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2005年3月8日 第162回国会 予算委員会
「地方税法等の一部を改正する法律案」

「マニュアル」中心では学校の安全は守れない
「学校安全法」の策定と保安職員の配置が必要

参議院議員 水岡 俊一 

水岡 俊一・参議院議員
  去る2月14日、大阪府寝屋川市立中央小学校において、ある卒業生により1人の教職員の命が奪われ、2人の教職員が重傷を負うという、本当に痛ましく悲しい事件が起こりました。亡くなられた鴨崎教諭に心から哀悼の意をささげるとともに、重傷を負われた2人の教職員の一刻も早い回復を願うものであります。また、ショックを受け、悲しみに暮れる同校の子供たち、仲間の教職員の皆さん、保護者の皆さんの心の回復を祈っておるところであります。だれにとっても安心、安全でなければならない学校においてまたしても殺傷事件が起こったことは極めて残念であります。
 改めて文部科学大臣にお聞きをします。この事件に対しての見解、そして全国の義務教育を行う学校の安全確保についての国の責任をどう考えておられるのか、お尋ねをいたします。

中山 成彬・文部科学大臣

  子供たちが学ぶ学校、保護者としては学校に子供たちを預けているわけでございますから、まず安全ということを第一に考えてもらいたいと思うわけでございます。まず義務教育におきましては学校の設置者であります市町村等が、第一義的に安全とかにつきましては、学校の置かれた地域の特色とか学校の場所等を含めまして、総体的にとらえてやってもらうことが大事だろうと思うわけでございます。国もそういった取組が順調に行われるようにいろんな支援をしていかにゃいかぬということだと考えておるところでございます。
 先ほど国の責任ということを言われましたが、設置者の立場から必要な措置をとっていただきますが、もちろん国としても手をこまねいているということではございません。例えば2002年12月に全国的な視野から各学校の具体的な対応の参考となるような内容の学校への不審者侵入時の危機管理マニュアルを作りまして、各学校、教育委員会等に指示を流しているところでございます。

池田小事件御遺族との合意書

水岡 俊一・議員
 大臣、2001年6月8日、何が起こったか覚えていらっしゃると思います。池田小事件、これをめぐって大変な論争も起きました。そして、国として、池田小で亡くなった8人の子供たちの遺族の方とお話をされたと聞いております。その中で、遺族とどのようなお話があったのか、どのような約束をされたのか、国の責任ということにかかわって教えていただきたいと思います。

中山・文科大臣

  池田小学校の事件の後、2003年6月8日付けで、文部科学省及び大阪教育大学並びに附属池田小学校と御遺族との間で結ばれた合意書におきまして、再発防止策として、文部科学省において、危機管理マニュアルの作成、普及や状況に応じた見直し、防犯教室の推進、学校の施設整備指針の改訂等の対策に取り組む必要があると、されているわけでございます。文部科学省といたしましては、この合意書に盛り込まれた内容を真摯に受けまして学校の安全管理対策に取り組んできたところでございまして、今後ともそのための施策を推進してまいりたいと考えております。

水岡 俊一・議員
 合意文書の中には「再発防止策」として文部科学省が次のように考えているというくだりがあります。「このような学校防犯を含む学校安全施策について、対症療法的な一時的対策にとどまらず、組織的、継続的に対応する」と、書いてあります。これについてはどのようにお考えですか。

中山・文科大臣
 合意書におきまして、御指摘のように「対症療法的な一時的対策にとどまらず、組織的、継続的に対応する」と、なっているわけでございます。危機管理マニュアル等を作って都道府県教育委員会等に通知をしたり、学校の施設関係につきましても、死角のない校舎の配置の工夫とか、必要に応じた防犯監視システムの導入等を始めとする学校施設整備指針の防犯対策関係規定の充実などのハード面の取組と、管理マニュアル等のソフト面の両面にわたって安全対策を取ってきているということで、継続的、組織的に行っているということでございます。

