| 2004年11月10日 第161回国会 災害対策特別委員会 |
なぜ円山川の堤防を低整備率のまま放置したのか
国の責任で災害援助チームの設立を
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参議院議員 水岡 俊一
水岡 俊一・参議院議員
このたびの台風23号による被害は、私の出身の兵庫県においても大変大きな被害になりました。私は、本日午前の参考人、中貝さんが市長を務める豊岡市の出身であります。災害発生の40時間後には、ふるさとに帰って、その被害状況を見てまいりました。
無残にも変わり果てた町々、家々を胸の張り裂けるような思いで眺めて立ち尽くす、その悲しさ、つらさは、水害、地震問わず、非常に多くの全国の皆さんと共通した思いだったというふうに思います。私の育った家も、身の丈以上に水がつかって、全く変わり果てた家になってしまいました。
台風、地震の被害によって亡くなられた方、また被害を受けられた方に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げ、1日も早い復旧・復興を望みながら質問に入りたいと思います。
兵庫県の但馬地方を流れる円山川の堤防整備率についてでありますが、これはなんと6.8%と聞きました。近畿内で最も低いという報道であります。円山川の堤防延長77キロのうち、完成堤防はわずか4.4%。近畿地方を眺めてみますと、淀川が約70%、加古川は約45%、揖保川は約50%という中、20%を下回るのは円山川だけということであります。それも、6.8%であります。何か、災害の後になって聞くことでありますので、唖然とすると同時に、そんなばかなと思わず叫んでしまう数字であります。
これについて正確な実態を聞かせていただきたいと思いますし、また、それが事実ならば、なぜそのような低い整備率のまま放置をしていたのか、納得のいく説明を是非お願いをしたいと思います。
清治 真人・国土交通省河川局長
円山川でございますが、確かに堤防の整備率が低うございます。現在、堤防が完成している、すなわち高さもあるし幅もあるという部分が、今御指摘の6.8%でございます。そのほかに、計画高水位、いわゆるこの高さまでの洪水に対して安全な川、水位に対して安全な川にしていこうという高さまで堤防が確保できている割合が72.3%でございまして、いずれも整備水準としては低い状況にとどまっているわけでございます。
これは、この地域が大変低いところであるということと、軟弱地盤のところでございまして、堤防を盛るためにいろいろな工夫をしながら盛ってきているところであります。また地盤沈下等もありまして、堤防をとにかく計画高水位という高さまで確保していく、維持していくということに現在、腐心している状況にあるわけでございます。
そういう中で、円山川、特に豊岡の周辺につきましては地盤が低うございますので、内水はんらんも非常に大きいわけでございます。この内水対策も併せて進めていかなければならないという状況にありましたので、河道の掘削、堤防を維持していく、それから内水対策も講じていく、こういう中で、堤防を放置しておいたということではなくて、堤防につきましても逐次整備を進めておりますが、いろいろな条件からなかなか進んでいないということは御指摘のとおりでございます。
水岡 俊一・議員
近畿の中でも20%を下回るのは円山川だけ、それも一けたであります。このことについて、他のところとこれだけ違うのはなぜかというふうにお聞きをしているのです。もう1回お願いします。
清治・国交省河川局長
堤防の断面とか高さとかにおきましては、何%が整備されているということで示しておりますので、そういう比較になろうかと思います。ただ、それぞれの川におきましては、いろんな条件の違いがあります。また、洪水の履歴の違いもあるわけでございます。
円山川につきましては、1959年の伊勢湾台風のときに非常に大きい出水があって大変な被害を受けたわけでありますが、そのときの最高水位は、今私どもがその高さを維持したいと思って頑張っている計画高水位よりは低うございました。これは、その水準で当然いいということではございません。今回の大水害を契機にいたしまして、同じような雨、これは計画の雨量よりは少なかったわけでございます。また流量も計画よりは少なかったわけでございますが、こういう流量を安全に流すためにどういう対策が必要かということを現在検討しておりまして、緊急に対処していく必要があろうかと思っております。この点につきましては一生懸命取り組んでいく所存でございます。
堤防の決壊
水岡 俊一・議員
