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2006年3月30日 第164回国会 文教科学委員会
「独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案」

独立行政法人の公務員化、非公務員化は業務の内容で

参議院議員 水岡 俊一 

水岡 俊一・参議院議員
 大臣、今日は3月30日でありまして、学校は今、春休み中であります。無事に卒業式を終えて、学校は今、目下新学期の準備で大変忙しくしているところであります。教職員は土日も挙げて準備に掛かっているところでありますが、もう1週間もすると、ぴかぴかの1年生を迎えて新学期がスタートすると、こういうところでありますので、本題に入る前に若干時間をいただいて、この子どもたちをいかに守っていくかという学校安全の問題について質問をさせていただきたいと思います。どうかお許しをください。
 学校教育の目的を達成するためには、もちろん子どもたちが安全に安心して学校に通って、そこで学び、そして生活をするということが第一前提でございます。しかし、近年、非常に不幸な事件が続いておりまして、文科大臣を始め多くの皆さん方御心配をいただいているところではないかというふうに思っております。
 そこで、2006年度予算では、文科省はどのような学校安全対策のための新規の予算を組んでおられるのか、お聞かせを願いたいと思います。

素川 富司・スポーツ・青少年局長
 学校安全に関しましては、子ども安心プロジェクトという形で事業を展開しておりますけれども、18年度新規の事業といたしましては、子どもの安全に関する情報の効果的な共有システムに関する調査研究、これはITを活用して子どもの安全に関する情報を共有する取組を支援するためのものであります。これがまず一つございます。
 二つ目には、子ども待機スペース交流活動推進事業といたしまして、これは下校時間の早い小学校の低学年の子どもたちが高学年の子どもたちと一緒に集団下校することができるようなことの環境を整えるために、余裕教室等を活用いたしまして地域住民との交流活動を行うというものでございます。
 三つ目は、地域で子どもを見守る全国ネットワークシステムの構築ということでございまして、全国各地で実施されている子供を見守る取組を、インターネット等を活用して検索、閲覧できるシステムをつくろうとするものでございます。

水岡 俊一・議員
 今、三つばかりお示しをいただいたと思いますが、その中の二つ目に、低学年の子どもたちが上級生と一緒に帰れるように、集団下校できるようにということで対策を練っているんだというお話をいただきました。これは、ちなみに全国でどれぐらいの予算で、それは各県どれぐらいに割り当てられる予定ですか。ちょっと分かれば教えていただきたいんですが。

田中 壮一郎・生涯学習政策局長
 お答え申し上げます。
 子どもの待機スペース事業につきましては、全国1150市町村、それぞれ1ヵ所当たり55万4千円、合計で7億円余の予算を計上させていただいておるところでございます。

水岡 俊一・議員
 ありがとうございます。
 まあ、最初の年度だということで、まあなかなか数が進まないのは、これは仕方がないことだと思いますが、是非ともこういったことについて早急に各県あるいは各市町村に十分にそういった措置ができる、そういった取組を行うことのできるような考え方をこれからも文科省には持っていただきたいと、こういうふうに思っております。
 そこで、今年度、もうわずかでありますが、今年度の中で行われてきた学校安全対策というのは一体どういうものがあったのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

素川・スポーツ・青少年局長
 今年度につきましても、先ほど申し上げました子ども安心プロジェクトというのがこの事業の中核でございますけれども、特に、昨年の12月、政府全体で取りまとめました「犯罪から子どもを守るための対策」というのがございまして、その中で特に緊急対策6項目というものが挙げられております。
 少し例を挙げますと、通学路の緊急安全点検でございますとか学校におきます防犯教室の緊急開催等々でございますけれども、そういうものにつきまして取組を進めてまいったわけでございます。当然、その17年度の子ども安心プロジェクトの中にはスクールガードリーダーの配置を進める事業としてございます地域の安全の体制を取り組むための事業も入っておるわけでございます。これにつきましても着々と取り進めてまいったところでございます。