水岡 俊一・議員
 通知、通達あるいはマニュアル、手引などを作ったら、対策を練ったと、行なったと考えるのは間違いだと思います。この10年間を取ってみても通知、通達はたくさんなされています。こういった行政を通達行政と言うのか、私は残念でなりません。
 「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」というものを文科省は作られておられます。非常に御苦労をされてマニュアルを作っていただいたと思いました。
 実はこの危機管理マニュアルは事件が起こった翌年の12月に出ているんですね。事件が起こってから1年半もたってからこのマニュアルが出てきた。1年半もたって、あるいは1年半をたたないとできてこなかった理由はどこにあるのか、文科大臣にお聞きをしたい。

中山・文科大臣
 このマニュアルの作成に当たりましては、遺族だけじゃなくて、いろんな関係の方々の意見を聞きながらまとめたと伺っております。

水岡 俊一・議員

  それでは1年半も掛かったという理由にはならないと思います。
 亡くなった8人の子供たちの遺族の方とのお話合いがいつまとまったかというと、実は事件のあったその日から数えること2年の歳月がたっている。なぜそのような時間が掛かったのか私も調べてみました。やはり国の責任という問題が明らかにならないということでなかなか遺族の方に、合意をされなかったのではないかというお話を聞いたところであります。そういった意味では、マニュアルを作る、通知を出すことが国の責任だと、仮にしたとしてももっと早くに十分検討して出すべきだと思います。
 「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」に「学校における不審者への緊急対応の例」というのがございます。これはマニュアルの最初の方のページに載っております。このマニュアルに従って各学校は危機管理をするということであります。
 最初、関係者以外の学校への立入りというところから、不審者かどうかということを確かめるというチェック1があります。ここで不審者かどうかを見極めます。
 立入りの正当な理由があるかないかを調べる、そのチェック1ですが、寝屋川のあの事件を思い返してみてください。当人は卒業生であります。名前を名のり、そして実在する先生に会いたいと言った。正当な理由があるじゃないですか。そして中に入ったのですよ。このチェック1は、すでに受付に案内するということで学校の中に連れて入るという対応例です。
 すでにこの対応ですら今回の事件には合致できていなかったと、私は思うのですが、このマニュアルについて大臣のお考え聞かせてください。

中山・文科大臣
 このマニュアルにつきましては、不審者かどうかを見分けるポイントの例として、不自然な行動や暴力的な態度は見られないかとか、凶器や不審な物を持っていないかとか、順路を外れていたり不自然な場所に立ち入っていないかとか、総合的ないろんな観点からチェックするということになるんだと思います。そういう意味で、卒業生である、先生に会いたいと言ってこられれば、なかなかこの時点でチェックするのは難しいんじゃないかなと、私も思います。
具体的に対応された先生がどう感じられたかどうか分かりませんが、一般的に考えれば、ここでは不審者だというふうにはチェックできなかったんだろうと思います。

 不審者侵入時の対応

水岡 俊一・議員
 この段階で、状況を考えるに、不審者かどうかということで判断をするというのは難しかったと私も思います。
 その次に、亡くなられた鴨崎先生は、それでも様子をうかがう中で、やはりこれは子供たちにとって良くないなという判断をしながら、この卒業生を外へ連れ出そうとしたんです。その判断は正しいと思います。しかし、鴨崎先生は、ふいに取り出した刃物によって刺され、命を落としたわけであります。
 このマニュアルに従って対応をした鴨崎先生の命、いかに考えられますか。鴨崎先生が命を落としたことに対する責任をどのようにお考えになるか、聞かせてください。

中山・文科大臣
 これは正にマニュアルでございまして、全国的な視野から見て、学校でそういう人たちをチェックする場合に具体的な対応の参考になるんではないかということで作ったわけでございます。これをそのまま守れば全部防げるという話じゃない、あくまで参考の例として作ったものだと考えています。

