| 2005年3月22日 第162国会 文教科学委員会 |
「国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案」
進む学力のふたこぶラクダ化、下位のこぶが増加
親の収入の格差が子どもの学習の格差に影響
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参議院議員 水岡 俊一
水岡 俊一・参議院議員
最初に、文科大臣は、子供についてどのようにお感じになっているのか。現代の子供がどのような変化をしているのかということについてお考えを述べていただきたいと思います。
中山 成彬・文部科学大臣
我々も世代が違いますからそれぞれの時代があったわけでございます。戦前、戦後、そして日本の高度成長のころと、その後の景気低迷のころ。
子供は、本当にその時代の産物だなと、時代を反映しているなということを思うわけでございます。私たちが子供たちのときにそうだったから、こうでないか、こうであるべきだとか、決め付けない方がいいなと。子供たちの実態をよく見て、それに合わせたような教育を施さなければならないと、自省しながら、子供の立場に立っていつもは考えているつもりでございます。
今の子供たちは、以前と違って夢とか目標というのを持ちにくい状況の中にありまして、しかも非常に規範意識といいますか、あるいは道徳心、自立心が低下しているなと思っています。
これは子供たちだけではなくて、今の大人の社会がそうなっているから子供にも反映しているんだろうと、思うわけでございます。また、これは今に始まったことではございませんが、いじめとか不登校、中途退学、学級崩壊などの深刻な問題があります。あるいはまた、青少年の凶悪犯罪も増加しているということでございます。そして、家庭や地域社会の教育力というのが低下しておるなということも思うわけでございます。さらに、国際的な学力調査の結果でも分かりましたが、何よりも学ぶ意欲が低下しているということが大きな課題だなと、思うわけでございます。
教育行政を含む教育関係者は、このような現状を真摯に受け止めて、その解決に一層の努力を重ねる必要があると、認識しておるところでございます。
子どもたちの変化
水岡 俊一・議員
子供たちは刻々と変化をしているわけですが、私は1980年に教職に就きました。その時代を思い返しますと、やはりそれ以前は学力とか受験ということが非常に中心課題であって、その反面、落ちこぼれというものが世のキーワードになるような時代でありました。そういった中から、1980年は校内暴力が全国を吹き荒れる時代になりまして、その後は管理教育がまた話題になるという、時代に変わってきています。
今、大臣が御答弁になられた内容というのは、実際どの辺りからどんなふうに変わってきたのかということをお考えになっているのか。
中山・文科大臣
私どもが小学校に入りました戦後はまだまだ非常に貧しい時代でございましたが、小学校も自由な雰囲気にあふれていた、貧しいなりに夢があったと、思っているわけでございます。その後、日本が高度成長する中で、日本経済全体も活気がありましたから子供たちも夢とか希望というようなものが持ちやすかったんだろうなと、思うわけでございます。
正に1980年ごろから確かに日本が、ナンバーワンと言われた時代から少しずつおかしくなり始めたわけでございます。夢や目標を持ちにくい状況になったし、いじめとか不登校、青少年の犯罪も増えてきたということだろうと思います。それからしばらくしてからでしょうか、地域の教育力というのが衰えてきたなというふうなことも考えます。また学ぶ意欲というのが落ちてきたというのは、ここ10何年ぐらいかなというふうに思うわけでございます。これは日本経済が低迷しているときと歩調を合わせてそういったことになってきているのかなと思います。
一方では、その間に情報化社会といいますか、テレビだとかゲームだとかパソコンだとか、いろいろ子供向けに非常に面白いそういったものも出てまいりましたものですから、どうしても子供たちがそっちの方に関心が行ってしまって勉強時間が非常に少なくなっている。世界の先進国の中では、日本の子供たちが一番勉強をする時間が少ない。逆に、テレビとかゲームに時間をつぶす、そういう子供たちが増えているということで、時代とともに子供をめぐる環境は変わってまいりましたが、今日ほど子供たちが素直に育ちにくいといいますか、そういう時代はなかったんじゃないかな、今の子供たちがそういう意味で一番大変だなと、これは私ども大人にも責任があるんじゃないかと、このように考えているところでございます。
水岡 俊一・議員