 学校の安全・防犯に従事する専門職員の配置

水岡 俊一・議員
 学校の安全対策に向けて、人的な配置という観点からすると、今お話をいただいたスクールガードリーダーという点が非常にまた今年度は注目をされた部分だろうと思いますが、それについてもまだまだ予算面で厳しいところがあるんではないかというふうに思っております。これからの取組を是非ともお願いをしたいと思いますが。
 そこで、大臣、ちょっとお願いをしたいんですが、学校における安全教育というのは教育活動全体を通じて行われるわけであります。教科、道徳、特別活動の三領域において実施できると、こういうふうになっておりますが、学校現場というのは本当に忙しい、多忙であるということが現状でありまして、教育課程、学習指導内容の改訂を始め、基本的生活習慣が形成されていない子どもや、あるいは情緒が不安定になりがちな子どもの対応、また保護者の多様な要求もあり、そういった中で学校の安全、特に防犯ということについて取組をしようと思いながらもなかなか手が回っていないというのが現実ではないかというふうに思っておるんですね。
 教師の負担は非常に増加をするばかりであると思いますが、こういうような学校の状況を見るとき、やはり私たちは、学校の安全あるいは防犯、そういったことに従事をするための人員が必要ではないか、そういう専門職を学校に置くべきではないかというふうに私たちは考えているところであります。
 今朝ほどの佐藤理事のお話にもありましたように、我が党は議員立法で安全専門員の配置を位置付ける学校安全対策基本法を提出させていただいたところでありますが、そういった意味からいうと、そういう学校の安全とか防犯とかいうことに専門的にかかわる人員の配置ということについては小坂大臣はどのようにお考えか、是非お聞かせをいただきたいと思います。

小坂 憲次・文部科学大臣
 学校の安全と一言で言うとそれで済んでしまうんですが、実際には、子どもの健康、それから学校での活動の中での事故、あるいは防犯、また通学路における安全、修学旅行とかそういった校外行事における安全、すべてに責任を持っていかなきゃいけないわけですね。私は、そういう意味で安全の責任者はやはり校長であろうと思っております。したがって、学校安全専門員という専門の人間を配置したからその人間がすべての責任を負って安全を確保するという形にはとてもならない、それはもう委員もそういう御認識の下だろうと思います。
 したがって、私は、これは、その任に当たらない教員が全部防犯から意識が薄れてしまっても困るわけでございますし、また地域の皆さんにもやはり協力をしてもらうという体制があってしかるべきでありますし、また防犯経験者、あるいは地域の警察等の関係機関との連携ということも十分に図っていく。そういう意味では、専門員を配置するというのは一つの考え方だとは思いますけれども、否定はいたしませんが、現実的にはいろいろな力を全部総合して糾合していくというのが現実的な、喫緊の対策としては対策として取りやすい方法だと思っておりますので、ボランティアによるスクールガードをお願いをするとか、あるいはそのアドバイザーとしてのスクールガードリーダーというものを配置して、要請をして、またアドバイスを請うとか、あるいはIT機器の導入によりまして、例えば最近ではPHSの機能を使って、そして学校を出てからお母さんがそのIDで問い合わせをすると、現在、今どこにいて、そこまでどういう経路をたどったというのが地図に出てくるということも最近テレビでも報道されておりますが、そういった、まあそこまで監視することがいいかどうかは私も若干疑問がありますが、そういったこともITを活用すればできるという環境にあります。そういったものを複合的に、総合的に利用しながら、安全の確保にいろいろな形でチャレンジをし、そして、より高い安全確保策をしっかり描き出していくということが必要だろうと思っております。
 したがって、結論を申し上げれば、一つの考え方だとは思いますが、それぞれの現場にマッチした方法をいろいろとその現場の責任で取り入れていただく、それに対して選択肢を私どもからできるだけ多く提供できるようにする、これがやはり必要なことではないかと思っております。