水岡 俊一・議員
 いや、参考例には違いないけれども、そのように言われたんじゃ、鴨崎先生は報われないですよ。今全国でこのマニュアルに従って学校を守ろうとしている教職員は一体どう考えればいいんですか。これは単なる参考例で決め手ではない、そういうふうに考えるべきなのでしょうか。

中山・文科大臣
 このマニュアルを守っていればそのまま事件が全部未然に防げるものならそんなすばらしいことはないんです。やっぱり状況というのはその場その場によって違うわけですから、常に見直しながらいかにゃいかぬと思っています。それを作った責任が文科省にあると、短絡的なことではなくて、みんなでいろんなことを考えながら多面的な方策を考えていかにゃいかぬということじゃないかと思うわけでございます。

水岡 俊一・議員
 いや、私の質問に答えていただいていないように思いますね。今全国の学校に勤める職員は本当に悩んでいると思います。
 事件が起こった2月14日から4日後に通知が出ています。「学校の安全確保のための施策等について」という通知が2005年2月18日、文部科学省から出ています。その中にこう書いてあります。「ついては、関係各位におかれましては、『学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル』や『学校安全緊急アピール 子どもの安全を守るために』に基づき施策の再点検を進めていただくとともに、特に、下記のような点について御留意いただき、なお一層の学校の安全確保のために取り組んでいただきますようお願いいたします」と書いてあるじゃないですか。つまり、この学校安全マニュアル、危機管理マニュアルをもう一回再点検しろという内容ですよ。ということは、今度の寝屋川の中央小学校の対応はマニュアルに従ってなかったという見解ですか、この通知は。

中山・文科大臣
 この中央小学校でもそうですけれども、あくまでこのマニュアルを基にしまして、それぞれ学校は独自のマニュアルを作っているのです。この学校も作っていたのです。それは、その地域、学校によっていろいろ特色があります。こういう事件が起こったということでございましたので、文部科学省としては再度チェックしてくれと。
 私も3つ申し上げたのを覚えているのですけれども、今回の事件というのは子供たちじゃなくて教職員が被害に遭ったということですから、教職員を対象とする防犯訓練等を当面集中的にやってくれということと、学校と地域との連携をもっともっと推進してくださいということ、それから警察との連携も推進してくださいと、この3つのことを申し上げたところでございました。

水岡 俊一・議員
 今私が読みました通知の下記に基づいてというのは、その1に、「今回の事件において教職員が殺傷されたという点を踏まえ、教職員を対象とする防犯訓練等を当面集中的に実施すること」と書いてあります。つまり、4日後に緊急的に出た通知によると、教職員を対象として防犯訓練をやれと、いう話ですよ。つまりは、このマニュアルに従って対応しなさい、でもそれは参考例だ。そもそもは、教職員が防犯訓練をやりなさい、それが当面の緊急の課題だと、ということになるんじゃないでしょうか。

中山・文科大臣
 教職員を対象とする訓練もやりなさい、2番目にはその地域との連携を深めていきなさい、3番目には学校との連携も推進してくださいということが書いてあるわけで、何も教職員だけということを言っているんじゃないんです。

水岡 俊一・議員
 私が言いたいのは、マニュアルは本当に考えて作っていただいたと思うんです。だけれども、こういった事件にはマニュアル等ではなかなか対応し切れない様々な問題があるわけです。だから国として実効的な施策をやらにゃいかぬと私は思うんだけれども、大臣は、通知も出している、通達も出している、マニュアルも作った、こういうふうにおっしゃるから私は聞いたんです。

中山・文科大臣
 いつも私は申し上げていますけれども、これからの教育は、とにかく学校現場に任せますと。第一義的には、学校現場がその学校の置かれた地域の状況とか、学校の状況とか、それを見ながら、大きい学校とか小さい、いろいろありますから。学校の設置責任者がこれは管理すると法律にも書いてあるわけです。管理することとなっているわけですから、まずは、それぞれ地域、地域で違うんですから、私ども文部科学省が一律にこうしろというふうなものじゃないと思います。あくまで文部科学省の仕事は、指導したり、通知したり、情報提供をやっているのが今の文部行政だ。
 あくまで第一義的には、設置者がそれぞれの地域において考える、これが地方分権であり、現場に任せることです。現場で、それぞれの地域に応じて、子供たちを安全に、健やかに育ててもらいたい、これが基本でございます。

