「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律案」
匿名携帯電話の流通を阻止し「振り込め詐欺」犯罪の防止へ
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参議院議員 水岡 俊一
水岡 俊一・参議院議員
提案者にお聞きをしたいと思います。
本法律案が成立をすることによりどれぐらい犯罪抑止効果が期待されるとお考えになったのかお聞ききしたいと思います。また、日夜、犯罪防止、犯人の捜査等に御尽力をいただいている警察庁としてはどのような見解をお持ちか、重ねてお伺いをします。
中村 哲治・衆議院議員(発議者)
この法律案が成立することにより、契約締結時に加えて、譲渡時の本人確認が義務付けられることになります。そのことにより契約者の把握が徹底されます。だれが使っているか分からない匿名の携帯電話が流通しにくくなると考えております。
また、この法律案では、携帯電話事業者に無断で業として有償で携帯電話を譲渡し、譲り受ける行為又は身元を確認しないで業として有償で貸与し、貸与を受ける行為を処罰の対象としております。さらに、こちらの方が実態的には重要になってくるのですが、今申し上げましたこれらの譲渡行為や貸与行為を勧誘、誘引する行為を処罰の対象としております。
スポーツ新聞などで、手続不要とか身分証明書不要とかいう形で譲渡やレンタルをするという、そういった広告が出ておるケースが多いと聞いております。そのようなケースはすべて今回の法律ができれば処罰の対象となります。だから、まず広告自体が少なくなるだろうということになります。また、このような勧誘、誘引行為を捜査の突破口として振り込め詐欺事件等の検挙に結び付けることが期待できると考えております。
さらに、今回の法律案では、制度上、警察が犯罪に利用されていると認めるに足りる相当の理由がある携帯電話については、事業者に対して契約者の確認を求めることができるようになっております。これを受けて、携帯電話事業者が第9条の契約者確認を行い、これに応じない場合には第11条の役務提供の拒否を行うという手続を定めることになっております。そういった手続を通じて相当の一般予防効果が認められるものと考えております。
携帯電話使用の犯罪
岡田 薫・警察庁刑事局長
私どもとしては、悪いことをしていく者にとって都合のいい非常に大きなツール、道具と見ていたわけでありますので、それに対するかなりの規制がなされるようになった。そのことによって、犯罪者が匿名性の高い携帯電話を入手することがかなり困難になる。そうすることによって、いろいろなほかの施策等も相まって、数字的なことはなかなか申し上げにくいのでございますけれども、振り込め詐欺のような犯罪であれば相当程度のものは抑止できると思っております。
水岡 俊一・議員
こういった振り込め詐欺が近年横行している。この手の犯罪を防止あるいは捜査を進めていく上でやはり難しい点というのは一体どこにあったのか、改めてお伺いをしたいと思います。
岡田・警察庁刑事局長
まずこの種の事案といいますのは、電話と預貯金口座があれば簡単に敢行できるということでありますし、大変模倣性の強い犯罪でございます。その背景にございますのは、例えば被害者に面接することなく広域的に行われる、面接しないということはやはり犯罪者にとってはかなり、悪いことをする人間にとっては抵抗感を薄める要因になっているだろうと思います。それから、かなり広い範囲で全国どこへでも電話ですから通じることがあるといったこと。現金を振り込ませるために犯人が指定する口座は大体転売されたり、他人名義、架空名義のものであるということ。電話がその使用者を把握できにくいプリペイド式のもの、そういったものが非常に多かった。
そういったことがありまして、犯行は大変匿名性が高い、広域的で、共犯者同士も全く違った土地からもいろんなことができるといったことがありまして、なかなか犯人検挙が難しいところがあったと思います。そういった要因があって、遺憾ながらこの種の犯罪の被害が拡大してきたのではないかと思っております。
水岡 俊一・議員
そのような各点においては、今回の法律案が成立をすればかなりの効果が期待されると私も思うところであります。
法律案では、第12条、15条に示されているところにより、携帯音声事業者のために役務提供契約を媒介、取次ぎ、代理をする者に対して、総務大臣が報告、立入調査、是正命令をすることができる権限を与えられているわけでございます。法を円滑に運用していくために、媒介業者などに対して法により委任された省令に関する周知徹底をすることも重要なポイントになると考えますが、そういう媒介業者などに対しての周知徹底のことについて総務省としてはどのようにお考えになっているのか。
有冨 寛一郎・総務省総合通信基盤局長
