思うんですね。
 そういう中で、やはり教育でございますから、学校長はその学校運営全般にわたってやはり責任を持っていくわけでございます。そういう意味からすれば、やはりそのニューヨークの日本人学校長は、ニューヨーク教育審議会との間において、日本人学校長としては教員等の意見を代表する立場でその意見を述べる、そういう、何といいますか、責任があり、またそういう立場で行動もしていらっしゃると思います。ですから、そういう意見はそれなりに尊重されるべきと思っております。
 私、もう一度この問題、昨年のもう12月に調印が済んでいるということを今報告の中で読みましたけれども、ニューヨーク当局の許可を待っている状況にあるということですが、今一体どのような状況にあって、そして今後どのような方向で進みそうになっているのかも含めて現状を把握いたしまして、そういう中で、外務省と協力をしながら、現地との連絡を密にして、今後の対応を適切なものになるように見守ってまいりたいと。見守るということはすなわち私なりに努力もするということも含めてでございますが、現地の方の状況をしっかりと把握したいと思っております。

水岡 俊一・議員
 ありがとうございます。
 是非大臣にお願いしたいのは、私が調べましたところ、校長は審議会に出席をしておりますが、オブザーバーということで議決権がないそうです。ですから、今回の売却問題等様ざまな問題について、重要な案件について賛否を問うときは退席を命じられるそうです。こういったことが今のニューヨークの教育審議会の中で行われているということについて、是非とも調査をいただいて大臣の対処をお願いしたいと、こういうふうに切にお願いをしたいというふうに思います。
 最後に、実はニューヨークの総領事館の総領事はこの4月に交代をされました。だれが新しい総領事になったかというと、実は、このニューヨーク教育審議会の中で、売却側で、売却をすべきだという側で強く主張されたある人物が実は商社を辞めて急遽ニューヨークの総領事になられた、こういうことなんですよね。この問題についてはもう語りたいことたくさんあるんですが、それは、私自身はこの方にお会いをしました。非常に紳士な方であって、その人を個人的に私は責めるつもりは全くありませんが、しかし問題が起きていて、放火事件も起きていて、ニューヨークの最高裁判所も待ったを掛けて、そういった状況の中にあって、渦中の人を、まるでこの問題をばさっと切り捨てるかのような高級外務公務員を指名をしていく、任命をしていくということに私は疑問を感じますね。
 全世界の日本人学校は、現地においてステータスが認められていないところがほとんどなんですね。ということは、何々大使館附属○○日本人学校、○○領事館附属○○日本人学校というような形になる可能性が強くて、そういう意味では、トップは大使とか公使とか総領事なんですよね。そういうことになる中で、これはやっぱりゆゆしき人事だというふうに、外務省だけの話じゃなくて、文科省としてもこれは重要な問題だというふうに思うわけです。
 そういった意味では、是非委員長に、民主党はかねてより高級外務公務員の人事を国会の同意人事にすべきだという意見を主張しておりますので、また当委員会でも理事会で協議をしていただくように委員長にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

中島啓雄・委員長
 後刻理事会において協議いたします。

水岡 俊一・議員
 ありがとうございます。
 そういったことで、子どもたち、あらゆる立場にいる子どもたちの教育を私たちは見守り、チェックをし、そしてはぐくむことに力を注いでまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。


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