 学校安全対策の法整備

水岡 俊一・議員
 お答えをいただきました。その中で、私、誤解をなさらないでいただきたいと思うんですが、けちを付ける気は全くありません。ただ、PHSのお話がありました。学校に従事をしている教職員、そして子どもの親、その立場に立つと、犯罪が起こったり、事件が起こった後、どこに行っていたのかとか、どういう経路を通ったとかいうことはもう、どうでもよくはないんですが、それはもう起こってしまったことで、いかんともし難いことなんですよね。気持ちとしては、そういったことが起こらないようにどうすればいいかということが私たちの非常に心配をするところなんですね。そういう意味では、そういう犯罪とか事件とかが起こりにくい環境をいかにつくっていくか、それが私たち教育にかかわる、国会でいえば文教科学委員会としての一つの大きな仕事ではないかなというふうに私は感じておりますし、学校に携わっている人間は強く感じているところであります。
 スクールガードリーダーというお話がありましたが、実は、やはりこれは親の立場に立ってみると、親も子どもたちの安全を守りたいと思っていますが、学校にだれもそういったことを担当する人が立ってもいない、見守っている人たちもいないという中で、親にボランティアで出てこいとばかり言われてもそれは難しいでしょうと。学校も人員の配置をしながら、みんなで何とか学校と地域と家庭と力を合わせてやっていきましょうという提案なら私たちも仕事を休んで交代で出ていこうかということにもなりますが、スクールガードリーダーで警察官としての経験をお持ちである方が多いと思いますが、そういった方の指導で安全対策を練っていくことはやれても、気持ちとしてみんなが学校の安全に積極的にかかわる、そういう土壌がつくれるかといったら、非常に難しいなというふうに私は感じるところであります。
 予算ということもありますので、文科省として安易にそういったことが必要だというふうにはおっしゃりにくいとは思いますが、しかし、これから先、学校の安全対策という意味においては何らかの法整備が私これから必要になってくるように思いますが、その点については、大臣、いかがでしょうか。

小坂・文部科学大臣
 今、先ほど申し上げた、例えばPHSの例は、安全といって、犯罪があった後の確認じゃなくて、お母さんの安心を確保する手段なんですね。今子どもはどうしたんだろう、帰りが遅いなというときに確認ができる手段という意味で、多分アイデアとして提供されているんだと思っております。
 また、法律ですべてを規定することがいいとは、むしろその逆をおっしゃる立場でいらっしゃると思いますので、そういう意味では規制強化をしろということではないと思いますが、法律で規定すればすべてが済むというものではないことは当然のことでございますし、また、その専門員というものを義務的に配置するということがいいかどうかというのは、やはりまだかなり議論があるところだと思っております。
 先ほどから申し上げているように、否定はいたしませんが、委員御自身がおっしゃったように、みんなが安全を守るという気持ちになってとおっしゃったその部分が一番大切なことでありまして、規定を設けたからみんながそうなるわけじゃなくて、やはり常にいろんな形で協力を要請していくということが必要だと思っております。
 PTAの皆さんも大変に忙しい。特に役員に就くとほとんど家庭を犠牲にしなきゃならないほどにPTAの役員というのは忙しいと思っておりますし、先生方も同時に忙しい。最近、スクールミーティングあるいはタウンミーティング等で私どもが聞く意見の中には、かなりの方々が地域の安全ボランティアとして自分は活動していると、しかしPTAの皆さんが、自分たちが一生懸命こんなに安全を守るために活動しているのにあいさつ一つすらしてくれないという御不満が大変多いんですね。
 そういうことも頭に入れて考えますと、やはり守ってくれるボランティアの人たちの気持ちは、もっと積極的にやりたいと思っていらっしゃる。ですから、そういう協力体制は基本的にあると思うんですね。その協力体制を引き出して、また一緒に父兄も協力のできる部分で協力をしていくし、また先生たちもそういう気持ちを持ってやっていく。そこにまた防犯のプロも、ボランティアを通じ、あるいは専門の警備会社として協力をしていく。そういうものの総合力が地域の防犯力を高めることにつながっていくと思いますので、専門員の配置を否定はいたしませんが、法定化するということについては慎重な議論が必要だと、こう思います。