今のプリペイド携帯電話の営業は、いわゆる媒介業者を介して行うというのが通例といいますか、非常に比率が高いというようなことでございます。この媒介業者に対しまして、今回の法案にある、例えば、契約締結時の本人確認義務等に対する規定とか、あるいは総務大臣による是正命令等をきちんと守ってもらうということは大変重要であるというふうに認識しております。そのために、媒介業者等に対しましてこの法案の趣旨、あるいは、省令の細則についての周知というものが極めて重要だと思っております。
その媒介業者等に対しましてどうするかということでございますが、基本的には、媒介業者等は携帯電話事業者との間に直接あるいは間接に業務委託契約を結んでおります。したがって、基本的には携帯電話事業者を通じて、この法案あるいは省令等につきまして十分な周知を図っていくということが基本だろうと思います。
私どもとしましては、既に携帯電話事業者に対しましては、本法案の内容については説明をしております。これから総務省令の内容を固めるわけでございますが、これが固まり次第、具体的に媒介事業者等に対して効果的な周知方法はいかなるものであるかということにつきましては携帯電話事業者とともにいろいろと検討して、本法案の施行前に必要かつ十分な周知が行われるように努めてまいりたいと思っております。
水岡 俊一・議員
全国各地、津々浦々といいましょうか、そういう媒介業者がたくさんございまして、そこにいかに徹底をするかがこの法律がうまく機能するかどうかが懸かっていると私は思っています。そういった意味で、総務省の方の省令については詳しく決めていただいて、実効あるものにしていただきたいと思うところであります。
携帯電話を使った犯罪は様々なケースがあるようですが、私が聞くところによると、レンタル業者などから手に入れた携帯電話を悪用し、麻薬あるいは覚せい剤などの売買を目的として顧客データの入った携帯を高値で売買するといったことがあるようでございます。一部には、1台の携帯電話が400万円であるとか500万円であるとかの信じられないような高値で取引されるやに聞いております。当然ながら、警察庁はこのような事実を把握されているとは思いますが、このような悪質な犯罪に結び付く可能性の高い携帯電話利用について、この法律によってかなり影響を与えることができるのではないかと私は期待するところでありますが、警察庁としてはどのようにとらえておられるでしょうか。
取り締まり強化と被害拡大防止
岡田・警察庁刑事局長
お尋ねの件は、恐らくいわゆる客付きの携帯電話と言われるようなものだろうと思います。これにつきましては、事件検挙によりまして携帯電話端末を押収しても同じ番号が別の端末で使われているようなことから、薬物の取引者にとってはかなり便利なものとして私どもも問題視してきたものでございます。
今度の法律案によりましては、不正な譲渡、貸与等の処罰ですとか、あるいは事業者によります契約者確認が規定されておりますので、そうしたことによって効果的な取締りとかあるいは被害拡大防止が可能になっていくのだろうというふうに思っております。
水岡 俊一・議員
こういった実効的な手段が決められるわけですから、あとは捜査ですね、早急な捜査といいますか、時間を置かないで厳しい捜査をしていただく中で犯罪を少しでも少なくしていただきたいとお願いをしたいところであります。
振り込め詐欺等の犯罪にはレンタルをされている電話、携帯電話がかなり使われていると聞いております。レンタル業に対しては所管が経済産業省だと私は認識をしているところでありますが、経済産業省としては、このレンタル業に対して、このような犯罪が行われているかもしれないということにかかわってどのような規制をされてきているのか、どのような対処をされているのか、あればお聞きをしたいと思います。
桜井 俊・経済産業大臣官房審議官
現在、携帯電話のレンタル事業に対する規制はございません。
水岡 俊一・議員
今回の法律の趣旨を生かしていくためにも、レンタル業者に対する規制がある程度私は必要ではないかなと考えているところであります。
この法律案において第10条に匿名貸与営業の禁止として規定されている部分を読みますと、レンタル業者には氏名及び居所又は電話番号その他の連絡先の確認をさせることとしており、全くこれは当然必要なことだと思っているところであります。
そこで、私、疑問に思いますのは、第4条において、携帯音声通信事業者は本人確認記録を役務提供契約が終了してから3年間保存しなければならないと規定されていることに比べて、レンタル業者には本人確認記録の保存義務が規定をされていないという点であります。それは訳があるのだというふうに理解をするところですが、この際お聞かせをいただきたいと思います。
中村・衆議院議員(発議者)