今、ここ10年ぐらいが随分変わってきたんではないかというふうにお感じになっているというお話ありましたが、確かにそうだというふうに思います。2000年を迎えてから学校は特に大きく変わってきたといいますか、子供が変わってきたと言えるんではないかと思います。だから、その新しい子供が一体何なのか、どんな特徴を持っていて、どんな思いを持っているのかということをしっかりととらえなければ、それの対策として打ち出すものは当たらないということになります。
そういった意味でいえば、子供の変化とともに文科省としてどのような教育施策をこの間行おうとしてきたのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
田中 壮一郎・文部科学省生涯学習政策局長
文部科学省が取り組んでまいりました教育施策についてのお尋ねでございますけれども、子供の変化や子供を取り巻きます社会の変化に対応するために1984年に臨時教育審議会が設けられたところでございます。この審議会からは個性重視の原則、それから生涯学習体系への移行、国際化、情報化等変化への対応という3つの大きな基本的な考え方が示されたところでございます。この方向に沿いまして、またここで示されました方策に沿いまして文部科学省におきましては教育改革を推進してきておるところでございます。
具体的には、学校週5日制の段階的な施行、あるいは学習指導要領の改訂、6年制中等教育学校の制度化、外国語教育の見直しやIT化の推進、こういうものに取り組んできておるところでございます。また2000年の教育改革国民会議から提言がなされたわけでございますけれども、これらも踏まえまして、道徳教育の充実あるいは奉仕体験活動の促進、家庭教育への支援といったようなことにも取り組んでいるところでございます。
水岡 俊一・議員
新しい子供にどのような施策が必要なのかということについては、これはもう様々な方が様々な議論をなさっていると思いますが、そんな中で文科省はそのような施策を行ってきた、そしてそれを現場からどのようなフィードバックを受け取って、そして新たな現在行おうとしている施策が出てきているのか、その点についてはどうですか。
田中・文科省生涯学習政策局長
2000年の教育改革国民会議の提言等を踏まえまして、文部科学省におきましては具体的な、例えば21世紀教育新生プランというようなものを作りまして、これを推進したわけでございます。その際には全国各地で教育改革フォーラムを実施させていただき、私どもといたしましてはこういう教育改革を進める必要があると考えており、是非こういうことに御理解くださいということを御説明しながら、皆様方からまた、現在の教育改革に対してどういうところが問題なのか、どういう観点に注意すればいいのか、あるいは文部科学省としてこういう施策をすればいいんではないかというような御提言も踏まえながら、これまでも進めてきておるところでございます。
水岡 俊一・議員
そういった施策の中で、詰め込み教育であるとか、時間をたくさん、授業数を時間数行うとか土曜日の授業を復活させるであるとか、そういったようなメッセージはフィードバックからはなかったように私も思いますし、皆さん方もそうお感じになっているんではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
田中・文科省生涯学習政策局長
今申し上げました教育改革フォーラムと同様に、私どもの施策に関しましては、文部科学省のホームページ等も開きまして、そこでその施策をお知らせするとともに、そこに対しまして国民各層からの御意見なんかもメールでいただくようなことにもなっておるところでございます。新しい学習指導要領を実施する段階に当たりまして、一部には、新しい学習指導要領あるいは学校完全5日制を実施することによって、子供たちの土曜、日曜の活動の場所をきちんと本当に確保できるんだろうか、学力が低下するようにならないだろうか、あるいは学習塾に一杯通うことにならないだろうかというような御心配の御意見も寄せられておったことは確かでございます。
学力のふたこぶラクダ化
水岡 俊一・議員
とにかく新しい子供たちに今変わっているわけです。その新しい子供たちにどのような教育が必要なのかということについては、本当に力を入れて検討をし、そして正しいものをつかんでほしいというふうに思います。その中において、昔あった教育が適当ではないかというような思いで、復古的な形で文部行政が変わっていく、昔に戻っていくということがあってはもうこれは絶対ならないというふうに思うんです。つまり、昔のスタイルに戻るとすれば、それは新しい子供をとらえていないということにほかならないからです。ですから、そういった意味では、新しい子供たちをどうとらえるのか、その面を文科省としてもっと的確なメッセージを出してほしいと、私はこのように思うわけです。