水岡 俊一・議員
 では鴨崎先生はどうすればよかったんですか。

中山・文科大臣

 どうすればよかったかと私に聞かれても答えようはないんです。
 鴨崎先生は本当に子供たちから敬愛され、父兄からも同僚の先生方からも大変尊敬されていた、すばらしい先生だと、聞いています。
 ですから、本当に鴨崎先生の心情を察すると何とも言えないものがありますが、私は鴨崎先生が取られた行動は、何も間違ったことはなかったんじゃないかな。にもかかわらず事件に遭ったということは、本当に起こってはならない、許されない事件だと、思うわけでございます。

 学校安全法と保安要員

水岡 俊一・議員
 たとえ犯人が死罪になろうとも、御自分の子供や身の回りの子供たちが殺されたらそれで済みますか。済まないでしょう。だから、どういうふうに対応すべきかをみんなで考えるべきだという話の中で、マニュアルだとか通知だけじゃ駄目だ、実際に学校を保安するような要員だとかの対策を練らなきゃいけないんじゃないかと私は思いますが、文科大臣はどうですか。

中山・文科大臣
 正にそのとおりでございまして、第一義的には設置者がどうするか、それぞれの地域、地域の特色がありますから、考えていただかなきゃいかぬわけです。文部科学省としてどうしたらいいかということにつきましては、全国的な状況等を踏まえながら、1つの指針になるんじゃないかということでマニュアルを作って、それを周知徹底させながら、しかし、その中でそれぞれの地域において、学校においても創意工夫を重ねてくださいよと、こういうふうなこともお願いしているわけでございます。
 さらに、ガードマンとか警備員とか、を置く市町村も増えてるわけでございますが、これは本当にいいことだと、思うわけでございます。その費用は今のところ国で見られないものですから、全体として、警備員とか、ボランティアの方々をできるだけ委嘱して、学校を守ってもらいたい。そのために、そのボランティアの方々を指導するスクールガードリーダーというようなものを今年の予算で1200名委嘱しまして地域全体として学校を守ろうといった取組も今やろうとしているところでございます。

水岡 俊一・議員
 通知の2番目に、今大臣もおっしゃいました、「PTAや地域のボランティアなどの参加を得て、学校内外の巡回、学校の門や通学路等の要所での監視、万一事件や事故が起きた場合の避難場所の確保など、学校の安全確保のための地域との連携を進めること」と、書いてあります。廃品回収やバザーのボランティアと違います。先生が一人命を落とした、あるいは2人が重傷を負ったという事件の後に出たその通知に安易にボランティアで頼むなんて言語道断だと思いませんか。

中山・文科大臣
 PTAや地域のボランティアなどの参加を得て、学校の内外の巡回とか学校の門や通学路等の要所での監視、万一事件や事故等が起きた場合の避難場所の確保など、学校の安全確保のために地域との連携を深めること、これまでもやっていただいていますけど、ますますこういったものを深めていかなければ、地域全体で子供たちを守らなきゃいかぬということをうたっているわけです。非常に高尚な精神だと思います。

水岡 俊一・議員
 ボランティアをお願いをして学校を巡視している中で、このような事件が起きて命を落とされたら文科省は責任を取られるんですか。

中山・文科大臣
 そういうことが起こらないように研修したり、あるいは警察のOBの方々がリーダーとなっていろいろと指導していただくということでございます。
 例えば、これは北九州で取り組まれているスクールヘルパー事業の場合でございますが、保護者や地域の団体の関係者がボランティアとして教育活動や、校内、通学路の巡回といった子供の安全対策に参加していますけれども、参加するボランティアの方々を対象として保険の手当てが講じられてるわけでございます。それぞれの市町村におきまして、包括的な保険ということで、ボランティア保険とかにも加入している例が多々見られるところでございます。