水岡 俊一・議員
 大臣として慎重なお答えをいただいたんだというふうには思っております。ただ、子どもの安全を求めるという気持ちは大臣も本当におありだなということは感じているところでありますので、今後の法整備については是非とも御検討をいただきたいと思うところであります。
 その点について最後に一言だけお願いをしたいのは、地域で守っていく、これは本当にそれぞれの地域が考えることでありますが、地域にもいろんな事情があります。そして、財政事情にも格差がございます。ですから、スクールガードリーダーの求めに応じていろんな施策が行うことのできる市町村もあれば、そうでない市町村もあります。子どもの安全をやはり国の責任としていかに守っていくのか、その一つの方策としてそういう専門職の配置というのも選択肢の一つだというふうに大臣もお認めいただいたので、そういったことの検討を是非ともこれからお願いをしたいというふうに思っております。
 ボランティアは、これはやってみた人でないと分からないところがあります。私はかねがね思っておりましたが、文科省にお勤めのスタッフの皆さんの御家庭で、御主人が、あるいは奥様がボランティアとして学校に協力をなさったケースが一体何例あるでしょうか。そういったことから考えると、口で言うのは易しいけれども、実際ボランティアというのは難しいことであります。私もPTAの役員をして、経験していろんなことが分かってまいりました。やはりそういうボランティアを皆さんに参加をしていただいて、そこで新たなまた子供の安全対策を考えていただきたいと、こういうふうに思うところであります。ありがとうございました。

 評価委員会の委員の適正化

 それでは本題に移ってまいりたいと思います。
 昨年の3月28日、同僚の尾立源幸議員が本院の財政金融委員会の質問で、独立行政法人の運営状況をチェックするため各府省に置かれた独立行政法人評価委員会の正規の委員と臨時委員の約550人のうち17%に当たる95人が、委員報酬とは別に、任期中に自ら所属をする委員会の評価対象法人から会議出席や講演の謝礼、研究助成などを受けていたことが明らかになりました。文部科学省関連では28%、46人にも上っているところであります。
 このことについては、任期中に評価対象の法人と金銭の絡む関係を持つことは評価の客観性、そして厳正さに影響する可能性があるので基本的に避けるべきだという意見は、専門家だけじゃなく多くの皆さんが持っておられることだというふうに思っております。また、評価自体についても、実際に各評価委員会の評価は肯定的な内容が非常に多くて、実質的に機能しているのか疑問に思っているという批判の声もあります。
 そこで、評価先から研究費や謝礼などを受け取ることは評価委員として適格性を疑わせることになる、好ましくないという観点から、文科省はこのような慣行を是正する措置がとられてきたのかということについて、そして、もし現在も続いているということであれば、適正かつ客観的な評価がなされないというふうに、そういう危険があると私は考えますが、文部科学省の見解を、お答えをいただきたいと思います。

干場 静夫・文部科学大臣官房総括審議官

 昨年の3月28日でございましたか、参議院の財政金融委員会で尾立議員が、独立行政法人の評価委員会のそのメンバーが評価をする対象の法人との金銭の授受があるのではないかということで、広く御調査の結果を御報告なされたということにつきまして承知しておりますと同時に、そのうち、ある部分につきまして文部科学省の関係のものがあるというような御指摘も当時において私どもとして認識したところでございます。
 それで、その点につきましては、例えば競争的研究資金の審査員ですとか、それから法人の業務に関しまして助言を行うような外部の有識者として、あるいは独立行政法人の役職員、あるいはその競争的資金の研究の担当者と、そういったような形で評価対象となっている独立行政法人から金銭の、謝金ですとか給与等を得ている事例があるということも承知しているところでございます。
 それで、これらの独立行政法人の評価に当たりましては、その委員の高い見識に基づいて行われているものでございます。したがいまして、私どもとしましては、これらの事例が評価に影響を与えるものではないというふうに考えておるところでございます。
 また一方、例えば研究助成などにつきましては、研究助成といいますのは、競争的資金の研究助成といいますのは、専門家による評価、これはピアレビューと称しておりますけれども、こういったことによりまして厳正適切な審査によりまして交付されているものでございますので、評価委員であることによって例えば研究助成の交付に影響があるというようなことはないものと考えております。
 なお、昨年の3月28日に財政金融委員会があったわけでございますけれども、文部科学省の独立行政法人の評価委員会の審議につきまして疑念を招くということがないよう、私どもといたしましては、同年の3月29日に独立行政法人の評価委員会の運営規則の改正を行いまして、審議の対象となる独立行政法人の役職員は当該独立行政法人に係る評価について議決権を有しないということを定めているところでございます。