今、学力が低下をしているということを多くの方々がおっしゃっている。どのような学力が落ちているかという問題については、いろいろな御意見があって定まっているところではないわけです。その中で全体的な学力として考えるならば、これは子供たち全員が、それぞれが学力を落としていっているという状態ではないということは、先ほどの銭谷さんのお話にもあったところです。そして、その学力というのは、上位の者と下位の者とのふたこぶラクダがあるのだということもお話しになっておられますし、今まで文科省は御発言になっている。
そんな中で今問題となっているのは、上位のこぶと下位のこぶが2つあって、この下位のこぶが大きくなっている、あるいはもっと低位に動いているというような状態があるということを今つかんでおられますが、これらについてこれから求められる課題とは何でしょうか。
銭谷 眞美・文部科学省初等中等局長
国際的な学力調査によれば、これまで中位層が多かったところが下位層にシフトしているという傾向がございます。
それから、我が国で実施をしております教育課程の実施状況調査、これは文部科学省実施のものでございますが、これでも、特定の分野を見ますと、小学校、中学校では、例えば数学とか英語はいわゆる正規分布に近い形になっておるのでございますが、本当に40年ぶりに実施をいたしました高等学校では、一部の科目におきまして上位層と下位層の得点のばらつきが非常に大きい状況が見られます。
学ぶ意欲が本当にない子供、こういう子供が出てきている。あるいは、以前の子供と比べると、学ぶ意欲のある子とない子、勉強する子と全くしない子の差が大きくなってきている。あるいは、興味のある課題と余り自分は興味がないというものについては取り組む姿勢が大きく違ってきているといったようなことが、スクールミーティングなどを通じましても先生方から出されているところでございます。
現在の教育が子供たちに学ぶ意欲を持たせ、学習習慣、生活習慣をきちんと身に付けさせるものとなっているかどうか、よく検討すべき課題があると考えております。私どもとしては、これまでも確かな学力の向上を図るために、教職員定数改善計画の着実な実施によりまして、少人数指導や習熟度別指導などきめ細かな指導の充実には努めているところでございます。また個に応じた指導の充実や学習意欲の向上のための総合的な施策、いわゆる学力向上アクションプランなども推進をしてきているところでございます。引き続き、指導要領の改訂の検討と併せまして、これらの各種施策を講じていくことによりまして本当にすべての子供たちに確かな学力がしっかり身に付くように努めてまいりたいと考えているところでございます。
水岡 俊一・議員
要するにすべての子供たちに確かな学力を、それは有り難いんですよ。そのとおりやらなきゃいけないのですよ。だけど、今問題になっているのは、下位のこぶが大きくなっている、正規分布ではなくて、ふたこぶラクダになって下位が大きくなっている、これを何とかせないかぬという課題が今あるということはお感じになっているとおっしゃったんだから、これをどういうふうにこれから対策を練っていくのか、その点についてはお考えないですか。
銭谷・文科省初等中等局長 お尋ねの問題につきましては、いろいろなやり方が私はあると思っております。
例えば、今、各学校で見られる動きが、始業前の15分とか20分を使ったいわゆるモジュールの時間での計算練習といったような形で基礎的な学力を、基礎基本の知識をきっちり子供たちに身に付けさせるとか、放課後の補充指導をやるとか、いろいろな指導上の工夫ということをやっているわけでございます。
一方、現在学習指導要領におきましては、各学校における裁量の幅を大きくいたしまして、また各学年間の内容についてまとめて示すといったような工夫をしながら、それぞれの学校において子供の実態に合った指導ができるような、指導要領を心掛けているわけでございます。
こういった姿勢は今後とも私ども続けていきたいと思っております。
進む教育格差
水岡 俊一・議員
モジュールのお話が今出ましたが、そういった工夫というのは、私は学校長の裁量の範囲、各学校の具体的な取組のその範囲だというふうに思います。
そういった意味では、文科省としてはもっと大きな視点に立って考えていくことが課題としてあると思うので、これは引き続き検討をしていっていただきたいと、思います。
格差問題でいえば、もう1つ申し上げておかなければいけません。
要するに、年収が400万円に満たない低所得者の家庭と、それから1000万円を超える裕福な家庭とでは、子供たちに掛けるお金が違うといった親の収入の格差が子供の学習の格差に表われてきているんではないかということは、昔から私たち懸念をしておりました。そして、今度のPISAでもそうですし、近年のそういった調査の中でやはり指摘をされているのは、下位の方のグループにそういった低所得者の子供たちが存在する確率が高くなってきているということが指摘をされているわけです。そういった意味では、義務教育費国庫負担制度という問題に絡めて、文科省の課題としてとらえるべきじゃないかと思いますが、これについては大臣、いかがですか。