これまでの数値に頼るのではなくて、新たな計算値、予想値を基にした様々な対策が是非とも必要だということで、よろしくお願いをしたいと思います。
引き続き円山川のことですが、円山川が堤防が決壊をしたということはもう皆さん御存じのとおりでありますが、この堤防の決壊部分というのは暫定堤防という形であったようです。つまり、通常の堤防よりは1メートル低い堤防である。完成堤防とは呼べない堤防のことでありますが、1メートル低いといっても8.66メートルあったというふうに言われています。そして、決壊場所近くの、このたびの23号の水害のときには最高水位は8.29メートルであります。
8.66メートルあったのに、8.29メートルの最高水位しかなかったはずにもかかわらず、堤防を水が越えてしまったという事実がある。これはどういうことなのでしょうか。
清治・国交省河川局長
今回の円山川の出水は夜中であったわけでございますが、そういう中で河川の状況等を監視していたわけであります。堤防を水が越えたらしいということは、出水の後の堤防の上に残った、いわゆる流れてきたものとかからも確かでございます。その辺につきましては、現在、堤防関係の調査をしっかりやることによっていろいろなことが分かってくるというふうに思っております。この破堤した箇所につきましては計画高水位よりも若干低かったという事実はあるようでございまして、今、1メートルという話がございましたが、前後の関係からいきますと約77センチほど低かったと思われます。それは、70センチというのは、ほかのところが計画高水位よりは5、60センチ高かったけれども、全体の中では、破堤したところについてはつくった後の地盤沈下もありまして、計画高水位よりも若干低かったという事実があるようでございます。
調査委員会の中で検討されまして、破堤が起こったのは出水によるものなのか、あるいは堤防の中に水がしみ込んで堤防が弱体化したのか、その辺のところを検討されていくことになろうかと思います。
水岡 俊一・議員
今のお話でいくと、最高水位が8.29メートルだったということはよく分からないというお話でしょうか。科学的に考えるためには確実な数値を基にして物事を考えていかなきゃいけないと思うのですが、ほかよりも幾ら低かったとか、計画したものよりも低かったから越えたかもしれないとか、あるいは越えていないかもしれないけれども堤防は破堤をしたということなのか、その辺りがよく分からないと思います。
私の聞いているところによると、その破堤をした辺りはほかの部分よりも更に1メートル低かったではないかということが言われている。これは専門家の人も指摘をしているということが新聞報道でありました。この点についてはいかが調査をされたのでしょうか。
清治・国交省河川局長
今回最高水位で8メートル29センチという数字でございますが、これは立野という水位観測所の地点で観測された最高水位でございますが、堤防が破堤しました地点はそれより少し上流でございます。
ここの堤防は、豊岡の市道と兼用しているところでありまして、高さ関係につきましてはその地点での水位が幾らだったのかという比較等は詳細にはできない現状です。なおその前後の堤防の高さに比べると70センチほど低かったという事実がございます。
豊岡市内浸水
水岡 俊一・議員
この破堤した部分が完成堤防であったならば今回のこの堤防決壊による大きな水害は防げたのではないかということをきちっと科学的に究明をしていただきたいということであります。
次に、内水の水位がどんどん上がることによって町が沈んでしまうというようなことがあるんですが、ここで1つ大きな指摘をしておきたいと思うんです。というのは、豊岡市は円山川の水位がどんどんと上がっている間、決壊をする随分手前に、私の調査によれば5、6時間手前で豊岡市内は多くの部分で浸水をしております。豊岡市内が水につかっているという実態があるとつかんでいます。
防災担当大臣としては何か御報告を聞かれているんでしょうか。
村田 吉隆・内閣府防災担当大臣
大臣としては、そのような情報にはまだ接しておりません。
水岡 俊一・議員
豊岡市内で堤防決壊よりも6時間も早く浸水をした状況について、何か調査をしていただいたんでしょうか。
柴田 高博・内閣府政策統括官
内閣府といたしましては、個別具体的な円山川の被害状況についてはなかなか把握しにくいところでございます。河川局等ともいろいろ話を聞いてみたところでございます。多分、先ほども河川局長が御答弁申し上げておったと思いますが、堤防決壊より早く浸水被害が出たということであれば、内水面の排除の話を先ほどされていたと思いますけれども、原因は定かではありません。その内水排除というのがなかなかうまくいかなかったのではないかと、それが原因の1つではないかという具合に考えられるんではないかと思っております。