水岡 俊一・議員
 いや、そういう話の中で保険を取り出されたのでは、本当に悲しい限りです。
 命の問題です。いや、幾ら金が掛かっても子供の命を守りたいということを文科大臣がおっしゃっていただきたいと私は思うのです。私は、文科大臣として、予算のこともあるから安易にその話はできないかもしれないが、これは将来にわたって学校の子供や教職員を守るという観点において、法を整備するなり学校に保安要員を置くなどの措置をこれから検討することが必要だというふうにお感じになってほしいと願っていますが、大臣、どうですか。

中山・文科大臣
 国、地域、学校、家庭、みんなでそれぞれの役割分担に応じて、責務を果たしながら子供たちを育てていくのは当然だろうと思います。今先生が言われるように、本当にボランティアだけでいいのか、それじゃ足りないかもしれませんから、国としてできることをやらないかぬということで、私どももいろいろと取り組んでいるわけでございます。決して保険に入ればいい、それだけのことではない、やっぱりこれはみんなで考えないかぬ話だと、私はそのように考えています。

 教職員の職務

水岡 俊一・議員
 亡くなられた鴨崎先生はマニュアルに従ってこの行動を行いました。目の前で子供が刺されるという状況の中で、割って入って先生が刺されて死んだわけではありません。このマニュアルに従って、外来者の対応として外へ連れ出そうとして刺されたわけですね。本来の教職員の職務としてこれはあるのですか。

中山・文科大臣
 学校の子供たちの安全を確保するという観点から、教職員の果たすべき役割は非常に大きいと、思うわけでございます。学校に不審者が入ってきたというような事態が発生した場合、迅速に110番通報等を行うことが不可欠でありますけれども、こうした通報についても日ごろから訓練しておかなければ緊急事態には対応できないと思うわけでございます。また110番通報しても警察官が到達するまでの間においてはとにかく教職員が連携して、教職員自身の安全も守りながら、不審者を子供たちに近づけないようにすることで被害の防止を図る、あるいは子供の避難の誘導を行う必要があると、考えるわけでございます。
 こういった観点から、文科省としては、地元と警察等と連携しながら学校において実践的な防犯訓練を実施することの重要性もこれは指摘しているところでございます。

水岡 俊一・議員
 学校の教諭は学校教育法第28条の6に「教諭は、児童の教育をつかさどる」と、明快に書いてあります。それ以外に外来者の対応、そして不審者への対応をしなければいけないということがどこかに書いてありますか。

中山・文科大臣
 子供の教育をつかさどるという中に、やはり子供の安全も守るということも入っているのじゃないでしょうかね。

水岡 俊一・議員
 私が聞いたのは、明確に外来者への対応を職務だと書いているところがありますかと、聞いたのです。それは包括的に入っているという答えですか、どうですか。

中山・文科大臣
 学校教育法の中に「教諭は、児童の教育をつかさどる」と、あるわけでございまして、この中に子供の教育をするときの安全も守るということも入っているというふうに解釈しております。

水岡 俊一・議員
 いや、子供の安全ということであれば非常に大きくなりますよ。だから、目の前で子供が傷付けられようとしているときに教員としてそれを止めないわけはありません。それは子供の安全を守ろうとすることです。しかし、今回は外来者の対応としてこのマニュアルに従って外に連れ出そうとして事故に遭ったということです。
 そもそもこの職務は教諭の仕事ではないでしょうと、私はこうお尋ねしているんですが。

中山・文科大臣
 正に法律にありますように教職員は、子供の教育をつかさどると、書いてあるわけですから校長だけの仕事ではなくて、やっぱり全体としてみんなで子供を守るということは当然のことじゃないですかね。校長先生はその全体を統括するという仕事だと思います。