中山・文科大臣
この国際的な学力調査の結果を見ますと、日本は諸外国に比べて貧富の差といいますか、親の経済的、いわゆる社会的な状況によって子供たちの学力に差があるとは、ほかの国に比べて見られないという結果が出ているわけでございます。ふたこぶラクダになっていると今御指摘ありましたが、下位層の方に低所得の方が多いのかどうか、この辺はもっとよく調べなければならないと思っているわけでございます。
私は、塾に行ける子と行けない子、塾も一杯行っている子もおりますし、全く行ってない、あるいはちょっとしか行ってない子供もいるわけです。私はとにかく学校で基本的なことはきちっと勉強できるという形にしたいんですよ。
都会の小学校なんかに行きますと、これは先生方から聞いたんですけど、子供は学校に来て遊びたがっていると、休みたがっているというんです。学校から帰って塾に行って、塾漬けで、くたびれ果てていて遊ぶ暇もない。だから、学校に来たら遊びたい、休みたい。本末転倒といいますか、どっちが本来勉強するところなのかとつい言いたくなるようなところもあるわけです。そういう子供もおる一方で、まあいい加減と言っちゃ悪いんですけれども、学校をぱっと早く帰ったら何にもすることがなくて、塾にも行くわけではなくて、ゲームとかテレビばっかり見ている子供とはもう本当に差ができてくると思うんです。
ですから、私は何とか学校において少なくとも、詰め込みという言葉はいけないのかもしれませんが、やはり小中学校、自分たちのことを考えても、いろんなことを覚えられたし、もっと勉強すればよかったと思うんです。やっぱり鉄は熱いうちに打てという言葉もありますが、言葉は強いかもしれませんがたたき込むというぐらいのことで、学校において、少なくとも塾に行かなくても基礎基本だけは身に付くんだ、付けさせるんだというぐらいの迫力でもって私は小中学校教育に取り組むべきだと考えております。
フィンランドの教育
水岡 俊一・議員
大臣、やはり子供は、やっぱり子供らしくというふうに思います。子供たちが学校に来たときにはもっと余裕のある顔をして遊び回ったり校庭を駆けずり回ったり、そういった子供をやっぱり夢に描くということが私は多くの人たちの共通した思いだというふうに思うのです。そういう子供たちが育つような教育制度に変えていくのが文科省の仕事だと私は思うのです。だから、学校の時間割の問題だといったことではなくて、もっと大きな教育制度そのものをどう考えていくのか、大学という制度をどう考えていくのか、大学の入試制度をどのように変えていけばそのような子供が暮らせる小学校になるのか、そういったことを是非とも文科省として考えていただきたいと思うところであります。
PISAの連続総合1位になっているフィンランドにどうして学ばないのか、あるいはフィンランドに学ぶとしたらどのようなところを学びたいのか、端的にお答えをいただきたい。
中山・文科大臣
やっぱり学校は遊びに来るところじゃなくて勉強をしに来るところだということだけは忘れちゃいけないと私は思っています。そういう方向でやっていきたいと思っています。
フィンランドについて学んでいますよ。もう一杯、いろんな方が次々次々行きまして、もうフィンランドの担当者が大変みたいでございます。それぐらい日本はやっぱり学ぶことについては謙虚だなと思っておるわけでございます。私どもも、なぜフィンランドがこんなに成績がいいのか、もう十分分析しているところでございます。
しかし、それほど大きな国でもございませんし、日本ともちょっとは違うと思うんですが、良いところはどんどん取り入れたいと思っています。逆に、実はフィンランドの方は日本がいいと思っているんです。来週ぐらいでしたか、フィンランドの教育の関係の方々が私に会いたいといって来られるので、またそのときにもなぜそちらはそんなにいいんですかということも聞きたいなと思っております。
水岡 俊一・議員
私は具体的な話をちょっと聞きたいと思って再質問をしたのです。つまり、どんなところが学べるのか、どんなところを取り入れているのか、お答えください。
塩谷 立・文部科学副大臣