今後、関係省庁、特に国土交通省河川局あるいは関係地方公共団体により原因究明調査を早急に行っていただき、対策を講じていただくものという具合に考えております。
被災地支援
水岡 俊一・議員
三重県の被災地の状況も視察をさせていただきました。今年はどの地域に行っても皆さんが口をそろえておっしゃるのは、予想を超えた雨量、かつて経験をしたことのない雨量があったことによって想像を超えた現象が起きた、だから本当に私たちの力の及ぶところではなかったというところが悔し涙とともに語られたことが多かったと思います。
しかし、そのことだけですべてのことを片付けてはいけないと思います。こういった災害の中に、もしかすると私たちがを実施しておけば防ぐことができたかもしれない、あるいは多くの雨量の陰にあって何かほかの問題が起きる可能性があったかもしれない。言うならば、年内にもまた集中豪雨が起きたら、豊岡の市内は堤防が決壊しなくてもまた床上の浸水が起きてしまうかもしれないという危険性があるわけであります。これは豊岡だけじゃなくて日本の全国の多くの市町村が持つ危険性だろうと思いますので、科学的な究明を是非ともお願いをしたいということを申し上げたいと思います。
台風23号の風水害は、人的な被害、住居の被害に加えて、農業被害、そして地域の地場産業にも多大な被害を与えています。地場産業は、地域の雇用で掛け替えのない役割を担っているわけでありまして、正に地域住民の暮らしを支えているわけです。兵庫県では、豊岡市のかばん、西脇市の播州織物、淡路島の線香やかわら、そういった地場産業が深刻な被害を受けています。
厚生労働省、そして経済産業省の地場産業あるいは労働者に対する支援の概要をお話をいただきたいと思います。
大石 明・厚生労働省職業安定局次長 厚生労働省といたしましては、現地の労働局に災害対策本部を設置し、災害救助法適用地域内のすべての公共職業安定所、労働基準監督署に相談窓口を設けております。また、同地域内に所在する事業所に雇用される方で、事業所が災害を受けて、その結果、やむを得ず休業するという場合、一時的にどうしても離職を余儀なくされるわけでございます。こうした方の雇用保険の基本手当の支給に当たっては特例措置が講じられるということでございます。その他、通常、雇用保険の場合ですと、一応認定日に安定所に来ていただくという日にちが決まっておりますけれども、来れないケースもございますので弾力的な運用をするといったような措置を取らせていただいております。
服部 和良・経済産業大臣官房地域中小企業対策統括官
台風23号で被害を受けられました兵庫県等の中小企業に対しましては、政府系中小企業金融機関のいわゆる災害復旧貸付けの対象としております。この災害復旧貸付けでございますけれども、一般の貸出し枠とは別枠の限度額が適用になります。また、いわゆる金利のみをお支払いいただく据置期間につきましては、例えば中小公庫や国民公庫では2年以内ということで、一般の貸出し枠よりは長く設定できることになっております。さらに、担保特例ということで、中小公庫や商工中金では、8000万円を上限といたしまして貸付額の50%について担保徴求の免除を認められる制度になっております。そのほか、私どもからは、政府系中小企業金融機関や信用保証協会に対しましては、中小企業の方に親身な対応を行うようにというふうなこと、あるいは貸出し・保証手続の迅速化、あるいは既往債務の条件変更等の弾力化ということで、適時適切な、個別企業の実情に応じた対応をしていただくように指示をしておるところでございます。
被災子どもへのケア
水岡 俊一・議員
十分に地場産業の要望に沿うものになるように、皆さん方のお力を更にいただきたいと思います。
被災地では多くの子供たちがショックを受けています。被災した子供たちは、死傷者あるいは自宅が倒壊したその姿を目の当たりにしているわけです。また、泥に埋まった自分の持ち物を見ているわけであります。そういった子供たちはとても強い精神的なショックを受けておりますが、心理的に不安定な状態に陥った子供たちに対する心のケアが必要なことは今私が言うまでもないことであります。
阪神・淡路大震災では、担任を持たず、心のケアに専門的に取り組む教育復興担当教員が国の予算で配置をされました。私も現場の教職員として、文部科学省の配慮に感動し、子供たちと一緒に立ち直る努力を続けておりました。