水岡 俊一・議員
 いや、長い答えありがとうございました。
 要は、是正をされたかどうかということを聞きたかったんですね。ですけど、今のお答えによると、それは是正をされたという経緯はないと、こういうことですね。違いますか。短く答えてください。

干場・文部科学大臣官房総括審議官
 ただいま申し上げましたように、議決権を有しないというような措置を行ったということでございます。メンバーとしまして、先ほど申し上げましたように、関係の独立行政法人から先ほど申し上げましたような審査員とか助言を行うような外部有識者として謝金等を受け取っているという事例はございます。

水岡 俊一・議員
 その問題は、要するに評価先から研究費や謝礼を受け取ることは評価委員としての適格性を疑わせることになると、これは好ましくないというふうに私は考えるんですが、この問題について意見が随分違うようですから、今後またお話をさせていただきたいというふうに思っております。財政金融委員会でも是非とも取り上げていただきたいと、こういうふうに思っております。

 特殊教育研、国語研の研究事業の進展不安

 次に、国立特殊教育総合研究所と国立国語研究所について質問をしたいというふうに思います。
 国立特殊教育総合研究所はこれまで障害のある子どもたちのニーズに対応した教育の開発、研究に大きな成果を上げてきたと考えます。また、国立国語研究所は我が国唯一の国立の国語研究機関として日本語教育研究の役目を果たしてきたと思います。この両研究所の設立の目的、それからこれまでの役割、成果、そういったことについて、ごく簡単にお答えをいただきたいと思います。

銭谷 眞美・初等中等教育局長
 私の方から国立特殊教育総合研究所につきまして御説明を申し上げます。
 国立特殊教育総合研究所は、特殊教育に関する研究のうち、主として実際的な研究を総合的に行い、特殊教育関係職員に対する専門的かつ技術的な研修を行うということ等によりまして特殊教育の振興を図ることを目的といたしております。
 これまで研究所におきましては、国の特殊教育に係る政策立案、施策推進等への寄与及び教育現場の教育実践等への貢献、都道府県ごとの特殊教育に係る指導者の養成、特殊教育に係る国内外の情報を収集、分析、整理し、特殊教育関係者に対する総合的な情報提供、国際機関との連携によるアジア諸国等、諸外国の特殊教育の発展への貢献などの役割を果たしてまいりました。特殊教育に関する我が国唯一のナショナルセンターとしてこれまで大きな成果を上げてきたというふうに考えているところでございます。

加茂川 幸夫・文化庁次長
 国立国語研究所についてもお答えをさせていただきたいと思います。
 この研究所は、国語の改善及び外国人に対する日本語教育の振興を図ることを目的として昭和23年に設立されたものでございまして、これまで数多くの研究成果を公にしてきたところでございます。
 その一部を御紹介いたしますと、国語研究につきましては、国語に関する様ざまな情報を蓄積し発信するということが大きな柱となってございまして、例えば国語年鑑でございますとか国語教育年鑑を刊行する一方、最近の話題といたしましては、外来語の言い換え提案を行ったのもこの研究所でございます。また、漢字の使用に関する実態調査を踏まえまして、いわゆる常用漢字表の制定に貢献をいたしたということもございます。もう一点、日本語教育研究に関しましては、日本語教師の研修事業を行いますほか、教材の作成でございますとか日本語能力試験の実施にも貢献をしてきておるところでございます。

水岡 俊一・議員
 今お答えをいただきました国立特殊教育総合研究所においては特別支援教育の点で、そして国立国語研究所については日本語教育で本当に大きな役割を果たしてこられたんだと私は認識をしているところであります。このたびの法案の改正によって、これから研究事業の進展がどのようになるのか非常に不安を持つところもあるんですが、是非ともこれらについては更なる取組が行われますようにお願いをしたいというふうに思っております。