まずフィンランドがPISAの調査で好成績を上げた要因を考えてみますと、例えば、全国的な教育課程の基準を国が定めた上で市町村や学校が一定の裁量を有して特色ある教育課程の編成に取り組んでいるところであります。また、教育費の約5割を国が負担するなど、教育財政について国が役割を担うことになっております。すべての児童生徒に教育水準の確保と教育の機会均等を実現していることが挙げられます。教員がすべて修士課程修了が要件となっており、教員の社会的地位は高く、志望者が多く、教員の質が高いという評価があります。第3に、児童生徒に読書の習慣が身に付いていること、これも研究者等から指摘がされているところでございます。こういった点もしっかり我々としては勉強をしながら、今後の義務教育の在り方について教育改革に生かしてまいりたいと思っております。
水岡 俊一・議員
私がお聞きしたのは、フィンランドのどのような点に学ぼうとしているのかというお話をしているのです。
塩谷・文科副大臣
中教審でも議論をしておりますが、今フィンランドの良い点を少し我々も学んでいるところでございますので、そういったものを学びながら改革を進めてまいりたいということでございます。
水岡 俊一・議員
今度の中教審でどんなところを取り入れてほしいと思っておられるんですか。
銭谷・文科省初等中等教育局長
フィンランドの教育事情につきましては、調査団も出しまして、フィンランドの教育事情の状況をまずしっかり把握をした上で、我が国にとって参考になるべきところを今後検討をしていくということになるわけでございます。特にフィンランドの点につきましては、今後、中央教育審議会で教育内容の在り方を検討し、かつ教育方法の改善、あるいは義務教育制度の弾力化の検討をする場合に大いに参考にしていきたいというふうに思っているところでございます。
子どもたちの心のケア
水岡 俊一・議員
いや、大臣から学んだというお話があったので、もう少し具体的な話がぱしっと出てこないと、そういったあかしにはならないだろうというふうに思います。だから、フィンランドに学ぶという姿勢が本当ならば、しっかりと具現化をするようにお願いをしたいというふうに思います。
子供の変化の話を今日は最初からお話を申し上げましたが、そんな中で、子供たちには心のケアを必要とする子供たちが増えてきたということも皆さんお感じになっているとおりだと思います。実際には、先日の寝屋川の悲しい事件でもそうですし、長崎の事件でもそうです、さかのぼれば神戸の事件も学童でありました。そういった意味からすると、痛ましい事件、悲しい事件、むごい事件だけれども、その事件を起こしたのもやはり私たちの国の私たちの小中学校を卒業していった子供たちであるわけです。
そういう子供たちがなぜそのような心の苦しみを、心の病を持たざるを得なかったかというようなことも、忘れてはならない話だというふうに思います。そういった意味で、心のケアを必要とする子供が増えている、あるいはこういった現実に対して、文科省はどのようにお考えになっているのか。
中山・文科大臣
いわゆる心の悩みといいますか、うつ症を始めとして、心の悩みを抱えている子供たちは多いんではないかと思います。ただ、うつの判断というのは医学的な専門知識が必要なものですから、一体どれぐらいいるのかということについてはまだ把握することは困難でございますが、増加傾向にあるということについては非常に憂慮しているわけでございます。
やっぱりそういった子供たちを早期に発見して早期に治療する、児童、子供が発するサインというのを見逃してはいけないと考えているわけでございます。まずは教職員に研修をしまして、サインを見逃さないようにする基礎的、基本的な知識を身に付けるということ、あるいは心の専門家としてのスクールカウンセラーを配置するとか、早期発見のポイント等についての参考資料を作成する、さらに、養護教諭のカウンセリングに係る能力の向上等を図るための研修会を開催するとか、精神科医とか専門のお医者さんと連携しながら子供たちの心の健康診断とかあるいは健康教育を行うということを実施するなど、学校・地域保健連携推進事業を推進しているところでございます。
水岡 俊一・議員
スクールカウンセラーの配置が行われているというお話が今出ました。現在、全国で何人のスクールカウンセラーが配置をされており、どのような報告が上がって、どのような実態が報告をされ、どのような課題があると今つかんでおられるんでしょうか。
銭谷・文科省初等中等教育局長
スクールカウンセラーの配置状況でございますけれども、2003年度実績で6941校に対しまして4012人が配置をされております。スクールカウンセラーお1人当たり1.7校程度を担当していただいております。
スクールカウンセラーの方々は大きく3つほどのお仕事をしていただいているわけでございますけれども、1つは、配置された学校の児童生徒の学校生活における様々な悩み相談を通じまして子供たちにカウンセリングを行うということでございます。それから2つには、学級担任や生徒指導主事などが行う日常的な教育相談について専門的な見地から助言、援助を行うということでございます。3点目は、保護者の方への助言、援助ということが主な職務になってございます。