この法律案は、身元が明らかでない借主に携帯電話のレンタルを行うことによって、だれが使っているか分からないような匿名の携帯電話を生み出すような行為を規制することとしております。そこで、レンタル業者に対し、借主の連絡先等を把握させ、匿名の携帯電話が流通し、振り込め詐欺等の犯罪に利用されることを防止することとしました。
そもそもだれが扱っているか分からない匿名の携帯電話を排除するには、借主がどこのだれかであるかも確認せず、初めから携帯電話の返却を受けるつもりもないような、実質的には譲渡とみなされ得るレンタル行為を規制することで足ります。また、レンタル行為は反復されるため、確認した事項を記録し、保存させることは過大な負担となると考えられるので、義務は課さないことにしました。
つまり、携帯電話のレンタルの場合は、普通は返してもらうことを前提としてやっているわけです。だから、保証金を取るケースもあるでしょうし、本人確認に関してはきちっと普通は行われるというケースがほとんどだと思います。だから、貸している間はその記録がきちんと残っているということが当然であるということは、レンタル業の当然の形態だと思います。そういった行為がなされてないということになると、これは無断譲渡に当たるなどのほかのところの規制で引っ掛かってくると考えておりまして、今の段階で、レンタル業者にレンタル契約が終わって3年間の保存義務とか、をやることまでは犯罪対策を考えても必要ないのではないかと、そういうふうに考えております。
プリペイド携帯等への転送
水岡 俊一・議員
私としては、悪質な犯罪が後を絶たないという現状の中においていろいろと心配になることがあるのですね。
例えば、レンタル業者の場合、かなりの額をチャージしたプリペイド携帯電話を貸す折に前金である程度お金を取っています。そういったことで、仮に返却されなくても実害がないことから目をつぶってしまうのではないかという心配があります。要するに、返ってこないということを意図しているということではないんだけれども、結果的に返ってこなかったというようなことで業者が責任逃れをするんではないかというような心配も実はしてしまいます。
一方、携帯電話を借りて短期間に意図として悪用し、返却するというケースがあると思うんです。でも、レンタル業者は返却をした後、本人確認記録は保存をしていないということから、後で捜査が入って、この携帯電話をだれが使っていたのか、だれに貸したのかというようなことを調べようと思っても、もう情報がないというようなことになってしまう可能性もあるわけです。
そういったような、まあ規則でありますか、法律の谷間みたいなものがもし存在するとすれば、そういったことを一般の国民の皆さんはまた心配をされるというふうに思うのです。ですから、この法律が成立をした後、運用として、あるいは新たな対策として、どんなことを注視して考えていかなきゃいけないのか、総務省として見解があればお聞きをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
有冨・総務省総合通信基盤局長
これはチャージをしたプリペイド式の携帯電話を前金払いで渡す行為、これがどういう行為であるかについては多分いろいろな態様があるんだろうと思います。
ですから、個々の行為に基づいて対応せざるを得ないとは思いますけれども、この仕組みからいいますと、そういった前金払いで渡す行為が実質的に携帯電話の譲渡というように判断される場合、これが多分多いんではないかと思います。この場合でありますと、この本法案では、携帯電話事業者に無断で業として有償で携帯電話を譲渡する行為、この範囲になれば処罰の対象というふうになります。また、仮に貸与という形ではないかというふうに判断された場合においては、これは氏名及び連絡先を確認しないで業として有償で貸与する行為となりますので、処罰の対象となるというふうに考えます。
したがって、譲渡になるかあるいは貸与になるかというような仕組みの中で、個々の事例を踏まえて対応しなきゃならぬと思いますが、カバーできるんではないかというふうに受け止めておりまして、まずはこの法案の適切な運用に注意を起こしていきたいと考えております。
水岡 俊一・議員
これまで様々な勧誘の手口として、インターネットであったり、チラシであったり、そういったところに連絡先を、番号を提示する中で、携帯電話がほとんどでありました。しかし、携帯電話は怪しいということで敬遠されるということから、一部固定の電話の番号が記載をされてくるといったようなケースが登場してきたんではないかと思っています。実際にはその固定電話は転送電話になっていて、その固定電話から携帯電話の方に転送されているといったことから、その固定電話の設置場所に行ってもだれもいない、あるいは別の場所で犯行を重ねる人間が複数いるといったようなケースも考えられるわけです。そういったことについて、捜査をする上で現状としては障害になっていないんでしょうか。