 海外の美術館等の運営は国家公務員

 時間がございませんので、次の国立美術館、国立博物館、文化財研究所あるいは国立科学博物館について質問を移していきたいというふうに思っております。
 ドイツ、オランダ、イギリスの博物館、美術館においては、国から独立した組織として存立をしているわけでありますが、運営費の相当部分は、ドイツ、オランダが8割から9割、イギリスが6割から7割、国からの交付金を受けております。で、国家公務員ないし国家公務員に準じた身分を持つ職員が運営にかかわっているというところであります。フランス、イタリアにおいては、博物館、美術館の運営はすべて国の機関として国家公務員により行われています。また、多数の博物館、美術館を運営するアメリカのスミソニアン協会においては、一般職員の7割から8割が連邦政府職員であり、歳入の約8割が政府から又は州からの交付金で賄っているところであります。
 政府は、国立博物館、国立美術館などの文化芸術にかかわる機関について、本法案により非公務員型への移行を進めるとともに、他の独立行政法人と同様に予算を年々削減しようとしているわけですが、歴史、そして伝統、そして文化、そういったものを保存し、継承する博物館、美術館の業務は永続性が求められる。将来的に事業の縮小とか民間への移管ということを考える性格のものではないというふうに私は思っております。
 そういった観点から、他の独立行政法人とは違いを勘案して、一律に予算削減を進めるものではなくて、また文化関係予算、これを欧米諸国並みに確保していただき、予算の拡大に努める必要があるというふうに私は思いますが、この点について文部科学省はどういうふうな見解をお持ちでしょうか。

河本 三郎・文部科学副大臣
 後段の方からお答えさしていただきますが、文化庁の国家予算に占める比率というのは決して高い水準ではないと思います。80兆円を超える国家予算のうち、文化庁の予算は1千億円強であります。その比率は0.13%でありますので、つまり低いというふうに、私はそう認識しております。ただ、18年度の予算においては国立新美術館の開館準備事業費なども盛り込んでおりまして、いろいろ工夫をしておるところでございます。
 もう一点の公務員のお話でございますが、国立美術館あるいは博物館については、その業務を実施するに当たり国家公務員でなければ業務に支障を生じるという具体的な問題は見い出せないと、思っておりますので非公務員としたわけであります。独立行政法人の職員については、もう先生御存じのとおり、今後の行革の方針において、具体的かつ明確な問題がない限り非公務員とするということが政府の方針として決まっておりますので、御理解をいただければと思います。

水岡 俊一・議員
 副大臣、お答えをいただいた部分、後半の部分は次の質問の先取りでありまして、まだ質問していなかったんでありますが。
 要するに、文化関係予算、これをやはり欧米諸国並み、あるいはそれにも増して予算を拡大していくという取組を是非とも文科省としては進めていただきたいというふうに思っているんですが、今のこの流れからいくと、どんどんと将来的に減少していくような、そういう形になりそうな気配ですが、文科省としては、その点についてもう一回ちょっとお答えいただきましょうか。

河本・文部科学副大臣
 先生、ありがとうございます。
 文化庁の予算は、済みません、先走りしまして、国家予算に占める比率というのは低いと私は思いますので、やはり本物の芸術に触れるという、そういう意味からも、是非、この1千6億円、来年度の予算でありますけど、きちっと確保をし、上積みをしていきたいと思っております。
 ただ、他国との比較ということになりますと、行政の性格といいますか、いろいろありますので、単純に比較するのはなかなか難しい問題だと思います。