水岡 俊一・議員
 校長がその仕事に全面的に当たって全うできるなんて私も思っていません。しかし、教員の仕事ではないのです。だから、外来者の対応あるいは、まして不審者の対応は、学校保安要員などを擁して当たるべきじゃないかと申しているのです。

中山・文科大臣
 子供は国も地域も学校もみんなで育てている、育てなきゃいかぬということだと思います。教職員は教育をつかさどると書いてあるわけですから、もちろん教育を授けているときには、子供が安全に教育が授けられるようにするのは教員として当然のことじゃないですか。

水岡 俊一・議員
 緊急避難と、こういった対応のマニュアルとは違うんです。だから、目の前に傷付けられようとしている人がいたら、それは人間だれしも助けようとするでしょう。まして、子供を目の前にしている教員は体を張ってやります。池田小学校でもそうでした。
 ですから、そういった意味では私は、こういったマニュアルだとか通知などだけに頼ることでは、現在の事件が多く発生している事態に対応できないだろう。今後の方向として、寝屋川の中央小学校をどういう教訓として受け止めるか、ですよ。

中山・文科大臣
 今回の寝屋川の小学校の痛ましい事件もありましたので、文部科学省としても直ちに担当官を4人派遣いたしまして、その原因の究明とかを調べてきたわけでございますが、繰り返しになりますが、決して学校の先生だけで守れるものじゃないと私は思います。
 ですから、国は国の役回りがありますし、特に設置の責任者であります市町村がまず、どうしたら地域の学校において子供たちが安全、安心に教育を受けられるのか、この観点から本当に知恵を絞っていただいていると思っています。地域によりましては警備員を雇うだとか、あるいはボランティアの方々にお願いして、いろんな取組をやっているわけでございます。
 子供たちは本当に社会の宝、国の宝という観点からみんなで守っていくべきだと。決して学校の先生方だけというわけじゃありませんが、やはり学校の先生も当然、何のために子供たちを教育するのか、子供たちが健やかに育って、そして大人になって幸せな人生を送れるようにということですから、その子供たちが傷付けられるような事態、これはもちろん身をもって、救ってあげられるような先生であってほしいなと思います。

 自治体の警備員配置と費用

水岡 俊一・議員
 学校の先生は、子供たちを守るように日々一生懸命努力をしていると思います。
 大阪では、大阪府の小中学校に来年度より警備員の配置が決められたそうです。あの大阪府で、厳しい財政の中で身を切る思いで警備員を配置するということが決められた。それを受けて、文科省としては、交付税の中にそういった費用を盛り込む、将来的に盛り込むという考えはないですか。

中山・文科大臣
 これは三位一体の議論の中の義務教育費国庫負担制度をどうするかという話でもあるわけでございまして、国が全部持てという御主張かもしれませんが、今はそうなっていないわけでございます。文部科学省としては、その中でできるだけのことをやろうということで、例えば2001年度に公立学校及び児童福祉施設等の緊急安全対策ということで57億6300万円を特別交付税として措置してもらうとか、2002年度からは、公立学校における学校安全対策として、幼稚園、小学校、中学校、高校等にそういった交付税措置をやっていただくということで、文部科学省としてできる限りの今努力をしているところでございます。

水岡 俊一・議員
 小学校が今クローズアップされていますが、幼稚園、保育園で、こういった事件が起きる可能性がありますし、既に起こっています。
 幼稚園での対応をどのようにお考えか、保育園での対応をどのようにお考えか、関係大臣から御答弁をお願いします。

中山・文科大臣
 幼稚園も小学校も同じだと思うわけでございます。幼児を保育するという幼稚園の特性を踏まえまして、児童が安心して教育を受けられるよう、家庭や地域の関係団体あるいは機関等と連携しながら安全管理の徹底を図ることが必要であると考えております。幼稚園における安全対策に対する助成として、門やフェンス等の設置に要する経費、あるいは防犯管理システム等の設置に要する経費に対して国庫補助を行ったりしているところでございます。今後とも幼稚園関係者を対象とした各種会議や研修会など様々な機会を通じて指導を進めまして、幼稚園の安全確保のための施策の推進を図ってまいりたいと考えております。