岡田・警察庁刑事局長
はがきなどを使った架空請求などでは、請求の信用度を増すためにといいますか、連絡先が固定電話の番号となっているものが多く見受けられるようであります。そして、こうした電話につきましては、プリペイド式その他の匿名の携帯電話に転送されているというのがほとんどというふうに聞いております。
ただ、固定電話であります場合には、事業者に確認をいたしますとその転送先の電話番号も把握することができますので、そういう意味では、全くの架空で何も分からない携帯プリペイド等よりは分かりやすい要素もあるのではないかと思います。
携帯電話の進化と対策
水岡 俊一・議員
心配は次々に起こってくるわけでありまして、インターネットの世界でも非常にウイルスの温床になっているのは海外の様々なところにあるコンピューターであります。つまりは、電話の転送のような形で次々に国を渡って通信が行われるといったようなことが実際には考えられます。ですから、こういった犯罪が海外の通信施設あるいは通信機材を使って行われるといったことも今後起きるんではないかというふうに思いますので、その辺りの対策を是非ともお願いをしたいと、思うところであります。
そういったことからいえば、携帯電話は非常に日々進化をしているところであります。まあ、その変化は非常に目覚ましくて、私などは機械物はいささか自信のあった方でありますが、今の携帯電話の機能というのは非常に多くて、私たちにはもう手に負えないような状態、持っている機能のすべてを知り得るところには至らないというような実態があるわけです。
そういった中で、次世代携帯と言われる新しい携帯が次々に登場している実態があるわけであります。今この法律によってかなりの部分が規制をされ、犯罪の防止が期待をされるという中で、新たな次世代携帯による犯罪行為が起きないのかなという心配事があるわけであります。総務省としてはどういうふうにお考えになっているのか。加えて、警察庁としてもその辺りはどういうふうにお考えになっているのか。
有冨・総務省総合通信基盤局長
携帯電話は非常に技術革新が激しいということでございまして、高度な利用ができるという便利さもありますけれども、逆にそれが裏目に出まして犯罪にも利用される、悪用されることも十分想定をされるわけでございます。
したがって、予想もできない新たな犯行に使われるということだって十分あるというふうに認識をしております。私どもとしましては、事業者と定期的に意見交換をするための連絡会という形で公式的なものを持っておりますので、そこで実態がどうなっておるか、新しい動きはどうなっておるかということについて情報を共有しながら実際の実態把握をするように努めたいと思っております。
その中で、今回、施行後1年以内に見直しということもございますので、もしもそういった実態把握をし、何がしかの対応が要るというようなことになりますと、法律の改正になるか、あるいは実態的に業界の中で整理をするか、もろもろあると思いますけれども、技術革新等に対応した新たなマイナスの側面についての適切な対応については検討していきたいと思っております。
岡田・警察庁刑事局長
私どもも当然、十分に意識、認識をして、そういうことに対する警戒心も持ちながら、現実がどのように動いているのか、どうしているのかというのを関係機関とも連携した上で見てもおきますし、いわゆる犯罪という形態であれば、被害者からの訴えなどに対しても迅速な反応をしていかなきゃならないんだろうと思います。
そういうことを前提といたしまして、新しい形態、新しい手口の犯罪等が出てまいりましたら、関係省庁、事業者等の連携、更に効果的な対策を講じていくというふうに考えてまいりたいと思います。
水岡 俊一・議員
携帯電話が非常に普及をしたこの時代に合わせまして、犯罪の手口もそれに伴って巧妙になってきているということは、もう皆さん疑う余地のないところだと思っております。
この法案が成立をすることによってかなりの犯罪を防止することができると、私たちも非常に大きな期待を持っているところであります。しかし、過去の犯罪がそうであるように、法律ができれば、その法律のすき間をねらって新しい手口が登場してくるといったことは、重ねて申し上げるまでもないところであります。十分な対抗手段を持ち得ない一人一人の国民にとってみれば、非常に不安な状態がまだ続くというふうに思いますので、関係官庁の御努力もいただきたいし、全国にこういったことも知らしめていただく中で犯罪を少なくする努力を国民としてやっていくべきだというふうに思います。そういったことを最後にお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
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