今回の台風被害や地震の被害が特にひどかった地域の学校では、早くも心のケアの必要性が叫ばれております。このたびも教育復興担当教員の配置が必要だと私は考えておりますが、文部科学省としてはいかがでしょうか。
山中 伸一・文部科学大臣官房審議官
災害に遭った子供たちが精神的に非常に不安定な状況に陥っている、こういう子供たちに対しての心のケアを行うということは非常に重要なことと考えております。
例えば阪神・淡路大震災の際には、文部科学省の方も加配をいたしまして、カウンセリング担当教員というものを置いたという措置を取ったところでございます。
また、今回の中越の大地震に際しまして、新潟県の教育委員会の方からは教育復興担当教員の加配措置というふうなものについての御要望も受けているところでございます。
文部科学省といたしましても、災害を受けました県の教育委員会等とも連携を取りつつ、御要望も伺いながら対策をしていきたいというふうに思っております。
震災・学校支援チーム
水岡 俊一・議員
是非とも、検討いただいて配置をお願いしたいと思います。
兵庫県教委は、災害が起こった10月20日の翌日には早速、避難所となった学校を支援するために震災・学校支援チームというチームのメンバーを被災地に派遣をいたしました。この震災・学校支援チームというのは、避難所となった学校において、その避難所の運営をリードしたり、関係機関との調整をしたり、子供や教職員の心のケア、あるいは給食の支援などを行うチームであります。
阪神・淡路大震災を機に、兵庫県において県の教育委員会と教職員組合が合意をする中で設立をされた組織で、教諭、養護教諭、事務職員、栄養職員とカウンセラー約150名で構成し、平時から、通常勤務をする一方、訓練、研修会を実施しながら、防災体制の整備、防災教育の推進に努めているチームであることは皆さん御存じのとおりだと思います。
一連の台風被害のためにいち早くチームが派遣をされ、活動を続けておるわけでありますが、その点について文部科学省としてはいかが評価をされているのでしょうか。
山中・文科大臣官房審議官
兵庫県では、阪神・淡路大震災の際にほかの県から受けた支援にこたえるというふうな観点もございまして、震災・学校支援チームというものを作り、今回の新潟の震災に際しましても兵庫県教育委員会が震災・学校支援チームを新潟の方に派遣しまして、学校教育の応急措置と早期の再開、あるいは児童生徒の心のケア、学校における避難所運営といった目の前の問題について、阪神・淡路での経験を踏まえた支援を行っているということでございまして、非常に有り難いものと思っております。被災地の学校あるいは教育委員会にとっても心強く感じたものというふうに思っております。高く評価いたしたいと思っております。
水岡 俊一・議員
是非とも、文部科学省の方々も、この機に被災地に行かれて避難所となった学校の様子も是非見ていただきたいというふうに思います。
兵庫の震災・学校支援チームは、2002年4月に北海道有珠山噴火、2002年10月には鳥取県西部地震、それから2003年7月には宮城県北部連続地震、そして先日は新潟県の中越地震にそれぞれの県教委からの派遣要請に基づき派遣をされたところであります。その重要度はますます増しているといった実態であります。
これは、御想像のとおり、各県の教職員定数の苦しい台所の中に盛り込まれたものでありますので、国の責任としてこのような援助チームを設立をして今後の災害対策に生かすことが求められていると、考えるわけでありますが、防災担当大臣としてのお考えを是非とも聞かせてください。
村田 吉隆・内閣府防災担当大臣
兵庫県の皆さん方には、今回の新潟県中越地震におきまして、兵庫県で台風による大変な被害が出たのにもかかわらずたくさんの御支援を、人的な支援をいただきまして、本当に感謝をいたしております。
兵庫県からの御支援が大変有り難かったのは、阪神・淡路大震災のときの経験を踏まえて貴重なアドバイスも一緒に持ってきていただいたということでございます。
私どもも、災害が起こったときに、子供たちからお年寄りまで、健康管理から心のケアまで直ちに必要なところから、あるいは長期化すれば長い間のケアが必要になるということでございます。県あるいは地方公共団体レベルの御支援を仰ぐと同時に、今回の場合でも心のケアあるいは健康管理につきまして、例えば心のケアでは国立精神・神経センターの皆さん方を派遣していただいて国レベルでも必要な人的な資源を動員すると、こういうことに努力したわけでございます。災害に際しまして今御指摘のような構えというものが立ち所にできるというような仕組みを作っていけたらと考えております。今後とも検討をしていきたいと考えております。 |