水岡 俊一・議員
 先ほど答えていただきました身分の問題についてですが、研究部門あるいは展示部門というふうに業務を分けてみると、非常に大きな違いは出てくるように思います。しかし、とりわけ文化財の収集であるとか修復、それから保存、そういう研究部門というのは、特に私は業務の永続性という観点から必ずしも非公務員化がふさわしいとは私は思わないんですね。それで、この国立博物館であるとか美術館、ここに勤務をされる方の身分をこれはやっぱり公務員にすべきではないかという考え方は文科省の中にはないんでしょうか。
 それから、加えて言うならば、今度の法改正によって非公務員化になるということで、なぜそれはじゃ最初からそうならなかったのかという問いを佐藤理事の方からしたところ、大臣からは激変緩和だよと、こういうお答えもいただいた中で、そういうことも一定理解もするところですが、私としては、公務員化をするのか非公務員化とするのか、これはやはり業務の中身によって決めるべきじゃないのかなというふうに私は思うわけです。
 そういった観点から、今私が申し上げた美術館であるとか博物館、こういう文化財を収集したり修復をしたり保存をしていくというようなこういった業務を考えた場合に公務員化が適切ではないのかなと私は考えるところですが、文科省はどうでしょうか。

加茂川・文化庁次長
 お答えをいたします。
 文化財の保存、修復、継承に関する調査研究につきましては、委員御指摘のように、継続的な若しくは安定的な取組をする必要がございまして、そういった配慮も私どもこれまでもしてまいりましたし、今回の検討に当たっても、その観点から再度検討したわけでございます。
 その際に、本当に公務員身分がなければ具体的な支障が生じるのか否か、先ほど副大臣の答弁にもありましたが、こういった観点からも検討いたしましたが、非公務員とした場合にも今申しました調査研究の継続性、安定性の確保については問題ないものと、特段の問題はないものと、関係者の意見も踏まえた上で判断をしたわけでございます。

水岡 俊一・議員
 それではお聞きしますが、非公務員化をしたらどういうメリットがこの博物館そして美術館にはあるんでしょうか。

小坂・文部科学大臣
 非公務員化することによるメリットというのは、まあすべての事柄、メリットがデメリットになる場合もありますけれども、私が考えるメリットというのは、大学や民間企業との人材交流、人事交流がやりやすい。やはり公務員ですと人事院の承認を得たり、規定に縛られますけれども、独法化することによるメリットというのはそこにありますし、また、非公務員化することにより更にそれが進められるということになります。また、優秀な外国人研究者の招聘事業と、こういったものもやりやすくなる。それから、柔軟かつ弾力的な雇用形態、いろんな雇用形態が取りやすいし、また給与体系も、同時にまた勤務時間の体系も、シフトの組み方もやりやすくなる。
 だから、公務員に課せられたメリットの部分とデメリットの部分が常に非公務員化においてもあるわけですから、その中で、公務員化、公務員であった方がいいという部分については、先ほどの議論もありましたけれども、みなし公務員制度とか、そういった形の中から、公益性、公共性を担保するような部分についてはそういったみなし規定を設ける等、これで担保していくと、こういうことが必要なんだと思っております。

 運営交付金の見直し作業

水岡 俊一・議員
 大臣にお答えをいただきましたので、ちょっとお伺いをしたいんでありますが、その業務に対していろいろと公務員化をする方がいいのか非公務員化で対応するのがいいのかということを考える、そういう基本が私は必要じゃないかなというふうに思っているんですが、すべてを勘案した結果、結果的にすべてを非公務員化にするんだということになったと言われたらそれまでではあります。
 しかし、それは身分の問題だけじゃなくて、運営交付金の問題も少し私は同じことが言えるんではないかというふうに思っております。だから、効率性を追求するということであれば、業務内容ごとに適正な評価を行って、そして交付金の額を決めていくということが私は必要だと思うんですが、今は、独立行政法人の持つ効率化係数ですか、そういった単純な係数をもって効率化を求める手法というのは、私は妥当ではないというふうに思っております。業務内容を十分に吟味して、増やす必要があるのか、あるいはほかの方に特化をしていくことがいいのか、そういったふうに私は改めるべきだというふうに思いますが、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