尾辻 秀久・厚生労働大臣
 保育所におきましても、特に保育所は小さい子供たち、ゼロ歳児もおりますし、乳幼児が安心して生活が送れるよう、生活がすることができるよう関係機関等と連携しつつ、安全管理の徹底を図ることが重要であると考えております。
 このために、2001年の大阪府池田小学校で起きた事件を契機としてやったことを2点申し上げます。1つは、保育所における日常の安全管理と緊急時の安全確保について、外部からの人の出入りの確認といった各種の点検項目を示し、自主点検を促す通知を発出いたしました。まあ、通知はというお話がありましたが、私どもも通知は出させてもらいました。それからもう1つは、警察機関への非常通報装置やテレビカメラ付きインターホンなどの安全管理に必要な設備の整備に対する助成は行ってまいりました。
 こうしたことを行ってはまいりましたけれども、先ほど来のお話、いろいろお聞きをいたしておりました。自治体担当者や保育所関係者を対象とした会議など様々な機会を通じてこうした取組の徹底を図って、保育所の安全確保を更に図ってまいりたいと考えます。

水岡 俊一・議員
 設備等に掛けるお金というお話がありましたが、不審者が侵入をしてきたときにどう対応するか、それは人的な問題としてどうなのかという問題を質問しているわけであります。そういった答弁しかないというのはちょっと私は残念で仕方がありませんが、気持ちは通じたんではないかと思いますので、今後の取組の中で、政治の中で行っていただきたいというふうに思います。
 厚労大臣にもう1つ、学校だけではなくて国立病院でこういった問題が起きる可能性もこれはありますね。国立病院の中で、緊急時に対応するために医師あるいは看護師にもこういった対応をするように大臣としてはお求めですか。

尾辻・厚労大臣
 病院の場合はもっと大変だなと思いながらずっと聞いておりました。何しろ不特定多数の人が入ってくるところでありますから、ここでそれを防ぐというのは、これはもう非常に難しいことだと考えます。
 今の御質問は、そういう場合に医師や看護師さんにそんなことに対応せいと言うのかというお尋ねがまず1点ございました。けれども、これはもうとても、お医者さんや看護師さんがそういうことをするためにおられるわけじゃありませんから、そういうことをお願いしますなんてとても言えるものではございません。お尋ねの部分だけお答えいたしますと、そういうことを私どもが求めたりはしませんということをまずお答えをいたします。

 図書費の行方と教職員給与費

水岡 俊一・議員
 そもそもという話をすれば、教員もそもそもそういったことの仕事はないわけですから、こういった問題をこれからもお尋ねをし、明確にしていきたいと思います。
  文科大臣、母校の小林中学校にお戻りになられたときに、図書が少ないとお感じになったというお話を聞きました。そのことについてお話ください。

中山・文科大臣
 教育改革の中で学習指導要領の見直し等も進めているのですけれども、昨年末の国際的な学力調査の結果でも出ましたように、日本の子供たち、もちろん学ぶ意欲がないとか勉強時間が少ないとかありますけれども、読解力が今やOECDの中位クラスになっちゃっているということがあります。読書といいますか、本に親しむという習慣を付けさせることが一番大事じゃないかな、こう思って、学校訪問をいたしております。私は常に図書館に行きまして、図書館にどういった本があるのか、十分に備えられているかどうかということをチェックしているところでございます。残念ながらやはり非常に本の冊数が少ないし、また非常に古い図書もあったりしまして、もう少し何とかしなきゃいかぬなと、思っているわけでございます。
 調べてもらいましたら、全国の図書整備費としては毎年130億円という地方交付税措置を講じておるわけです。それが図書購入費に充てられていないところもあるわけでございます。2002年度の小学校1校当たりで見てみますと、全国平均は42万1000円でございますが、高い県では70万7000円、低い県では18万6000円と、3.8倍ぐらいの差があるわけです。同じく中学校1校当たりでは、平均が62万2000円ですけれども、高い県は112万8000円、低い県では32万9000円ということで、3.4倍の差があるということで、教育に対する取組というのがこういったところにも出ているのかなということを感じているところでございます。