スクールカウンセラーの方は、臨床心理に関する心の専門家としましてこういった子供たちの悩みや不安を受け止めて相談に当たっているわけでございます。通常は学校にカウンセリング室を設け相談に当たっているわけでございますが、不登校の問題等について非常に効果が上がっているという成果を得ているところでございます。
水岡 俊一・議員
スクールカウンセラーの配置、今4012人とおっしゃいました。本当に少ないと思います。スクールカウンセラーとしてお仕事をしていただける資格を持っていらっしゃる方が地域にどれだけいらっしゃるかという問題点もある中で、必要というふうにお考えであれば、本当にそれを確保するために御努力をいただきたいし、地方自治体にもその旨をお伝えをいただきたいと思うわけです。
それにしても、スクールカウンセラーが配置をされている地域もあれば、されていない地域もある。されている学校もあれば、そうでない学校もある。そして、今学校の安全問題で非常に問題となっている学校の警備員。警備要員の配置がある学校もあれば、そうでない学校もある。本当に学校の中にこのような差が出てきていいのかという問題がやっぱり最後に出てきます。
そういった中で、ナショナルミニマムという言葉が最近いろんなところで使われるようになりました。このことを今私たちは再確認をして、ナショナルミニマムを国として保障していくという考えが、学校安全においても、そして心のケアの問題においても必要だと思うわけですが、いかがでしょうか。
銭谷・文科省初等中等教育局長
まず、スクールカウンセラーのことについて若干補足をさせていただきたく存じます。
現在、スクールカウンセラーは6941校配置と申し上げましたが、2005年度は、基本的に3学級以上の中学校すべてに配置できるように1万校を予定をいたしております。
なお、スクールカウンセラーは、財団法人の日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士、それから精神科医、児童生徒の臨床心理に関し高度に専門的な知識及び経験を有する大学教官、この3者の方がスクールカウンセラーに当たることができるわけでございます。地域によってはこういう有資格者が得られないというところもございますので、一定の経験を有する者をスクールカウンセラーに準ずる者として活用できるということも行っております。そういう方も現在800人を超える数いらっしゃるわけでございます。
いずれにいたしましても、スクールカウンセラーにつきましては更に配置を進めまして、適切な教育相談が、あるいはカウンセリングができるように努めてまいりたいと思っているところでございます。
水岡 俊一・議員
スクールカウンセラー、本当に有り難いお話だと思いますが、学校の教員としてどんなふうに感じるかと言わしてもらえば、やはり、スクールカウンセラーという名前はアメリカから来たと思いますが、アメリカのスクールカウンセラーとは全く違うものであります。そういった意味では、本当に今の目的で今のような配置が正しいのかどうなのか、これはまた是非検討願いたいと思います。また、スクールカウンセラーが、悩み相談といいますか、あるいは問題の行動を早期に発見する目的で配置をされるとするならば、子供たちがその先生と接触をするということをほかの子供たちが奇異な目で見るようになりますから、実際にそのカウンセラーを配置するということが子供のためにならないという逆転の実態が出てくる可能性もあるわけです。こういう問題については是非とも現場の実態をよく聞いていただいて配置を願いたいし、これからの方途、施策を練っていただきたいと思うわけであります。
義務教育費国庫負担をどのように考えるかという面では、私たちは本当に文科省の思いと同じくしながら頑張ってきたつもりであります。それは、全国の子供たちが、どこに生まれても、どこに育ってもひとしく教育を受ける権利を保障していくんだという、そのことは是非とも文部科学省、そして総務省も一丸となって保障していただきたいと思います。
数だけ保障すれば教員は確保できるというのはうそです。実際に、本採用の人間と臨採の人間とではその対応は違います。お金だけを保障していけばいいといっても、実際にはどのような人を確保していくのか、それは現時点だけじゃなくて将来的にどのような教員を確保していくのか、計画に基づいてしていかなければ教育は崩れていきます。
そういったことで、文科省の更なる熱い思いを表明していただきながら、今後の施策に生かしていただきたいと、このようにお願いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。
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