小坂・文部科学大臣
 言っていることはよく理解できるんですよ。文化と効率化というのは、これはやはり基本的には同じ方向でないはずなんです。文化というのは長い時間の経過の中で築かれるものでありますし、また人類の営みの結果ですから、その資産ですから、これは大切にしなきゃいかぬと思います。
 ですから、そういう文化というものとそれに効率化というものを重ねることがやはり基本的には、今までの概念としては必ずしも相入れるものではないけれども、今の時代にやはりどうしても、国の財政状況とか、あるいは世間の一つの時代の流れとか、それから博物館や美術館に対する利用者の意向とか、いろんなものを勘案した中で、それじゃどうやったら効率化、経費の上での効率化とか、そういった今日的要請と、それから本来の文化財の持つ性格というものを両方とも立てながら博物館や美術館を維持していくかと。維持しなければ、これは見ていただけない。維持していくために、その持続性を確保するにはやはり財政的基盤というものも必要だと。そこの中からのこれ選択肢だと思うんですよ。
 ですから、委員のおっしゃっていることはよく分かりますので、私どももそういう点には十分配慮してこれからのそういった業務の見直し等には当たらなきゃいかぬと思っておりますが、一律に単に効率化係数を掛けてやるということが、これを駄目だと言ってしまいますと、それを否定してしまいますと、効率化そのものが何の指標もなしにやるということになりかねない。ですから、一つの目標を掲げて、その効率化という一つの大きな前提をつくる中で最大限努力していく。ですから、それは時間的なもので猶予を持っていくのか、いろんな形でこれはまずやってみるということが大切でございますので、やってみた上で見直しというのは当然あるんだろうと思っております。
 ただ、原則は、やはり原則を守るという努力をしていかないと、これはすべての見直し作業は進みませんので、私はそういう気持ちの中で見直しをして、そして実施をして、それでもどうしてもやはり利用者の観点、いろんなものからもう一回見直さないかぬ、その見直すというのは逆の見直しですね、そういうような必要があれば、やはり大臣の責任においてそういうものにも交渉を、必要な場合には交渉していくということがあると思いますが、まずは規定、決められたことをしっかり実施して、そしてそれに努力をしていくということが今我々に求められていることだと認識をいたしております。

水岡 俊一・議員
 ありがとうございました。
 私としては、文科省がそれぞれの法人について様ざまな角度から検討をいただいて、それぞれの運営交付金等を厳しく精査をしながら、主張すべきは主張すると、要求すべきは要求するということでこれからの運営に当たっていただきたいと、こういうふうに思っているところでありますが。
 そこで、重ねて私が心配しているのは、運営交付金を削減するという方向がこれはどうしてもあるというふうに思いますが、そんな中で、各法人がどういうふうにこの削減に対応するかというふうに考えてみると、その運営交付金の多く、まあ7割とか8割とかが人件費に充てられているという実態の中であるとすると、各法人は経営努力でこれをどうにかして乗り切らなきゃいけない。こういうことになると、これは人件費の問題で非常に行き詰まってしまうんではないかというふうに思うわけですね。
 そういった意味からすると、文科省は、これから各独立行政法人に対する将来展望としては、この運営交付金削減の大きな流れの中でどういうふうにお考えをお持ちであるのか、最後にお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

小坂・文部科学大臣
 今申し上げたことと重なる部分もあるんですが、模範解答からいきますと、独立行政法人は国の事務事業を効率的、効果的に実施するために創設されたものでございますから、国民に対するサービスを効率的に行いつつ、その質の向上を目指すと、これが一つの基本でございます。
 これまで各法人において運営交付金や人件費の抑制を行いつつ、それでも研究費や人員の弾力的な配分や配置等による研究業績の向上や活性化というのは目指して努力をしているわけであります。また、美術館、博物館等の入場料を徴収する法人における自己収入の拡大、そしてサービスの向上といったことも努力をしていくなど、こういった取組を通じての効率化と質の向上について一定の成果は上げられてきていると考えております。
 一方で、平成18年度予算におきましては、例えば国立新美術館の設置に伴う国立美術館の運営交付金にその必要経費を措置するというようなことなど、法人運営に支障がないようにめり張りを付けると。要するに、今委員が御指摘をされたとおりのめり張りを付けた対応を行ってきたところでございまして、文部科学省としては、独立行政法人制度の趣旨を踏まえながら、今後とも業務の効率化、合理化を図りつつ、各法人がその目的に応じた質の高いサービスが提供されるように努めてまいりたいと、このように考えております。


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