水岡 俊一・議員
 1校当たりに1年、図書購入費は標準的な学校で、小学校は44万円、中学校は73万2000円措置をされているわけで、金は地方交付税交付金の中に入っておりまして、各都道府県へ送られている。しかし、今の大臣のお話のように、大変格差があります。こういった事態を招いているということについて、総務大臣、見解がありましたらお願いいたします。

麻生 太郎・総務大臣
 地方交付税で130億、図書購入費に予算が付いていると思っております。そして、実際使っておられます地方団体が上げておられる総額は140億を超えておりますので、交付税以上に実は予算を使っておられるというのが実態だと存じます。
 県当たりの格差が付きますことにつきまして、私は、基本的にこれは教員と違って学校図書の整備費の件につきましては、法律上の基準が全然設けられておりませんから、こういったような形になるのは、地域においての首長さんの意識の差とかいろんな問題が勘案されなくちゃいかぬところだと思います。この地域差を、水岡先生はこれを全部一律にせいということを感じておられるとするならば、法律によって基準を設けない以外は、なかなかそういったことに出てこないと思います。教員の場合は標準値は決められておりますので、その違いが大きな理由かという感じがいたします。

水岡 俊一・議員
 図書費の問題は、今交付税化されていますので、ただ、これから教職員の給与費が交付税化をされるんではないかという懸念がある中で、地方に教職員給与費も交付税化をされたら、図書費のグラフのようになったんでは日本の教育は守れないと私は思います。仮定の話で申し訳ないですが、一般的なお感じのことを大臣、お聞かせ願えませんか。

麻生・総務大臣
 図書費と教員の給与とは少し違うと思っております。なぜ違うかといえば、教職員の場合は学校図書と全然条件が違っており、基本的には法律で学級編制とか教員の数とかいうのは決められております。
 今、地方で教育の問題は、選挙のときでも何でも関心事の一番に上がってくる問題なんじゃないんですかね。そういうときに、教員の質とか量を下げるというのを公約にうたう人はまずおらぬと思います。
 そういった意味では、僕は高校が一番いい例だと思うのです。私のところは福岡県ですが、隣に熊本でいえば済々黌、佐賀では佐高、福岡では修猷館と昔からある学校なんかがある。これは義務でもなければ何でもないのですが、この3校の学生の質がどれぐらい差が付けられるのかといったら、多分きちんとした数値を挙げることはほぼ不可能と思います。それぐらいみんな競って教職、教育の質のレベルを上げようと努力をしておると思います。
 そこで、同じように教職員の給与は、仮に地方に地方税として移管された場合、教職員の給与の約半分でありますから、その半分を削って道路に使うとか川に使っては、ちょっと正直言って次の選挙は落選ですな。そんなことは普通じゃ考えられぬ、私自身の雰囲気からいくとそうだと思っております。
 したがいまして、今の場合、教職員の場合を、高校を見ましても、実質は文部省が決めておる設置基準以上に教職員をほとんどの県で配置しておられるというのが現実、実態なんだと思っております。私どもにしてみれば、学校教職員の話と学校図書費としては裏付けになっている法律の質が全く違いますので、このような形になるということは私の常識では考えられぬと思っております。

水岡 俊一・議員
 現在のところは法律が違うということで、それはもう明快なことだと思いますが、こういったからくりの中でもし義務教育費国庫負担制度が変わってしまうと大変なおそれがあると私は思っております。


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